墓じまいの費用・料金、手続きや作業の流れ/費用を抑える方法とは?

墓じまいとは、遺骨を既存のお墓から新しい場所に移し、お墓を片付けて更地にし、墓地の管理者に返還する一連の行動のことです。お墓を管理する子孫がいないため、遺骨を永代供養墓などに移す人が増えている中、墓じまいをするケースも増えています。

ここでは、墓じまいをするにはどうすればよいのか?お墓の撤去や役所での書類取得などの流れはどうなっているのか?閉眼供養のお布施・今までのお墓からの離檀料など墓じまいにかかる費用はどのくらいか?新しい墓地の準備はどうしたらよいか?など、墓じまいにかかる一連の作業内容や費用などを中心に解説します。

さらに、墓じまいの費用負担を抑える方法や、墓じまい費用が払えない場合の対処方法についてもご紹介していますので参考にしてください。

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墓じまいの平均費用

出典:【第11回】お墓の消費者全国実態調査(2019年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向

【第11回】お墓の消費者全国実態調査によると、改装にかかった平均費用は68.0万円となっています。またお墓の購入者のうち、11.8%が改葬に伴うお墓の購入と回答しています。核家族化や都市部への人口流入を背景に、改葬・墓じまいをする人は今後増えていくでしょう。

墓じまいの平均費用は、お墓を更地に戻すだけなら1㎡あたり10万円程度です。3㎡の墓地であれば30万円程度かかることになります。これにお布施が加わると35万円程になります。さらに、離檀料が必要な場合は40万円を超えてしまいます。

雑費も考慮して、墓じまいを行うには大体50万円~70万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

これに新しいお墓の取得費用を加算すると、80万円~130万円程度、新しいお墓の種類によってはさらに高額になることも考えられます。墓じまいにかかるお金は決して安い金額ではないので、資金計画をしっかりと立てておいてください。

墓じまいの費用の内訳

墓じまいを行うときにはさまざまな作業が必要です。それぞれの作業費の内訳を見ていきましょう。なお、作業内容の紹介は別の項目で行います。

お墓の撤去費用

お墓を撤去して更地に戻す費用です。1㎡あたり10万円程度を見込んでおきましょう。お墓の立地や状況によっては追加費用が発生することもあります。地域差も大きいので気をつけてください。

お寺などへのお布施

お墓を撤去し、遺骨を取り出す前に、お墓の閉眼供養を行います。手を合わせる対象だったお墓から魂を抜くことで、ただの石に戻すための供養です。このときに渡すのがお布施です。

それぞれのお寺との関係性などにもよりますが、数万円程度といわれています。また、新しいお墓に遺骨を入れる場合にもお布施が必要になります。

離檀料

檀家としてお寺にお墓を管理してもらっていた場合、墓じまいとともに檀家を抜ける(離檀する)ことが多いです。このときに「今までお世話になりました」という意味でお寺に支払うお金が離檀料です。

お寺の格によりますが、数万円から、場合によっては数十万円というところもあります。高額な離檀料を請求するケースもあり、一部では問題になっています。

最近のお寺では檀家も減っている関係で、お寺を維持することが難しいという場合もありますが、こじれてしまうと大きなトラブルに発展することもあります。

なお、離檀料には法的な根拠はなく、慣習として行われているに過ぎません。

新しい墓地の費用

既存のお墓から取り出した遺骨を納めるための、新しいお墓を入手する費用です。墓石を購入して新しく個人のお墓を作るのか、永代供養墓にするのか、納骨堂に遺骨を納めるのか、樹木葬を選ぶのかなどでコストは大幅に異なります。

手続きの費用

墓じまいをするときは、役所や墓地の管理者から数種類の書類を交付してもらう必要があります。具体的には以下の書類です。

  • 改葬許可申請書
    墓地がある自治体の役所で申請して発行してもらう
  • 埋葬証明書または納骨証明書
    既存のお墓の管理者に依頼して発行してもらう
  • 受入証明書または永代供養許可証
    新しいお墓の管理者から発行してもらう

自治体や管理者によっては金額は異なります。発行時に数百円から1,000円程度の手数料が発生しますので、あらかじめ問い合わせて確認しておきましょう。

なお、埋葬証明書については「そのお墓に埋葬されている人数分」の枚数が必要になるため、昔からあるお墓は埋葬証明書の取得に時間と費用がかかってしまいます。

自分で手続きできないときは行政書士などに代行してもらうことになりますが、その場合は行政書士への報酬が必要です。

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墓じまいの作業内容

墓じまいをする際にはどのような作業が必要なのでしょうか?一般的な墓じまいの流れと作業内容を解説していきます。

遺骨の新しい納骨先を決定

引っ越しのときに引っ越し先を決めるのと同じように、墓じまいの際も取り出した遺骨をどこに納骨するのかを決めておきます。候補としては以下のようになります。

  1. 新しく作ったお墓に納骨する
  2. 永代供養墓を契約する
  3. 納骨堂を契約する
  4. 樹木葬を契約する
  5. 散骨する
  6. 手元において供養する

それぞれにメリットとデメリットがあるので、比較検討し、自分が納得のいくものを選んでください。

お墓の管理者へ墓じまいのことを連絡

霊園や寺院など、自分のお墓がある霊園や墓地に、墓じまいのことを連絡します。檀家である場合は墓じまいをする理由などを聞かれることがあるので、答えを用意しておいてください。

