霊園の管理事務所はどんなことをしてくれる?お墓の購入から墓じまいまで

墓地・霊園にはほとんどの場合、管理事務所が置かれています。

管理事務所は墓地の管理を行うだけでなく、お墓に関するあらゆる手続きや、相談事があったときに対応してくれる窓口となっています。管理事務所が対応している内容は、墓地、霊園ごとに違うため、どのような団体がどのように運営する霊園か、どのような対応をしてくれるかをあらかじめ知っておく方がよいでしょう。

今回は、お墓をこれから建てたり、購入したりする人はもちろん、承継やリフォーム、墓じまいなどの節目を迎えた方にも役立つ情報をお届けします。

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お墓の選び方やチェックポイントがわかる

公営霊園、民間霊園、寺院墓地。それぞれの管理主体は?

厚生労働省により、墓地・霊園を管理・運営できるのは、「地方自治体」「公益法人」「宗教法人」の3種の経営主体のみと定められています。そのため、どの経営主体が運営しているかによって、墓地・霊園も公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地の3種類に分けられます。ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。

公営霊園

「公営霊園」は、自治体が経営を管理している霊園です。市区町村によって直接管理している場合と、民間企業やNPO法人に管理を委託している場合があります(指定管理者制度)。

他の経営主体の霊園よりも、安価で購入できるケースが多いなど、購入時には人気がありますが、書類上の手続きが煩雑であるというデメリットもあります。

民営霊園

「民営霊園」の経営主体は、公益法人か宗教法人です。民間といっても、霊園・墓地を経営しているのは民間企業ではありません。管理や運営のみ、一般企業に委託するケースもあります。

宗派を問われないことも多く、さまざまなタイプの霊園・墓地から選ぶことができます。また、書類上の手続きも簡単であることが多いです。

一方で、販売会社と管理会社が違うケースや、管理体制がイメージと違うこともあるため、後々困らないように購入前にきちんと確認しましょう。

寺院墓地

「寺院墓地」は、宗教法人が経営主体をとなる墓地で、原則として寺院が管理を行っています。寺院墓地を取得する場合は、基本的にはその寺院の檀家になる必要があります。

しかし最近では、檀家用墓地とは別に、檀家になる必要がない墓地を造る寺院も増えてきました。書類の手続きや管理の厳しさは寺院の考え方によって違い、寺院が窓口になるため管理事務所を設けていないことも多いようです。

※檀家専用であることもあるため、寺院墓地を購入したい場合は、取得条件などをよく確認しましょう。

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霊園の管理事務所はどんなことに対応してくれる?

公営霊園・民間霊園では、窓口として管理事務所が置かれています。寺院墓地は、直接寺院が運営しているため管理事務所がないことが多く、その場合は寺院に直接問い合わせましょう。

また、公営霊園の場合は、地方自治体と霊園で、内容によって対応する窓口が分かれることがあります。事前に確認しておくとよいでしょう。

次に、霊園の管理事務所が、管理・対応している主な内容をご紹介します。

墓地を購入する

墓地を購入したいとき、連絡先は管理事務所になります。空きがある場合、墓地の購入は先着順ですが、公営霊園は抽選を行うこともあり、その場合の窓口は各行政内になります。

墓地を取得したい際は、管理事務所に聞くか、行政に問い合わせましょう。

墓石を建てる

墓石を建てる際、管理事務所に届け出を出す必要があります。必要書類や規約、指定業者などのルールは霊園ごと違うので、管理事務所に確認が必要です。

リフォーム・修繕など

部分的な修繕など小さな工事であっても、工事届の提出が必要な場合もあります。また機材の搬入などもあるため、必ず管理事務所に確認してから行いましょう。

納骨

納骨の際には、火葬場から遺骨と共に渡される「埋葬許可証」を管理事務所に提出します。

また、納骨を執り行う際には、お寺から住職を読んで、開眼供養をしてもらいます。これは、供養することでお墓に仏様の魂を入れるという意味合いであり、新しくお墓を建てたとき、仏壇を新たに購入したときにも行います。四十九日や一周忌などの法要、納骨式と一緒に行い、僧侶をお呼びして読経してもらいます。

