墓石価格とは、墓石を購入される方にとって大切なことにもかかわらず、具体的なことが分かりにくいという問題があります。墓石価格は石碑の種類や加工やデザイン、大きさなどで決まります。そのため、実際に墓石を購入する際は、墓石選びやデザインなどが重要になってきます。そこで、墓石の種類や相場、樹木葬など新しいタイプのお墓を選択するなどお墓の費用を抑える方法について紹介します。
墓石価格はなぜ分かりにくいのか
終の棲家である、一般的な墓石価格の相場をご紹介します。
墓石価格が明確に表示されない理由
最近では、ホームページ上で墓石を購入できるサービスなどもあります。しかし、実際のお墓を建立する際にかかる費用は、墓石価格だけではありません。オーダーメイド製品の一種ですので、個々のケースでさまざまな価格が加算されるケースが出てきます。そこで、お客さまが混乱しないように、あえて表記を明確にしていないということがあります。
墓石価格に幅があるのはなぜ?
墓石は、まず、お墓の墓所の大きさによって、使う石材の量が変わってきます。また、和型と洋型では、竿石の形態などにより使う石材の量が違ってきます。そして、御影石など使用する石の種類や材質によっても、価格は変動します。彫刻など細工を施す彫る作業が加わると、さらに価格は加算されてきます。そのどの項目にもはっきりとした定価がないため、どうしても、墓石価格に幅がでてきてしまうのです。

墓石価格の相場とは
墓石を建立するための一般的な相場を紹介します。

永代使用料
お墓を建立する際、墓石代のほかにかかってくるのが、永代使用料(土地代)です。永代使用料とは、墓地・霊園にある墓所の土地を借りる費用となります。永代使用料は、あくまで墓所の土地を使用する権利を購入しているのであり、土地を購入している訳ではありません。永代使用料を最初に支払えば、その後支払う必要のある費用は一般的に管理費のみになります。この永代使用料と管理費を納めれば、先祖代々お墓を引き継ぐことができます。
この永代使用料と墓石との価格が合算されたものがお墓の価格となります。
管理料
お墓を建立してしまえば費用はもうかからないと思ったらそれは間違いです。墓地・霊園に墓所を管理してもらうために、管理料として定期的に支払います。毎年納める場合が多いですが、霊園によっては数年分をまとめて納める場合もあります。墓地・霊園は管理費より、墓所の水道・電気代の支払いや清掃、共有施設(休憩所・トイレ・水汲み場等)の維持管理を行います。管理費の相場は、1万円前後ですが。寺院墓地はお布施が必要な局面が出てきますので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
墓石価格の平均的な相場とは
お墓を購入する場合、墓石費用に加え、永代使用料や工事費などを含めると、約100万円から220万円程度が平均的な費用とされています。使用する石材の種類や大きさなどによって墓石費用は異なってきますが、墓石価格は約70~80万円から200万円くらいだといわれています。地域によっても相場価格は違ってきますので、建立する地域の石材店に相談してみることをおすすめします。
お墓の価格を決める要素
お墓の価格を左右するための要素を紹介します。
墓石の原石の種類や産地
墓石は石材の種類によって大きく価格が違ってきます。ほとんどの石には等級があり、それにより価格も変化します。
お墓は何代にもわたって子孫に受け継がれていくものです。したがって、硬度が高く吸水性は低いほど石材として価値があります。耐久性が強く、磨くと光沢が出る形状素材として知られているのは、花崗岩、安山岩、閃緑岩、班れい岩などです。墓石の原石には、国産のもので約50種類、中国やインドなど外国産のもので100種類程度の種類があります。
よく御影石という名前を耳にしますが、御影石というのは日本だけで使われている名称で、花崗岩の総称です。地下深くでゆっくりと冷やされてできる「深成岩」に含まれます。六甲山嶺の神戸市御影付近が産地として有名だったのでそのように呼ばれるようになりました。御影石は経年劣化に強いため、墓石として最も人気があり、国内産地としては茨城県(稲田御影、真壁小目御影)、福島県(浮金石)、山梨県(甲州御影)、愛知県(三州御影)、愛媛県(大島石)、香川県(庵治石)、山口県(徳山御影)、佐賀県(天山御影)などが有名です。安山岩として有名なのは、高級であるといわれている神奈川県(本小松石)です。国産の石材は海外産のものと比較した時、高価となる傾向があります。
現在では多くを外国から輸入をしています。その中でも中国からの石材輸入が多くを占めています。中国で墓石などの製品化が本格化したのは1990年代で、福建省で日本の業者との合弁工場が作られたのがきっかけとなります。
そのほか、黒系の花崗岩「クンナム」や、グリーン系グレーの御影石「アーバングレー」、赤系の「インペリアルレッド」が採掘されるインドや、黒御影石「ファイングレイン」を産出するスウェーデン、黒御影石「インパラブルー」を産出する南アフリカも石材の産地として有名です。
墓石の基礎工事費
墓石設置の費用とは、墓石を設置する際にかかる(基礎)工事費用のことで、平均的な工事費用は墓石代に含まれていることがほとんどです。墓石には、建築基準法のようなものはありません。基礎工事は見えない部分ですが、先々を考えると一番大切な部分であり、地盤の強度や、墓石の大きさに合わせて行う必要がります。
石の使用量や広さ
お墓の大きさによって使用する石材の量が違ってきます。石材の量が変わってくると、当然、価格にも反映されます。
加工費用
加工場所が国内か外国かによって価格が違ってきます。外国の場合、現在、約9割以上が中国を占めることになります。概して、国内加工の方が外国加工より価格は高くなる傾向にあります。
墓石への彫刻など
デザイン性の高い墓石や、家名や家紋などの彫刻を竿石などに施した場合や磨き直し、文字の彫刻なども、墓石価格に影響をおよぼします。
文字の彫刻代は、購入した墓石に家名・題字・題目・建立者名・建立日などを彫るためにかかる費用のことです。基本的な彫刻費用は基礎工事と同様、墓石の値段に含まれています。追加で依頼する彫刻費用はさまざまですが、戒名や生前の名前などのほか特別なデザインを施す場合となります。
戒名などを彫刻する際の字彫りにかかる費用については、おおよそ3万円から5万円程度が相場です。棹石に彫る場合と墓碑に彫る場合など、オーダー状況に応じても変化しますので、事前に石材店に確認しましょう。また、墓石の正面に模様などを掘る場合には、10万円程度からが目安となります。
墓石まわりや外柵まわりの飾り
墓石の周りや外柵周りにも飾りを施すことができます。水鉢や左右に一対で設けられる花立て、合祀墓などで故人の名前を刻む墓誌(ぼし)や香炉などもご先祖供養の際に用いられる飾りの一つです。これら墓石まわりの彫刻や加工も、価格に影響を与えます。
耐震免震工事など
耐震免振工事の内容によっても、墓石価格に影響を与えます。耐震施行により、地震や災害からの倒壊を防げることは、結果的に将来的な費用を抑えられる効果があります。
現場の状況
駐車場から墓所までの距離、クレーン車が通れる車幅の有無などにより、墓所まで石材を運ぶ工程が変わってきます。墓所までのスペースが整備されていない場合は、運搬する方法を別途手配しなければならないため、価格は加算されることになります。