また、このときに埋葬証明書のことも相談しておくと良いでしょう。

役所で書類を取得

墓地がある自治体の役所へ行き、改葬許可申請書を発行してもらってください。既存のお墓から遺骨を取り出すときと新しく納骨するときに必要になります。

自治体によっては、改葬許可申請書の申請時に既存の墓地の管理者が発行する埋葬証明書や新しい納骨場所の管理人が発行する受入証明書が必要になることがあります。

閉眼供養

遺骨を取り出す際にお経をあげてもらうことです。魂抜きとも言われます。

遺骨の取り出し

遺骨を取り出します。取り出した遺骨は新しい納骨場所に入れるまで大切に保管してください。

墓を更地に戻す

石材業者などに依頼して墓石を撤去し、お墓を更地に戻して管理者に返還します。管理者から業者の指定をされることも多いので、事前に確認してください。

新しい墓地に遺骨を入れる

取り出した遺骨を新しい場所に納骨したら、墓じまいは終了です。納骨にあたって法要を行うことも多いので、お布施を用意しておきましょう。

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墓じまいで追加でかかることのある料金

以上が墓じまいの流れですが、追加費用が発生することがあります。まず、お墓が山奥にあるなどで重機の使用が難しい場合は、お墓を更地に戻すときに相場より高い工事費を請求されることがあります。

また、それまでの墓地で使っていた墓石を運んで新しいお墓の墓石にしたい場合、その墓石の運搬費用と設置費用がかかります。

少しレアなケースですが、遺骨が完全に火葬されておらず肉片などが付着している場合は再火葬をしなければならなくなります。戦後の混乱期に他界された遺体の場合、火葬場の火力が低かったことや、死亡者が多いため急いで火葬しなければならなかったなどの事情があるため、完全な骨になっていないケースが見られるようです。

再火葬を行う場合は、役所に再火葬する旨を申請して許可書を取得し、火葬場の手配をしてから火葬する必要があります。火葬の代金と、火葬時に僧侶を呼んだ場合はお布施が追加費用として発生します。

墓じまいの費用を抑えるためには?

墓じまいには多額の費用がかかることがわかりました。しかしなんとか費用を抑えたい、節約したいというのが人情です。どうすれば費用を抑えることができるのかを考えていきます。

墓地を撤去する業者の選定

墓地を更地に戻すときに、墓所によっては管理者から工事業者の指定を受けることがあります。しかしそういった指定がない場合は、自分で業者を選ぶことができます。

工事費用の目安は1㎡あたり10万円ですが、それよりも安い金額で工事を請け負ってくれる業者も探せば見つかります。可能であれば複数の業者から見積りを取って、もっとも納得の行く価格と工事をしてくれそうな業者を選定してください。

手元供養や散骨を選ぶ

墓じまいで多くのコストがかかるのは、お墓を撤去するときよりも、むしろ新しく用意するお墓の代金を支払うときであるケースが多いようです。お墓のタイプにはさまざまなものがありますが、いずれもコストがかかってしまいます。

コストを抑える方法のひとつに、手元供養という選択肢があります。遺骨や遺灰を入れた骨壺を自宅に置き、供養の対象とする方法です。

手元供養を選択すると、納骨場所を確保する手間とお金をかけなくて良いばかりか、故人そのものである遺骨が常に身近にあるため、いつでも故人を偲ぶことが可能です。

ひとつ問題があるとすれば、家族や親族の同意が得られるかどうかです。

同居している家族がいる場合、自宅に遺骨がある状態に違和感または拒否感を覚える人がいるかもしれません。親族が手元供養について反対する可能性もあり、頑なに手元供養を続けた場合はトラブルの原因となる可能性があります。

お墓を用意しない方法として、散骨という選択肢もあります。しかしこの場合も墓標がない状態を嫌う人がいるため、家族や親族の同意は不可欠です。

本来、手元供養や散骨はコスト削減の手段ではなく、あくまで故人の希望を叶えるため、または故人を身近に感じながら供養するための手段です。コスト意識だけで手元供養や散骨を選ぶのではなく、自分がどのように故人と向き合っていきたいのかを考えて遺骨の処遇を決めてください。

墓じまいのトラブルについてもっと参考にしたい方はこちらもご覧ください。

墓じまいの費用がない場合、どうなるの?

お金がなければ物が買えないように、お金がなければ基本的に墓じまいはできません。貯金がないけれどどうしても墓じまいを行わなければならない事情がある場合は、なんとかしてお金を工面する必要があります。

このようにお墓を建てるとき、リフォームするとき、墓じまいなどの際に融資をしてくれるローンが存在します。墓じまいで新しいお墓を買うときや、既存のお墓を更地にするときに、それぞれの業者に相談してみるのもいいでしょう。

提携している金融機関がお墓に関するローンを扱っていれば、紹介してくれる可能性があります。

墓じまいのまとめ

墓じまいをするときには、お墓の撤去費用と閉眼供養、離檀料などで約50万円以上のお金が必要となります。これに新しいお墓の取得費を加えると、全体で100万円以上のお金がかかることもあります。

しかし業者や納骨方法を適切に選択すればコストを削減できますし、お金が足りない場合はローンを利用するという手もあります。墓じまいをする際にはさまざまな方法を模索してみてください。

また、「いいお墓」では墓じまいの業者選定サービスもおこなっているので、お問い合わせだけでも是非お待ちしております!

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