民営霊園では、管理事務所で住職の手配をしてくれる霊園も増えているようです。

承継の手続き

墓地や墓石は法律上「祭祀財産」と呼ばれ、分割相続をすることができません。そのため、承継する権利がある人の中から、1人が承継することになります。

承継するためには、ほかの人の承継放棄の書類をはじめ、必要書類や多くの手続きをしなくてはいけません。それらの提出先は、霊園・墓地の管理事務所になります。

※お墓の購入をする際、区画となる土地を購入するわけではなく、正しくは「使用権」を買うという意味になります。永代使用権は、承継者がいる限り使用できる権利なので、相続することが可能です。

改葬・墓石の撤去・墓地の返還などの手続き

改葬お墓の引っ越し)や、墓石の解体撤去、墓地の返還、墓じまいの際も、管理事務所に連絡しましょう。

遺骨を取り出すときと、新しく納骨するときには「改葬許可申請書」が必要となるため、墓地がある自治体の役所で発行してもらってください。改葬許可申請書の申請時に、既存の墓地の管理者が発行する埋葬証明書や、新しい納骨場所の管理人が発行する受入証明書が必要になることがあります。改葬の際は、新旧両方の管理事務所に確認しましょう。

また、お墓を閉じることを「墓じまい」といいます。墓じまいでは、既存のお墓から遺骨を移し、お墓を片付けて更地にし、墓地の管理者に返還します。遺骨を取り出す際、納骨のときのように僧侶を呼び、「閉眼供養(魂抜き)」のお経を唱えてもらいます

書類の発行・管理など

墓地使用許可証などの各種必要書類の発行、書類の管理、所有者の住所変更などの事務作業も行っています。

墓地の設備管理

霊園の管理人は、霊園の共用部分の管理や清掃を行っています。お参りに来た利用者が、気持ちよく使用できるように、水道・トイレ・休憩施設などの不具合のチェックやメンテナンスを行っているのです。

ただし、あくまで共用部分に限り、個人の区画は対象ではありません。

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それぞれのタイプの墓地の年間の管理費用は?

霊園の区画を購入すると、定期的に管理費を納めることになります。

いいお墓でご案内している霊園の管理費相場は、公営霊園(東京都・一般埋蔵施設、1㎡あたり)で700円程度、民営霊園では5,000円~15,000円程度、寺院墓地6,000円~25,000円程度となっています。

お墓の管理費は、1年単位で納める霊園・墓地が多いようですが、数年分をまとめて納めるケースもあります。金額には幅がありますが、一般的に公営霊園に比べ、民営霊園や寺院墓地の方が高くなる傾向があります。また、管理費には消費税がかかります

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墓地の運営主体に求められる三原則

墓地の運営団体には、死者の尊厳をまもり、高い倫理性と公共性をもつことが求められており、「永続性」「公益性」「非営利性」という三原則があります。

永続性

墓地は、世代を超えていつまでもそこにあることが大切です。運営団体も、すぐに倒産するようなことなどなく、永続性がなければなりません。

公益性

亡骸が火葬されることが決まっているのと同様に、墓地や納骨堂などの埋葬地も高い倫理的な公益性が求められます。

非営利性

利益を出すための民間企業と違い、営利目的であってはいけません。

日本は宗教の自由が許された国であり、法に基づいた上でならば、どのように埋葬・供養されるかは自由です。だからこそ、運営主体には上記の三原則が求められており、倫理に基づいて死者の尊厳を守ることが何よりも大事だとされています。

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お墓に関する相談事、手続きは管理事務所へ

霊園・寺院の管理事務所は、施設の管理だけでなく、墓地の購入、墓石の建立、納骨、リフォーム、改葬、墓じまいまで、お墓にまつわるあらゆる管理を行い、利用者の相談窓口となる場所です。お墓に関するあらゆる節目には、管理事務所に事前確認や相談をするようにしましょう。

さらに、管理事務所は「法要」についても相談が可能なところが多く、公営でも「法要室」がある霊園もあります。

公営霊園の場合は、地方自治体ごとに手続き・管理が異なるため、場合によって管理事務所か自治体どちらかに対応が分かれます。また、民営霊園では施設ごとに、寺院墓地では寺院ごとに対応が異なります。これからお墓を建てる人は、管理事務所と、その対応についても確認しておきましょう。修繕や改装、墓じまいなどに関しても、先々のトラブルとならないように確認しておくとさらに安心ですね。