お墓の引越し(改葬)の手順と流れ、改葬方法や注意点を徹底解説!

お墓の引越し・改葬の流れ
記事を先読み
  • まずは、改葬先のお墓を決める
  • 「改葬許可証」交付には「埋蔵証明書」「改葬許可申請書」「受入証明書」が必需
  • ご遺骨だけ改葬、墓石も改葬、ご遺骨の一部を改葬などの改葬方法の選択肢あり

お墓を引越しすることを、「改葬」と呼んでいます。すでに墓地や霊園に納骨されているご遺骨をほかの墓地や霊園に移動・移転することを指します。

さまざまな事情から、改葬を希望する人が増えてきていますが、改葬をする際には市区町村の許可を得なくてはいけません。「埋蔵証明書」「改葬許可申請書」「受入証明書」などの書類を揃えて自治体の窓口で公式な手続きを行い、改葬許可証を取得する必要があります。

ここでは、できる限りスムーズに改葬ができるように、改葬の手順と流れなどについて解説をします。

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どんな人がお墓の引越し(改葬)をするの?

改葬というと、不安や抵抗感をもつ方もいるかもしれません。しかし近年、さまざまな理由から改葬を考える方が増えてきています
改葬を考える理由として、次のような例があげられます。

  • お墓が遠方にあり、管理が難しい
  • 家族の引越しに合わせてお墓も近くに移動したい
  • 諸事情によりお墓の管理を引き継いだ

お墓の引越し(改葬)の手順と流れ

ここからはお墓の改葬先が決まった時の具体的な手続きや必要書類、ご遺骨を改葬先に納めるまでの手順と流れについて説明をします。

1.改葬先の相談

改葬先の墓地の選び方について、墓石店などに相談をしましょう。

2. 改葬先の候補地を決定し「受入証明書」を受け取る

まずは、改葬先を決定しなければなりません。
改葬先が決まったら、そのお墓の管理者(寺院、霊園など)に「受入証明書」を発行してもらいます。
さらに、お墓を建てる工事が必要な場合、具体的な建墓の予定を相談し、契約をしておきます。一般的に建墓には3ヵ月程かかるので、納骨の時期を考慮して早めに計画を立てることをおすすめします。

3.「改葬許可申請書」を入手する

改葬の手続きについては法律でしっかりと定められており、ご遺骨の埋葬に関することは、市区町村の許可を得なければなりません。したがって、改葬に伴う手続きの窓口は、ご遺骨が埋葬されているお墓のある場所の各自治体ということになります。
改葬先が決まりましたら、改葬元の自治体から「改葬許可申請書」を取り寄せます。書類の形式は市区町村によって異なります。
ご遺骨を取り出すためには、「改葬許可証」が必要になります。「改葬許可証」が発行されるまでには時間がかかることがあるので、余裕をもって手続きを行うようにしてください。
「改葬許可申請書」は、戸籍課などで配布されています。最近では、役場のホームページの「申請・届出サービス」などのページからダウンロードができるところもあります。

「改葬許可申請書」の記入内容

自治体から「改葬許可申請書」を取り寄せたら、その書類に必要事項を書き込みます。記入する内容は形式によって多少異なりますが、一般的には次のような項目になります。事前に確認しておくとスムーズに進められるでしょう。

  • 亡くなった方の本籍、住所、氏名、性別
  • 死亡年月日
  • 現在埋葬されている所在地、名称
  • 改葬先の所在地、名称
  • 申請者(墓地名義人と違う場合、承諾書や委任状が求められる可能性あり)

4. 「埋蔵証明書」を受け取る

今、お墓がある管理者(寺院、霊園など)に「埋蔵証明書」を交付してもらいます。
「埋蔵証明書」は、「改葬許可申請書」の所定の欄に、墓地の管理者が証明をすることもあります。管理者が定める様式の書類でも構いません。
「埋蔵証明書」は、そのお墓に埋葬されている人数分の枚数が必要になる場合もあるため、昔からあるお墓は、ご遺骨の確認作業の進捗状況などにより、埋蔵証明書の取得に時間と費用がかかることがあります。

