お墓にかかる費用と平均価格 – 永代使用料、墓石費用、管理費など

お墓の費用は?

多くの方にとって、お墓の購入は一生に一度のことであり、価格・費用に関しても分からないことだらけです。

失敗しない・後悔しないお墓選びに必要なことは、お墓の値段構成や価格形態がどうなっているのかをよく知ることです。その上で、霊園・墓地選び、予算などの計画を立てましょう。

本記事では、お墓にかかる費用と平均購入価格、それぞれの詳しい内訳を解説します。また、墓石を建てないタイプのお墓やお墓を建てるうえで見落としがちな費用についてもご紹介します。

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お墓を建てるのに一体どのくらいのお金がかかるの?

お墓の平均購入価格は?

【第12回】お墓の消費者全国実態調査(2021年)によると、一般墓の平均購入価格は169.0万円です。また、購入者の25%は80-119万円でお墓を購入していることがわかります。

この平均購入価格とは、下で説明する「永代使用料」「墓石費用」となります。お墓購入の際の目安としてみてください。

お墓にかかる費用の内訳

お墓を購入する費用は、主に「永代使用料」「墓地管理費」「墓石費用」の3つの要素で成り立っています。

チラシなどの価格表記では、霊園・墓地における標準的なものや、最安価格が前面に表記されることが多くなります。しかし、実際に建墓するときは、区画・石の種類や石の使用量・形状・付属品などによって金額が大きく異なってきます

最近では、ネットで格安の値段の墓石を販売している石材店もあります。しかし、霊園や寺院への永代使用料管理費開眼法要の費用など、お墓を建てるときにはさまざまな費用が必要です。紙やネットの霊園・墓地情報だけではなく、実際に現地に足を運び、建てられているお墓を例に、石の種類や金額の説明を受け確認しておくことをお勧めします。

次からは費用の内訳をひとつずつ詳しく解説していきます。

 

  • 永代使用料
  • 墓地管理費
  • 墓石費用
    • 石材(種類、使用量)
    • 加工費、施工費
    • 彫刻費(墓碑、戒名・法名)
    • アフターケア・メンテナンス費

※一般的に、税制上の観点から「永代使用料」は消費税が発生する対象とはされていません。

「永代使用料」の内訳

お墓の土地部分のことを「永代使用権」といい、その取得費用のことを「永代使用料」といいます。

法律が整備された現在、各自治体から認可を受けた場所のみしか墓地として利用することができません。そのため、お墓を立てるときには寺院や公霊園、民営霊園に永代使用料を支払うことになります。なお、お墓の土地は購入するものではありません。あくまでも寺院や霊園から借りている土地であるため、所得税や相続税、固定資産税などの税金の対象にはなりません。当然ながら借りている土地を他人に転売することもできません

価格は不動産(住宅)と同じように、立地やアクセスが良いところ、土地としての希少価値が高く人気がある地域ほど、永代使用料が高くなる傾向があります。不動産と似ていますが決定的に異なるのは、永代にわたって墓地を使用できる権利、つまり土地の所有権ではなく使用権であるということです。

永代使用料は、墓石の建墓に関わらず、墓地を取得した際に納入します。また、承継者(使用名義人)が変わっても、所定の変更手続を経れば永代にわたって使用できます。ただし、長期間の管理費滞納、承継者不在などの事由により、使用権が取り消されるケースもあります。

これはつまり、お墓を継ぐ人がいなければ立てたお墓を維持できないということを意味します。そのため、お墓を立てるときには誰が継承していくかを考えておくことが大切です。

購入したお墓の土地の平均面積

購入したお墓の土地の面積は、全国平均が1.44㎡です。しかし、前述したように面積当たりの永代使用料は都市部ほど高いため、お墓の土地の平均面積は都市部ほど狭くなっています

主要都道府県別にお墓の土地の平均面積をみてみると、東京都は0.63㎡、神奈川県は1.22㎡、埼玉県は1.30㎡となっています。

なお、東日本の平均は1.42㎡、西日本の平均は1.49㎡です。お墓を立てる場所で悩んでいる場合は、このような地域ごとの違いも頭に入れておくといいかもしれません。

購入した区画面積の平均値

全国  1.44㎡
東日本 1.42㎡
西日本 1.49㎡

主な地域の区画面積の平均値

東京都:0.63㎡
神奈川県:1.22㎡
千葉県:1.76㎡
埼玉県:1.30㎡
愛知県:1.50㎡
大阪府:1.47㎡
京都府:0.96㎡
兵庫県:1.31㎡
広島県:1.54㎡
福岡県:1.66㎡

(鎌倉新書 第7回「お墓の消費者全国実態調査」より)

