墓石とは – 墓石・石材の種類や形状、墓石加工と工事、納骨の流れなど徹底解説

お墓とは、故人を埋葬する場所に建つシンボルです。葬儀を執り行い、火葬した遺骨を埋葬した後は手を合わせ、供養の対象となる場所でもあります。日本で一般の人がお墓を建てるようになったのは江戸時代からだといわれています。霊園、墓地、墓所などお墓を指す言葉はたくさんありますが、それだけ暮らしになじみ深いものということかもしれません。

故人の戒名・法号と死亡年月日を記してお祀りするのが位牌です(浄土真宗では位牌は用いません)。そして、仏教各宗派の本尊仏とともに、位牌や法名軸などをお祀りするのが仏壇です。また、仏具なども仏前に供えます。

仏壇や位牌はお墓と同様に故人の魂が入っているとされていますが、お墓との違いは、遺骨が納められているかどうか、ご本尊様を祀っているかどうかという点にあります。

わざわざ足を運んでお参りするお墓は、故人を身近に感じる仏壇とは異なる存在であります。しかし、故人と向き合い、故人の思い出を巡らせるための貴重な時間を生み出してくれる一種のシンボルとして、私たちの生活の一部となっていることに相違はありません。

ここでは、なぜお墓を建てるのか、その目的・種類・石種などについて詳しく説明していきます。

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墓石の種類

墓石の形や大きさに決まりはありません。予算が許せば自由に形を決めることができます。しかし、霊園や墓地には決められた区画があり、その霊園や墓地ごとに墓石施工に関するガイドラインが存在しています。ただし、墓石の形態は大まかに分別することができます。

和型墓石

江戸時代に一般化した伝統的な墓石です。これは台石の上に、竿石と呼ばれる塔状の石を建てたものです。竿石とは、お墓の一番縦に長い部分の石です。ここに家名などの文字を刻みます。お墓というとこの和型墓石をイメージする方が多いのではないでしょうか。

洋型墓石

洋型とはいっても日本で造り出された墓石ですから、和洋折衷型と考えることができます。厚めの台石の上に、低く幅の広い石を載せた形が一般的です。最近はこの洋型墓石のタイプが増えてきています。洋型には「オルガン」型という形態もあります。これは正面から見ると横長の長方形の形をしており、棹石が斜めに角度がついているためオルガンの形に似ていることから「オルガン」型と呼ばれています。

デザイン墓石

一般的な形式にとらわれない個性的なデザインの墓石を求める方も増えてきました。この背景には家を基軸としていた墓地の在り方が、故人を主体としたものへと変化してきている事情があると考えられます。自由な形式を認める霊園などでは、故人の職業や趣味、宇宙観などを表した意匠的な墓石を見ることもできます。

現在では、上記3タイプが主流となりますが、「五輪塔」「宝篋印塔」「宝塔・多宝塔」「無縫塔」などの種類もあります。また、「神道」の墓石の形態は異なるものになります。

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墓石の選び方 – 石材の種類から石材店の選び方まで一挙に公開!
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墓石に使われる石種

お墓は何代にもわたって子孫に受け継がれていくものです。したがって硬度が高く、吸水性が低い、風化しにくい石を選ぶことが大切です。風化作用に強く、磨くと光沢が出る素材としてしられているのは、花崗岩、安山岩、閃緑岩、班れい岩などです。

よく御影石という名前を耳にしますが、御影石とは花崗岩の総称です。六甲山嶺の神戸市御影付近が産地として有名だったのでそのように呼ばれるようになりました。

御影石は墓石として最も人気があり、国内産地としては茨城県(稲田御影、真壁御影)、福島県(浮金石)、山梨県(甲州御影)、愛知県(三州御影)、香川県(庵治石)、山口県(徳山御影)などが有名です。

現在、外国からの石材輸入が多くなっていますが、その中でも中国からの石材輸入比率が高くなっています。中国で墓石などの製品化が本格化したのは1990年代で、福建省で日本の業者との合弁工場が作られたのがきっかけとなります。

そのほか、黒系の花崗岩「クンナム」が採掘されるインドも石材の産地として有名です。

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お墓の構造と各部分の名称

お墓の構造に決まりはありませんが、一般的な構造における各部分の名称を紹介します。

墓誌

墓誌は、そのお墓に埋葬されている先祖の戒名生年月日・没年月日など「銘」を刻むものです。功績などを刻むこともあります。

納骨室(カロート)