5. 「改葬許可証」を申請する

ここまでに用意した書類を各自治体の窓口へ提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。

用意する書類

  • 受入証明書
  • 改葬許可申請書
  • 埋蔵証明書

6. ご遺骨の取り出し

今、お墓がある管理者(寺院、霊園など)に、自治体から発行された「改葬許可証」を提示すると、お墓からご遺骨を取り出すことができるようになります。その際に、「改葬許可証」は渡しません。「改葬許可書」は、改葬先の管理者にお渡しすることになります。
一般的に菩提寺の住職などに墓前でお経を読んでもらい、閉眼供養と呼ばれる、お墓から魂を抜く供養を行った後に、納められているご遺骨を取り出します。
ご遺骨を取り出す作業は、石材店に行ってもらう場合が多いです。取り出したご遺骨は、新しいお墓に納骨するまで、ご自宅や改葬先などに安置しておきます。ご遺骨を運ぶ際は骨壺が割れたりしないよう、風呂敷などの大きめな布で包んでおくことをおすすめします。
改葬元の墓地を更地にして返す場合は、管理者の指示にしたがって整備をします。

7.改葬先のお墓に納骨

改葬先で新しいお墓が完成し墓石の引き渡しを済ませたら、次は納骨の準備です。移転先のお墓の管理者に「改葬許可証」をお渡しして、納骨の予定を決めます。改葬先で、「墓地使用許可書」や「埋葬届」などが必要な場合もあります。改葬先で必要となる書類などについては、あらかじめ確認をしておきましょう。

お墓の引越し(改葬)方法

お墓の改葬方法としては、一般的に「4つの方法」があります。移動ができるのは基本的に石碑とご遺骨だけで、納骨棺や外柵はほとんどの場合移動できません。また、継承者が途絶え、無縁墓となったお墓を改葬するケースもあります。
以下に、お墓の改葬方法について説明します。

1.ご遺骨だけを改葬

一般的に多い改葬方法は、ご遺骨だけを改葬する方法です。この場合、今あるお墓の墓石は撤去し、墓所は更地に戻します。改葬先では、新たにお墓を設けることになります。

【移転元】
お墓を残さない
ご遺骨を残さない
【移転先】
ご遺骨すべてを持ち込む
石碑は新しいものを用意

2.ご遺骨と墓石を一緒に改葬

ご遺骨と共に、今あるお墓の墓石を一緒に改葬する方法もあります。もともと墓石があった土地は更地に戻します。
今ある墓石を移動する場合、大概、墓石は古くなっているため、崩れやすい状態になっていることもあります。また、墓石を改葬先まで運搬する工賃も必要になってきます。墓石は重量があるものなので、配送業者に依頼すると、思ったよりも費用がかかる場合があります。そのため、複数の業者に見積りを依頼して、比較検討することをおすすめします。
また、今ある墓石が改葬先の区画の大きさと合わないこともあります。この場合、墓石を加工する作業が発生することもあります。
また改葬先で、今ある墓石の移設の受入れができないところもあります。墓石の移動をお考えの方は、墓石の持ち込みが可能な区画があるかどうか、あらかじめ改葬先の管理者に確認をしておく必要があります。

【移転元】
お墓を残さない
ご遺骨を残さない
【移転先】
ご遺骨すべてを持ち込む
石碑を持ち込む

3.ご遺骨の一部分だけを改葬(=分骨)

今あるお墓から、ご遺骨の内の一部を取り出して改葬する方法もあります。取り出したご遺骨は、新しい改葬先に移動させ、残されたご遺骨はそのまま、今あるお墓のなかでお眠りいただくことになります。この埋葬方法を分骨といいます。

【移転元】
お墓を残す
ご遺骨の一部を残す
【移転先】
分骨したご遺骨を持ち込む
石碑は新しいものを用意

4.複数あるご遺骨のうちの一部のご遺骨を改葬

今あるお墓の複数あるご遺骨のうち、一部のご遺骨を新しい改葬先に移動させるケースもあります。今あるお墓にそのまま残しておくご遺骨と、改葬先に移動するご遺骨があるということです。「分骨」とは別の埋葬方法になります。