霊園ごとに変わる価格
公営霊園
公営墓地とは、地方公共団体が管理、運営している墓地もしくは、最終的な責任は地方自治体で持つものの、実際の管理、運営は公認の指定管理業者に委託している墓地のことです。基本的に公営霊園はどのようなお墓を建立しても問題はありません。どの石材店に頼むのかについての規制もありません。公営なため、㎡あたりの価格は低い設定になっています。しかし、1区画の㎡数が大きな場合もあるため、結果、高額な価格になる可能性もあるため注意しましょう。管理、運営に対する不安がなく、比較的リーズナブルであり、宗教、宗旨宗派不問とメリットが多いため、競争率が高い傾向があります。
民営霊園
民営霊園というのは、宗教団体や財団、社団法人などが事業主体の霊園です。管理、運営は、民間の企業が受託している場合が多くなっています。そもそも民営霊園のはじまりは、昭和30年代ころ。寺院墓地や公営霊園だけでは墓地が不足するのではないかといったことから、誕生したといわれています。寺院墓地や公営霊園と比べると、申し込み時の制限が少なく、さまざまな種類の墓地が選べることが特徴です。大抵の民営霊園は、石材の大きさや高さ、彫刻をする内容など、墓石を建立するにあたり規制や条件がある程度決まっている場合が多いです。また、基本的には石材店が自由に選べないケースもあります。そのため、霊園ごとに大体の価格相場がわかりやすくなっているので、価格のことは担当の方に聞くことをおすすめします。宗教、宗旨宗派不問がほとんどです。
寺院墓地
寺院墓地は寺院の住職の意向によって、対応が違ってきます。代々と継がれている承継されるお墓が多いため、デザイン墓のような独特な形式のお墓は少ない傾向にあります。また、石材店はその寺院に出入りをしている石材店が指定される場合が多いです。お寺の住職に相談してみることをおすすめします。

