墓石というとどのような形のものを思い浮かべますか?〇〇家の墓と彫られた昔ながらの代々継いでいく和風のお墓であったり、最近では洋型のお墓などに人気が集まっているようです。
実は、寺院やデザインの規制がある霊園墓地など以外では、墓石のデザインは自由に行うことができます。本記事では、墓石のデザインや種類による相場の違いなどについてご紹介していきます。
デザイン墓石とは
和型でも洋型でもない、デザインの工夫が施されたオリジナリティある墓石をデザイン墓石と総称しています。石種はもちろん、形や彫刻など故人の個性やご家族への大切な想いを表現したものがほとんどです。
昨今では、核家族化により実家が遠くお墓参りが難しいため、先祖代々のお墓を墓じまいされる方も多くなっています。改葬する際に、宗旨宗派、地域などの決まりに縛られず、自由にデザインされる方も多くみられます。
デザイン墓石は完全オーダーとセミオーダーがある
完全にデザインを一から作り上げるオリジナルのデザイン墓石のほか、石材店などがデザインを開発したセミオーダーのデザイン墓石があります。費用や耐久性の問題もありますので、完全オリジナル墓よりも、セミオーダーのデザイン墓石を選択される方が多く見られます。
どんなデザイン墓石がある?
故人の生前の生きざまを墓石のデザインで象徴するものや、趣味・好きだったものをデザインするものなどさまざまです。墓石の形も自由、家紋、好きな言葉などをイラストや言葉で想いを彫刻するなど表現方法も自由です。
大瀧詠一のお墓
デザイン墓石の費用相場/コストを抑えるには?
セミオーダーのデザイン墓石の場合は150万円~200万円程度、完全オリジナルのデザイン墓石の場合は250万円程度が目安となります。
ただし、この費用目安は平均的なものです。次のような要因でコストはあがります。
- 製作期間が長くなる
- 石の種類(石種)にこだわる
- 石の使用量が多くなる
- 凝った形にする
- こだわりの彫刻をする
単純に石材を彫り込む「彫込み」以外にも、「グラデーション彫り」「浮かし彫り」「中彫り」「線彫り」など様々あります。その彫刻に要する技術の難しさのほか、特別な素材や道具を必要とする特殊な彫刻方法を選択した場合、その分、彫刻費用も上がります。
デザイン墓石を建てる場合でも、上記のような点を注意すればコストを抑えることができると言えるでしょう。
デザイン墓石を依頼する前に確認しておきたいこと
デザイン墓のデザインを進めるにあたり、確認しておきたい事項がいくつかあります。事前に確認しておかないと、お墓が建てられない場合もあります。必ず確認しておきましょう。
購入を想定している霊園ではデザイン墓を建てることができるか
霊園・墓地によっては、石材の高さ制限や彫刻するデザインのガイドラインが決まっている場合があります。デザイン墓石を建てようとお考えの方は、購入を想定している霊園の規約をあらかじめ確認しておきましょう。
どの石材店でもデザイン墓を頼めるわけではない
デザイン墓はその一つひとつがオリジナルです。デザインはもちろんですが、使用する石材も特別に発注することになります。そういった一連の業務は、どの石材店でも対応しているとは限りません。デザイン墓の施工を取り扱っている石材店にお願いする必要があります。


家族や親類の了承を得る
デザイン墓という性質上、墓石の形態はオリジナリティある独特なデザインになる傾向が高くなります。そのため、亡くなる故人のためだけのデザインとなる可能性もあります。お墓参りで故人を偲ぶ際や、今後、家族も一緒にお墓に入る可能性もあります。そのことを家族や親類にあらかじめ理解してもらえるようにしておきたいものです。

デザイン墓石を建てるまで
デザイン墓石を建立するまでにどのようプロセスを経たらよいのかを見ていきます。
デザイン打ち合わせ
どのようなデザインにするのかについて、石材店の担当者と打ち合わせを行います。希望を伝えると、石材店ではその希望に沿った内容にて図面を起こしてくれます。実際に図面を見ながら、修正を加えていきデザインを詰めていきます。
お墓は一生を越えて残る大切なものですので、デザインの良さだけでは不十分です。地震がきても壊れない免振施行を納骨室(カロート)に施したり、掃除がしやすいなども考える必要があります。
現地計測
デザインをを進めていくにあたり、実際に墓所を計測して、物理的に可能なデザインへと落とし込んでいきます。
石の種類を決める
墓石デザインにマッチした石種を選んでいきます。
日本の墓石に使われている代表的な石といえば御影石(みかげいし)ですが、最近は陶磁板や強化ガラスと石材を組み合わせたデザイン墓もあります。強化ガラスは石材よりも多彩な色が選べるので、自分の個性を表現しやすく、ラグジュアリー感もあるため、女性を中心に非常に人気があります。
石種がきまったら墓石への彫刻についても打ち合わせします。墓石には、言葉や文字だけでなく、モチーフも彫刻することが可能です。モチーフの彫刻例には、家紋・月・花・リボンなどが挙げられます。彫刻技法も様々で、それぞれ印象が全く違ってきます。また、亡くなったペットのお墓には生前のペットの似顔絵をレーザー彫刻するタイプも最近人気のようです。
契約
デザイン内容と見積もりに納得した上で、契約締結を行います。
墓石の加工
採石された石材を、デザインに沿った形に加工、彫刻していきます。
墓石を建てる
墓地にて、墓石を建てる施工工事を行います。墓石の他に拝石や灯籠、塔婆立などを注文した場合は、墓石設置後に据え付けます。
引き渡し
完成したデザイン墓石を施主に引き渡します。

墓地・霊園の種類によるデザイン墓建立の受け入れの違い
墓地・霊園は大きく3つのタイプにわかれています。それぞれのタイプごとにデザイン墓建立の受け入れ態勢の傾向がありますのでご確認しておきましょう。
公営霊園
公営霊園は、基本的にどのようなお墓を建立しても問題はありません。ただし、高さや大きさの制限がある場合もありますので、申し込みの前によく確認しておきましょう。
また、公営霊園では石材店を自由に選択することができます。そのため、デザイン墓石を受け入れてくれる石材店を探すことがポイントになってきます。

民営霊園
民営霊園は、霊園により制限がさまざまです。石材の大きさや高さ、墓碑に彫刻をする内容など、墓石を建てるにあたり規制や供養方法の条件がある程度決まっている場合もあれば、自由に建てることができる場合もあります。霊園を選ぶときによく確認しておきましょう。
また、民営霊園では「指定石材店制度」があり、基本的に石材店が自由に選べない場合が多いです。指定された石材店がデザイン墓石を扱っているかもあわせて確認しておきましょう。

寺院墓地
寺院墓地は、寺院の住職の意向によって対応が違ってきます。代々と継がれている承継されるお墓が多いため、デザイン墓のような独特な形式のお墓は少ない傾向にあります。
また、石材店はその寺院墓地に出入りをしている石材店が指定される場合が多いです。寺院墓地においても、民営霊園と同様にデザイン墓を建てたい場合には事前に確認をした方がよいでしょう。

デザイン墓石を建てるなら
大切な家族への想いや故人の個性を象徴した、世界にたった一つのデザイン墓。想いを形に残すためにも、デザイン墓石を建てるためには、確認を怠らないようにしましょう。
デザイン墓石の建立が可能な墓所を探し、対応が可能な石材店を選定し、デザインも費用も納得できるデザイン墓を建てましょう。墓所探しや石材店選びでお困りのことがあれば、いいお墓へお気軽にご相談ください。