芝台の地下に納骨室を作ったもの(陸カロート)や、地上に納骨室を作ったもの(丘カロート)があります。納骨室は、石やコンクリートで作られています。納骨室の形式は地域によって異なります。

水鉢

先祖に水を供えるための鉢のことで、墓石の手前に作られることが多いです。

香炉

線香を立ててお供えする「立ち置き型」と、寝かせてお供えする「くりぬき型」があります。

卒塔婆立て

卒塔婆を立てておくためのものです。
卒塔婆は略して別名「塔婆(とうば)」ともいい、仏塔のことを意味しますが、一般的には『追善供養のために経文や題目などを書き、お墓の後ろに立てる塔の形をした縦長の木片のこと』をいいます。宗派によっては使用しない場合もあります。
卒塔婆立ては、石製や金属製のものまでさまざまな種類がありますが、機能に変わりはありません。

花立

墓石に備え付けられている、供養をする時に花を立てるものが花立です。

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蓮華台

蓮華とは蓮の花のことで、通常は竿石の根本に設置される場合が多いです。

墓石の彫刻・文字 – 戒名彫刻の値段や時期、方法を解説
墓石には、戒名や没年月日、享年などを彫刻します。正面は家名が一般的ですが、故人にゆかりのある言葉やイラストを彫刻する方も多いです。この記事では、墓石に戒名を彫刻する値段や時期、方法を解説します。

墓石の歴史

「日本最古のお墓」といわれるお墓は、旧石器時代にまでさかのぼることができます。縄文時代には土坑墓と呼ばれるお墓に手足を折り曲げてそのまま土に埋葬する土葬(屈葬)が一般的でしたが、江戸時代になると木や石の下に遺体を埋葬するようになりました。
また江戸時代には、武士のお墓に身分によって石塔婆などが設置されるようになりました。これが現代の卒塔婆の原型になったと考えられています。

墓石の加工

石材を墓石としてお墓に仕上げる際には加工が必要となります。例えば石を切り出してから墓を作る過程のうち、石台の端を亀のお腹のようなアーチ状の形に仕上げる加工は「亀腹(かめばら)」といい、石台の端になだらかな傾斜を作る「水垂(みずたれ)」加工などもあります。どちらも水はけを良くして墓石の劣化を抑える効果が得られます。

また、デザイン性を重視して加工を施す場合もあります。もともと蓮華台と呼ばれる装飾部分を簡略化した「スリン」と呼ばれる部分もデザイン性を向上させるためによく用いられます。

墓石加工(香箱/トキン/亀腹/すりん/蓮華座/水垂加工など)
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墓石の工事

国内、国外の採石場から採石された石材は、加工工場に運ばれ、墓石に加工されます。その間に墓地では基礎工事などの準備を始めます。石材店による工事開始から墓石の据え付けが終わるまで、数週間ほど掛かるのが一般的です。

基礎工事

基礎工事とは、図面に従い外柵や石碑を据え付けるためにコンクリートの基礎を打つ施工工事のことです。耐久性と強度を向上させるため、外柵の基礎工事には鉄筋を配していきます。

外柵据え付け

基礎工事を終えたら、外柵の据え付けを行います。外柵とは周囲との境界を分けるために墓地の回りを囲んだものでさまざまな形式があります。墓所や霊園によっては、外柵がないケースもあります。土台石→階段→玉垣の順番で据え付けを行います。

石碑据え付け

外柵工事を終えたら、石碑の据え付けを行います。芝台→中台→上台→竿石→付属品の順番で据え付けを行います。石碑にはあらかじめお客さまの依頼に従った、家名などの文字や、家紋など基礎彫刻がなされています。文字の書体は、業者が書体見本を見せてくれるので、その中から選びます。