お墓の構造と各付属部分の名称
お墓の構造に決まりはありませんが、一般的な構造における各付属部分の名称を紹介しておきます。
石塔
お墓の、家名が刻まれている墓石全体を「石塔」と呼びます。石塔は前述したように「棹台」「上台」「中台」「下台」の4つの石から構成されています。
棹石
棹石(さおいし)は、お墓の一番上の部分で一般的には家名が彫刻されている部分です。お墓と聞くと、この部分をイメージする方が大半でしょう。
上台
上台(じょうだい)は、和型墓石で竿石や蓮華台の下にある石のことです。台石とも呼ばれ、この部分に家紋などを彫刻することもあります。
中台
中台(ちゅうだい・なかだい)とは、竿石と呼ばれるお墓の一番上の部分(家名などが彫刻される部分)の下あたりに位置している石のことです。骨壺を納めるスペース(カロート)の上にあることが多い部材です。洋型墓石やデザイン墓石の場合、この中台があることによって、竿石正面に彫刻されている文字が花立や水鉢などに隠れて見えなくなることを避ける役割もあります。
下台・芝台
下台・芝台はどちらもお墓の一番下の土台となる石を指し、この石は棹石・上台・中台の下に位置します。
墓納骨室(カロート)
芝台の地下に遺骨を埋蔵する納骨室を作ったものや、地上に納骨室を作ったものがあります(陸・丘カロート)。石やコンクリートで作られています。納骨室(カロート)の形状は地域によって異なります。
墓誌
墓誌(ぼし)とは、お墓の横に建立される石碑のことであり、宗旨や宗派、その地域の習わしなどで「墓標」「霊標」「戒名板」「法名碑」とさまざまな呼び方があります。墓誌には、そのお墓に納骨されている故人のお名前や戒名、没年月日などが彫刻されています。
お墓を建立する際に、墓地のスペースによっては墓誌を建立することが難しい場合もあります。宗旨宗派によってお墓に墓誌を設置するかどうかが異なり、設置する墓誌が増えれば、その分かかる費用は高くなりますが、安くするために建立しないという方法もあります。一般的な石材の場合の相場は5〜50万円です。

外柵
外柵(がいさく)とは、お墓の周りを囲う柵のことで隣の墓地との境界線としての役割があります。
水鉢
水鉢とは、先祖に水を供えるための鉢のことで、墓石の手前に作られることが多いです。
香炉
お盆や彼岸などのお墓参りの時や法要などの際に、線香を立ててお供えする「立ち置き型」と、線香を寝かせてお供えする「くりぬき型」があります。

卒塔婆立て
卒塔婆を立てておくためのものです。卒塔婆とは、先祖を供養するためにお墓を建てる木の長い板です。石製や金属製のものなでさまざまな種類がありますが、機能に変わりはありません。宗派によっては使用しない場合もあります。
花立
墓石下に左右一対で備え付けられている、お墓参りなど供養する時に仏花を立てるものが花立です。
蓮華台
蓮華とは蓮の花のことで、通常は竿石の根本に設置される場合が多いです。
灯篭
灯篭とは、その中にろうそくを立てて火を付けることで明るくなる、日本の伝統的な照明機器です。故人の浄土への道標という意味もあります。


新しいタイプの埋葬方法
最近では、一般墓ではなく、新しいタイプの埋葬方法も出てきています。一般墓より比較的求めやすい価格設定である場合が多いです。生前に寿陵として求められる方も多いタイプです。
永代供養墓
「永代供養墓」という言葉には、実は法的な定義はなく、一般的には霊園や寺院が遺族に代わって供養・管理をしてくれるお墓です。個別に埋葬するタイプと、合祀にするタイプなどがあります。
納骨堂
納骨堂とは、屋外にある墓地ではなく、主に建物の中などに個人や家族で遺骨を納められる施設のことです。
その多くが、継承を前提としない永代供養のお墓であり、お寺の敷地内などに設置されることが一般的です。
樹木葬
樹木葬は、その名の通り墓石ではなく樹木や草花を植え墓標としたスタイルです。この樹木を「シンボルツリー」とよび、1つひとつの区画に対してそれぞれシンボルツリーが1本ずつあるタイプや、1本の樹木の周りや木の下に複数の遺骨を納骨するタイプなどがあります。