【移転元】
お墓を残す
一部のご遺骨を残す
【移転先】
一部のご遺骨を持ち込む
石碑は新しいものを用意

無縁墓の墓じまい

上記の4つとは別に、継承者が不在となり無縁墓となったお墓を改葬するケースもあります。この場合、お墓を撤去しご遺骨を永代供養墓の合祀墓などに改葬することになります。

【移転元】
お墓を残さない
ご遺骨を残さない
【移転先】
ご遺骨すべてを持ち込む
石碑は用意しない

改葬先を決める際の注意点

改葬先を決める際に注意したいのが、墓地のタイプによって改葬条件が異なる場合があります。墓地のタイプ別(寺院墓地公営霊園民営霊園)に、注意点を紹介していきます。

寺院墓地へ改葬する場合

引越し先が寺院墓地の場合、檀家契約が必要になる可能性があります。
なかには檀家契約を交わさずに受け入れてもらえる寺院もありますが、寺院墓地への引越しを考えているのであれば、檀家契約のことを念頭に入れておいたほうがよいでしょう。
また、寺院によって信仰している宗教が異なるため、もし特定の宗旨宗派の信仰がある場合は、その宗旨宗派の寺院を探す必要があります。場合によっては改宗しなければならない可能性もあるため、必ず事前に確認をするようにしましょう。

公営霊園へ改葬する場合

公営霊園への改葬を考えている方は、各自治体にお墓の使用権を求めるための応募をする必要があります。
応募した後、応募数が多い場合は抽選が行われることがあります。最終的に選ばれた後に、お墓の使用権利を得ることができます。当選して審査に通ると、お墓を改葬することができます。
自治体によっては応募ができる期間が定められている場合があるので、確認をしてから応募をするようにしましょう。

民営霊園へ改葬をする場合

民営霊園は、民間の会社が宗教法人や公益法人などに運営を委託されている霊園で、それぞれの霊園で運営方針や管理体制が異なります
宗旨宗派の条件がある霊園では、今までの宗旨宗派と違った場合、改宗しなければならないこともあるので、事前に確認をしてください。

ご遺骨の移動

お墓から取り出したご遺骨は、改葬先まで運ばなければなりません。可能な限り自分の手で移動させることが望ましいですが、距離や重さなどの理由で難しいこともあります。
ご遺骨を移動させる方法や、運ぶ際の注意点をあげていきます。

自分で運ぶ場合

改葬先まで自分でご遺骨を運ぶ際に気になるのが、公共交通機関を利用する場合です。
ご遺骨を持ち込んでもよいのか心配になりますが、基本的に、電車・バス・タクシー・飛行機すべて、ご遺骨の持ち込みが可能です。飛行機などの場合、一般の荷物と同じように収納する必要があるか、骨壺を膝の上に置いても問題はないかなどについて、事前に確認をしておくようにしましょう。
また公共交通機関でご遺骨を運ぶ際は、回りの方への配慮も考える必要があります。骨壺を風呂敷やさらしで包み、大きめのバッグに入れるなどして運ぶと良いでしょう。

依頼をする場合

ご遺骨を自分の手で運ぶことが困難で運搬を依頼する場合、2つ方法があります。

  • 専門業者に運んでもらう方法
  • 郵送する方法

郵送をする方法は、国内では郵便局のゆうパックのみ取り扱いが可能です。そのほかの宅配業者は、ほとんどの場合、ご遺骨の運搬は受けないことが規約で決められています。

実際に郵送をする際に注意するポイントは次の通りです。

  • 骨壺の中に水が溜まっていないか確認する
  • 骨壺の回りは布などで厚めに包む
  • 瀬戸物、割れ物の扱いになる

特に、長年お墓に納められていた骨壺には水が溜まっていることが多いので、郵送をする前にふたを開けて中身を乾かすとよいでしょう。

お墓の引越し(改葬)でよくある質問

Q. 古いお墓の墓石を、新しいお墓に移動できますか。

一般的に骨壷の移動は可能ですが、墓石を移動する場合は、改葬先のお墓で改葬する墓石の受入れが可能かどうかを確認する必要があります(移動不可のお墓もあります)。
また、外柵と呼ばれる墓所の周りを囲む石に関しては、改葬先の区画との寸法が合うことがまれだということもあり、 移動できない可能性があります。