完成検査

墓所完成後は完成検査を行います。

引き渡し

お客さまへの引き渡しを行います。

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墓地、霊園の種類

墓地、霊園は大きく3つのタイプにわかれています。

公営霊園

都道府県、市町村などの地方自治体が管理・運営している墓地です。申し込みや問い合わせは、各都道府県や市区町村の役所になります。

公営霊園は、墓地にとって最も重要な永続性が保証されており、かつ、永代使用料や管理費が安く抑えられています。また、自治体が管理をしているので、宗旨宗派による申し込みの制限など宗教的な制約は一切ありません。ただし契約に関してはいろいろと条件がつきます。現住所がその自治体にある、お墓の承継者がいる、遺骨がある、などです。

募集に関しても、随時行っているわけではありませんし、募集があっても希望者が多い場合は抽選制で、購入が困難な場合もあります。

また、大規模開発の霊園が多いため、立地の面で不便なところも少なくありません。申し込みにあたっては十分な検討が必要です。

公営霊園とは?特徴と費用相場、民営霊園との違い
公営霊園とは地方自治体が運営する霊園で、安定した経営や石材店・宗教の制約がないのがメリットです。公営霊園に入るには、基本的にその自治体に住んでいなければなりません。

民営霊園

財団法人や社団法人、宗教法人が事業主体であり、民間企業が運営の委託を受けているケースもある霊園です。宗旨宗派を問わず申し込むことができます。

公営霊園に比べると永代使用料や管理費などは多少割高ですが、遺骨の有無などで申し込みに制限がかけられることはほとんどありません。

霊園によってはお墓のデザインや大きさなどを自由に選べる場合もありますが、石材店は指定されている場合が多いようです。

民営霊園・墓地とは?特徴と費用相場、メリット・デメリット
民営霊園とは、宗教法人・財団法人・社団法人などの委託を受けて民間企業が管理・運営する霊園。自由度が高い一方、費用が割高で指定石材店があるのがデメリットです。ここでは、民営霊園の特徴や費用、メリット・デメリットを紹介します。

寺院墓地

寺院墓地は、大抵、寺院の境内地にあり、その寺院が管理している墓地のことをいいます。

寺院墓地のお墓を求めるということは、そのお寺の檀家になることが前提となっている場合がほとんどなので、必ずその寺院の住職にお寺の行事やお付き合いの仕方などについて確認しておいた方がよいでしょう。同時に、住職の人柄についても、長く信頼してお付き合いできるかどうか考慮に入れる必要があります。

メリットとしては、手厚く供養していただけるという点です。お墓が境内にあるので法要を本堂で営むことができ、依頼をすれば僧侶が読経して供養してくれます。お寺の中にあるので、管理面でも安心です。

寺院墓地とは?費用相場やメリット・デメリット、霊園との違いを解説
寺院墓地とは、お寺が主体となって管理・運営する墓地。寺院と直接繋がって手厚い供養を受けられる一方で、自由度が比較的低いです。ここでは寺院墓地の特徴や費用相場、メリット・デメリットを解説します。

新たな埋葬方法のお墓

昨今では、石材を使った従来型のお墓だけではなく、新たな埋葬方法のお墓も注目を集めています。

永代供養墓

永代供養墓は寺院や霊園が承継者に代わって供養や管理をしてくれるお墓のことで、承継者がいない方や、家族に面倒をかけたくないという理由から、近年需要が高まってきています。

永代供養墓には、永代使用料が個別のお墓よりも比較的安いなど、さまざまなメリットがあります。ただ、永代供養墓と言っても、遺骨を合祀・合葬するものから個別に保管するもの、また納骨する場所が地下だったり地上だったりと、さまざまなタイプがあります。

永代供養墓のデメリット5選!メリットや費用相場、注意点も解説
永代供養墓のデメリットは、お墓の継承・遺骨の取り出し・従来の墓参りができないこと。また、一般的なお墓と違いが多いため、周囲の理解を得にくいかもしれません。ここでは、永代供養墓のデメリット・メリットと購入者のリアルな声を紹介します。

納骨堂

納骨堂とは、骨壷に入った遺骨をそのまま納めておく建物のことです。納骨堂は、公営霊園や寺院の中に設置されていることが多いです。最近では、駅から近い場所に納骨堂が設けられることも多く、また、機械式の自動搬送式納骨堂などにも人気が集まっています。