墓石以外でかかる費用
納骨法要
お墓へ納骨する際には、納骨法要(納骨式)を開く必要があります。開眼法要などと同時に行うことも多いですが、回忌法要に僧侶に出席してもらう場合、3〜5万円がお布施の相場になります。地域にもよりますが、別途お車代として5,000円~10,000円程度、会食辞退の場合は、御膳料として10,000円程度を渡しするのが相場となっています。
埋葬手数料(納骨の作業費)
ご遺骨を納骨するために、お墓下部にあるカロートと呼ばれる場所を開けます。ご自身での作業が難しかったり、墓石を傷つける可能性がある場合は、石材店に作業を依頼することもできます。ご遺骨の取り出しと埋葬で工賃が2~3万円程度が相場となっています。
開眼供養
新しいお墓に納骨する場合、「開眼供養」と呼ばれる法要を行います。ただし個別に何回も供養を行わず、四十九日などの法要、納骨法要と同時に行うことも一般的になってきています。
他の法要と同時に行う場合でも、僧侶へのお布施はそれぞれ別にお渡しし各3〜5万円が御布施相場となります。僧侶に遠方から来ていただいた場合はお車代が、会食に参加されない場合はその代わりとしての御膳料がそれぞれ5千〜1万円ずつ、出席者への会食代や引き出物代が一人1万円程度必要となります。
お布施・入檀家料・志納金
入りたいお寺が信仰している宗教の下、檀家となることを入檀といいます。入檀すると、そのお寺が菩提寺となり、法要やお葬式で読経などをお願いすることになります。入檀するためには、入檀料をお寺へ支払う必要があります。地域・宗派によっても違いますが、相場は10万円から30万円前後が一般的です。
ただし、お寺ではお布施という扱いで入檀料を受け取るため、実際に聞いても一律いくらと明確な回答をしてくれるところは少ないです。また、入檀料以外にも毎年運営費などを支払う必要があります。
戒名
仏教において亡くなった後に菩提寺につけてもらう名前を戒名(かいみょう)と言います。この戒名をつけてもらうためには、戒名料(お布施)を菩提寺に支払わなくてはいけません。
戒名料の相場は、30万円〜100万円と大きな幅がありますが、この差は寺院や戒名のランクによって相場が大きく異なるためです。
お寺によって金額設定がまちまちで、戒名料を尋ねても「お気持ちで」と返されたりすることもあるので、金額の目安がわかりにくくなっています。
仏壇
仏壇は、葬儀後に故人悼む位牌を安置する場所ですが、仏壇にも様々な種類があります。相場は20万円~100万円ほどと幅広いですが、20万円~30万円がよく購入されている価格帯で、全体の平均額は372,000円となりました。
お仏壇は20年、30年あるいはもっと長い期間に渡って、その前で毎日手を合わせて故人への想いをしのぶ貴重な空間になります。安いものよりも、飽きの来ないしっかりしたデザインで、長く使える丈夫なものをお選びになることをおすすめします。
お墓のリフォームや建て替えなど
大切に管理しているお墓ですが、常時日差しや風雨にさらされている墓石は、次第に経年劣化にようる汚れや腐食する部分もでてきます。クリーニングや磨き直しでは修復が難しくなった場合は、リフォームや建て替えが必要となります。
お墓の建て替えは、現在ある墓石の撤去と新しい墓石の建立費用とともに、閉眼法要も必要になります。お墓の建て替えにかかる費用の相場は、200万円前後となっています。建て替えまでいかず修繕で収まるようならば、50万円前後がリフォーム相場となっています。いずれも高額な費用がかかるため、複数の石材店に現地調査をしてもらったうえで、見積りをもらいましょう。
改葬・墓じまい
改葬などお墓の引っ越しを行う場合、もとある墓所の墓じまいを行い、引っ越し移転先に建立する墓所も確保しなければなりません。ゆくゆくのことになりますが、改葬する場合も費用がかかることを頭に入れておきたいものです。
もとの墓石を解体して更地にして霊園管理者に返還、名義変更などを含めた新しいお墓の建立で、約200万円ほどが費用相場となります。
墓石の価格を判断する際の注意点
さまざまな要素が集約されてお墓の価格は決まってくるので、価格だけに注目してお墓を購入するのは注意する必要があります。
指定石材店制
墓地や霊園によっては石材店が指定されている場合があります。自分で安い墓石を探すことができないので、お墓の値段が高くなる可能性があります。一般的に民間の墓地の場合は石材店が指定されていることがほとんどです。寺院の場合はどちらの可能性もあるため、お寺に確認しましょう。一方で、公営の墓地には石材店が指定されていません。自分で安い墓石を探す場合は、信頼できる業者に見積りを依頼しましょう。
年間管理費など
お墓を建ててしまえば費用はもうかからないと思ったらそれは間違いです。公営霊園や民営霊園は霊園の維持管理のために年間管理費を設定しているところがほとんどです。また、寺院墓地はお布施が必要な局面が出てきますので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
改葬など
改葬などお墓の引っ越しを行う場合、もとある墓所の墓じまいを行い、引っ越し移転先に建立する墓所も確保しなければなりません。ゆくゆくのことになりますが、改葬する場合も費用がかかることを頭に入れておきたいものです。
リフォームや建て替えなど
リフォームや建て替えを行う場合も価格がかかってきます。リフォームの内容にもよりますが、墓石の手入れをする場合には費用が発生してきます。