Q. 改葬の際、骨壷だけを移動することができますか。

骨壺だけ移動することはできます。今あるお墓から納骨されているご遺骨すべてを改葬するケースや、特定のご遺骨だけを改葬されるケースなどがあります。
そのほか、さまざまなケースが考えられますので、迷われる場合は「いいお墓 お客様センター」にご相談いただければと思います。

Q. 分骨は自由にできるのでしょうか。

埋葬してある遺骨から分骨する場合※①と、火葬場で分骨する場合※②で、手続きが異なります。

※①まず墓地管理者に「分骨用の証明書」を発行してもらいます。次に、石材店などに依頼しご遺骨を取り出してもらいます。その後、分骨先の管理者に 「分骨用の証明書」を提出して、納骨します。
※②火葬場管理者に「分骨用の証明書」を必要枚数発行してもらい、火葬場で複数の骨壷に入れる形で分骨します。その後、それぞれの納骨先にご遺骨を納めるという手順になります。

Q. 改葬は何から始めればよいでしょうか。

まずは、今あるお墓の管理者(寺院、霊園など)に改葬をしたい旨を相談してみるのが良いでしょう。また、改葬先のめどもつけておきたいです。
その後、墓石が移動できるかどうか、費用がどれくらいかかるかなど、条件や費用面の比較検討をして改葬方法を決めましょう。

Q. 改葬費用の相場が知りたい。

改葬にかかる費用は、墓地の大きさや地域により異なります。
改葬にかかる費用は、大きく4つに分けられます。

①現在あるお墓の移転費用
墓石の処分費用区画整備費用:墓地の状況にもよりますが、通常10万円~30万円程かかります。
墓石(石塔)も移動したい場合は「運送費」と「設置料」がかかります(目安金額:20万円~80万円程)。

②改葬先のお墓の設置費用
永代使用料(お墓の土地の使用権)、墓石代。寺院の場合は入壇料

③宗教儀式に関する費用
閉眼供養開眼法要など。

④手続きに関する手数料
「埋蔵証明書」「改葬許可申請書」「受入証明書」を、お墓がある市区町村役場に提出した後、「改葬許可証」が発行されます。各種の書類を用意するために手数料がかかってきます。

また、寺院の場合になりますが、これまでのお付き合いのされ方でお布施の金額(離檀料)が異なる場合がありますのでご承知おきください。これまでお墓を守り、ご遺骨を供養していただいたお墓の管理者に感謝の気持ちをお伝えして、改葬する申し出をお伝えするようにしましょう。

Q. 返還した墓所の永代使用料は返金してもらえるのでしょうか。

原則返金されることはありません。その墓所ごとにある「墓地使用規則」をご確認ください。

Q. 離檀料を請求されたのですが、払わなくてはならないのでしょうか。

離檀料に法的根拠はありませんが、これまで長年お世話になったお礼としてお布施をお渡しする習慣はあります。
まずは、改葬をする前に、その旨を住職に相談・説明をして、ご理解いただくようにしましょう。
また、僧侶には、今あるお墓を撤去する際に閉眼供養をしてもらい、新しいお墓に納骨する際に開眼供養をしてもらいましょう。

Q. 土葬のお墓を改葬するにはどうしたら良いでしょう。

土葬でもご遺骨の改葬は可能です。ただし、火葬することが必要になってきます。その際は役所から、「改葬許可証」と同時に「火葬許可証」を発行してもらう必要があります。
また、墓所の広さ、土葬のご遺骨が何名様分あるのかなどの詳細を知る方の立ち会いが必要となる場合があります。

土葬の改葬の場合は一般的な改葬の方法と異なるため、専門の業者を探す必要があります。

Q. 改葬するご遺骨が複数人分ある場合、「改葬許可申請書」は何枚提出すれば良いですか。

改葬許可申請書は、ご遺骨1名様分につき1枚必要となります。

例:遺骨数5名様の場合、改葬許可申請書は5枚

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