納骨堂は一般的なお墓と違って、墓石が不要です。そのためコストを抑えることができるというメリットがあります。

近年では、お墓を相続する家族のいない方が、納骨堂のあるお寺や寺院に永代供養を頼むことも多くなっています。

納骨堂の費用相場は平均80.3万円!ロッカー式など種類別の価格や内訳を紹介
納骨堂の費用相場は平均80.3万円で、安いのはロッカー式20~80万円、位牌式10~30万円です。ただし納骨堂は、種類や納骨人数によって金額幅が広め。ここでは、納骨堂の費用相場を種類別・収骨人数別に紹介します。

樹木葬

”自然に還る”というコンセプトのもと、墓石の代わりに樹木を墓標とするのが樹木葬です。散骨などと並ぶ自然葬の一種で、近年希望者が増えている埋葬のスタイルです。

メリットとして挙げられることのひとつに、一般墓に比べて費用を安く抑えられる点があります。その理由として、墓石を使わず広いスペースを必要としないという樹木葬の特長が大きく関わっています。最近では、既にあるお墓に納骨されている遺骨の一部を墓じまいして散骨、一部をお引越し、つまり改葬先として樹木葬を購入するケースなどもでてきています。

また、生前にお墓を探す方にとって樹木葬は、自然に還るため後継ぎが不要なことや、石材をあまり使わないためリーズナブルなことなどが魅力的に見え注目が集まっています。

墓じまいのトラブル事例と解決策/改葬先・遺骨の移動先についても解説
記事を先読み家族や親族とのトラブルを避けるために、勝手に決めずにじっくり話し合う寺院とのトラブルを避けるために、改葬理由を正しく伝え、理解してもらう石材店とのトラブルを避けるために、事前に詳細見積りの取得は必須墓じまいとは、現在あるお墓を撤

お墓への納骨手続き

遺骨を埋葬するには埋葬許可証を、墓地のあるお寺か霊園の管理事務所に提出します。納骨の日が決まれば、家族や親せき、故人と親しかった方などに知らせます。

石材店に連絡をして、すでに先祖を祀っているお墓に納骨する場合は、戒名などを新たに彫ってもらい、生前に建てた寿陵墓の場合は、墓石に刻んである戒名などから事前に朱色を取り除いてもらいます。

新しくお墓を建てた場合の納骨法要は、開眼法要を兼ねた形で行われます。既に先祖を祀っているお墓に納骨する場合は、納骨法要のみを行います。

お墓を掃除する

お墓の周囲の雑草やごみを掃除し、墓石も清めます。

墓前に供え物をする

基本的には開眼法要と変わりませんが、供え物には故人の好物も加えます。

墓前での法要

寺院の僧侶が、墓前で、お墓の開眼法要(必要な場合)と納骨法要を行います。

納骨

納骨室の入り口の石を取り外し、納骨を執り行います。

読経と焼香

僧侶の読経の間に、参列者全員が再び焼香をします。

法事・法要とは – 忌日法要・年忌法要/法事の流れとお墓参りの仕方
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お墓選びの流れ

お墓は一生に一度の大きな買い物です。気に入らなかったから買い替えるというわけにはいきません。それだけ慎重に選ばなければならないのです。お墓を選ぶ際、どのような点に注意すればよいのか、後々、後悔しないですむお墓選びをしていきましょう。

お墓を購入するときはどうする?流れや費用、注意点を解説
お墓を購入する主な流れは、建てるお墓の検討→霊園の決定→墓石の決定。購入前に価格・立地・環境・設備・管理状況・宗旨宗派などを確認しましょう。ここではお墓を購入する流れや費用、失敗しないポイントを紹介します。

資料請求で複数の墓地の情報を手に入れる

資料請求で気になる霊園の情報を手に入れましょう。
お墓の種類だけでなく、民間霊園寺院墓地、公営霊園など運営母体などもチェックできます。
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霊園の見学予約

気になる霊園が決まったら、現地で見学をしましょう。
資料だけでは確認できないポイントや、交通アクセスなども確認しましょう。
家族が来やすい立地を選ぶことがポイントです。

お墓・霊園見学の方法とは?チェックポイントと注意点
お墓・霊園見学のチェックポイントは、アクセス・設備環境・管理状況など。見学前に霊園に申し込みをして、当日は動きやすい洋服と靴で訪れましょう。ここでは、お墓見学のチェックポイントや服装・持ち物、霊園の申し込み方法などを紹介します。