「墓地管理費」の内訳

管理費は、使用する区画によって料金が規定されており、管理運営主に定期的(年一括、3年一括など)に支払う義務があります。霊園・墓地内の施設の維持・運営管理(参道整備、水道設備、駐車場、緑地、墓地清掃など)の用途に使用されます。

管理費は寺院や霊園の立地などによって異なりますが、相場としては1年あたり数千円~数万円となっています。永代使用料や墓石代と比べると決して高額ではありませんが、管理費の支払いを怠るとお墓の使用権が取り消されてしまうことがあるので注意が必要です。

 

  • 公営霊園
    年間管理費の目安:620円~(東京都の場合)
    ※自治体運営のため、負担の経費が低目に抑えられている
  • 民営霊園
    年間管理費の目安:5,000円~15,000円程度
    ※永代使用料と同様、都市型霊園の方が郊外の霊園より高くなる傾向あり
  • 寺院墓地
    年間管理費の目安:6,000円~25,000円程度
    ※寺院施設使用料、お布施や冥加金という名目で納めることもあり

※上記はあくまで参考金額であり、実際の管理料に関しては、霊園・墓地それぞれ異なります。
※長期間にわたって管理費を滞納した場合、管理運営主が一定期間告知を行った上で、永代使用権が取り消されることもあります。

「墓石費用」の内訳

墓石は、お墓の建物部分とお考えください。「墓石の本体」「外柵・納骨棺(カロート)」「施工費」の3つを合わせて墓石費用としています。

また、墓石費用(価格)は、下記であげる3つの要素によって大きく左右されます。中でも「墓石の種類」によっては、数十万円から数百万円、場合によっては一千万円を超えることもあり、価格にはかなりの幅があります。一般的に外国産石材は国産石材よりも安価な傾向にあるものの、外国産石材でも希少で良質な石は価格が高くなります。

墓石費用(価格)の3要素

墓石の種類

石質(硬さ・色・石目)、産出地、採掘量、等級によって石の性質や価格も千差万別で、国産・外国産を問わず価格には大きな幅があります。また、使用する石材の量(容積)にも比例します。

墓石の加工費

オリジナルな細工、手の込んだ細かい加工の多いデザインは手間がかかるため加工賃が上乗せされます。

施工費(工事代)

既に墓石が設置されている区画や、据付型など施工負担が軽いものは費用が抑えられることもあります。立地的に施工や運搬がしにくい霊園・墓地(区画)は費用が加算されることがあります。

※通常は消費税が発生します。
※石材店がクレジット会社と提携している場合は、ローンなどでの分割払いで支払が可能です。
※指定石材店のある霊園・墓地では「墓石費用」が制定されており、石材店によって料金の差が生じないように規定されています。

墓石の価格を決めるポイント

石材店

同じお墓を立てるにしても、利用する石材店によってやはり金額は異なります。可能であればいくつかの石材店を比較してみるといいでしょう。なお民営霊園では石材店を指定している場合がほとんどであるため、自由に石材店を比較検討したいのであれば公民霊園をおすすめします。

石の種類

墓石に使用される石の種類は非常に多く、国産の石では50種類以上、外国産の石では100種類以上あるといわれています。この中でどの石を選ぶかによって、墓石代は大きく異なります。なお、必ずしも国産の石が高価で外国産の石が安価だとは限りません。石の産地だけで判断するのではなく、一つひとつの値段を確認するようにしてください。

石の使用量

石の使用量が多ければ、当然墓石代も高くなります。選んだ墓地の区画が広ければそれだけ広い石が必要になるため、値段も上がるといえるでしょう。なお石の種類によっては、石の使用量が増えると墓石代がさらに割り増しで上がっていきます。これは、大きな石が希少であるためだといえます。

墓石の加工

手の込んだデザインの墓石であれば、それだけ多くの加工のための代金がかかります。特にオーダーメイドのデザインで墓石を加工してもらうときには墓石代も高額になるといえるでしょう。オリジナルのデザインを考えるときには、加工料についても頭に入れておくことが大切です。

墓地の立地

最後に、墓地の立地です。立地条件が悪い場合には、それだけ工事のための費用が高くなります。具体的には、運搬する距離や通る道の悪さ、お墓を立てる区画の周辺状況などです。きちんと整備された墓地であれば、施工費用は抑えられるといえます。

このように墓石代は多くの要素から総合的に算出されるため、理解しにくい部分もあるかもしれません。石材店が墓石代をホームページに明記していないことが多いのは、このためです。しかし、墓石は決して安いものではありません。石材店が指定されていない場合は、しっかりと複数の石材店で見積もりを取るようにしてください。

その他お墓の購入にかかる費用

墓石の彫刻

新規に墓石を建立した場合の費用に、基礎彫刻(家名・題字や題目・建立者名・建立日など)が含まれていることがほとんどですが、戒名(法名)彫刻に別途彫刻費用がかかる場合があります。その他、1人目については墓石費に含まれるが、2人目以降で別途費用がかかる形などもあります。

一般的に1名あたりの追加彫刻費用は、3万円~5万円前後が必要となります。

磨きなおし

磨きなおしの費用は墓石の状態や大きさ、石の種類によって異なりますが、一般的に20万円前後が相場だといわれています。なお、現場でクリーニングを行う場合の相場は墓石全体で7万円~8万円です。

改葬費用

お墓のお引っ越しをする場合は、新しいお墓を立てる費用のほかに元々のお墓を撤去するための費用がかかります。そのため、合計で230万円~330万円ほどかかります。なお、墓石そのものを移動させる場合の費用は移動距離などの条件によって大きく異なります。

墓石処分費用

墓石を処分するときの費用は、10万円~12万円/㎡となることが多いようです。

離壇料

お墓のお引っ越しをするとき、移転元が寺院である場合には離壇料が発生することがあります。その場合、相場は20万円~50万円となっています。

「墓石を立てないタイプ」の平均費用

最近ではお墓の在り方も変化しつつあり、従来の一般墓以外のお墓も珍しくなくなりました。

新しいタイプの埋葬方法としては、主に「納骨堂」「樹木葬」「永代供養墓」などがあります。

納骨堂 平均購入額:91万2,632円

納骨堂は、寺院や霊園の建物の中に故人の遺骨を納めるタイプのお墓です。

一言で納骨堂といっても様々なタイプがあります。ロッカー型や仏壇型の納骨堂であれば50万以下での埋葬も可能ですが、自動搬送式の場合は機械の維持に費用がかかるため費用も高くなります。ボリュームゾーンは80万円~99万円となります。

樹木葬 平均購入額:71万6,667万円

樹木葬に明確な定義はありませんが、自然の中で埋葬する方法はすべて樹木葬と呼ばれます。

もっとも一般的な樹木葬はシンボルツリーの周囲につくられた区画に遺骨を納める方法ですが、ガーデンタイプなどもあります。

形式が多様であるために相場も霊園によって異なりますが、ボリュームゾーンは60万円~79万円となっています。

上記以外の永代供養墓 平均購入額:91万2,632円

お墓を継ぐ人がいなくなっても寺院が供養を続けてくれるお墓のことを、永代供養墓といいます。核家族化・少子化が進むにつれて、永代供養墓の需要も高くなりました。ボリュームゾーンは20万円~40万円未満です。

相場は、合葬墓や合祀墓であれば10万円~が目安です。

(平均購入額・ボリュームゾーンは鎌倉新書 第9回「お墓の消費者全国実態調査」第12回「お墓の消費者全国実態調査」より)

「その他費用」- 埋葬・納骨にかかる費用

霊園・墓地に支払う費用や墓石にかかる費用のほかにも、お墓の建立にあたっては「ご遺骨の埋葬」や「納骨法要」などにかかる費用もあります。以下にあげる例のほか、会食費・引出物代・お供物代が必要となることが多いです。

  • 埋葬手数料
    ご遺骨を埋葬する際に、通常石材店さんに手数料として支払われます。霊園・墓地によって価格が異なりますが、1度の立ち会いで「1万円~3万円」が相場となっています。
  • 法要施設利用料(寺院本堂、法要施設)
    霊園・施設によって金額は異なります。寺院本堂をご利用になられる場合は、お布施の志に含められるのがよいでしょう。
  • お布施・お車代
    お寺やご僧侶への志ですので、定められた金額はありません。判断がつかない場合は、参考までに霊園・墓地関係者にお問い合わせされるとよいでしょう。
  • 開眼法要(お魂入れ)
    3万円~5万円
  • 閉眼法要(お魂抜き)
    3万円~5万円
  • 年忌法要
    3万円~5万円
  • 戒名(法名)料
    40万円
  • 埋蔵(埋葬)証明書発行手数料
    400円~1500円
  • 御膳料
    1万円~3万円が相場

なお、戒名(法名)料に関しては相場が少しずつ安くなってきています。また相場は位号によって異なり、一般的には信士(しんじ・しんし)あるいは信女(しんにょ)で5万円~20万円、居士(こじ)、大姉(だいし)で15万円~30万円、そして院号になると50万円以上といわれています。お布施については地域性や、それぞれのお寺の格式、また住職との関係によっても異なります。

おわりに

お墓は、ほとんどの人にとって一生に一度の大きな買い物です。決して安い買い物ではないので、お墓選びをするときには相場を把握したうえで慎重に比較検討するようにしてください。

また、お墓選びで重視したいことは費用だけではありません。お墓は亡くなった先祖を供養するための大切なものです。あとから後悔しないためにも、納得できる価格かどうかという観点でお墓選びをしてみてはいかがでしょうか。