お墓を購入するのは一生に一度あるかないかの出来事です。そのため、お墓を購入しようとなった時、何を基準に選んだらよいのかが分からない方がほとんどでしょう。
ここでは、墓石の選び方を紹介していきます。墓石は、その種類も多いですし、石種や大きさによっても価格は違ってきます。また、公営霊園、民営霊園、寺院墓地など、お墓を建てる場所によっても慣例や価格は異なります。
墓石を購入をお考えの方に参考となるような情報を一挙に公開します。
墓石の種類
墓石の形や大きさには決まりはありません。予算が許せば自由に形を決めることができます。しかし、霊園や墓地には決められた区画があり、その霊園や墓地ごとに墓石施工に際するガイドラインが存在しています。ただし、墓石の形態は大まかに分別することができます。
和型墓石
江戸時代に一般化した伝統的な墓石です。これは台石の上に、竿石と呼ばれる塔状の石を建てたものです。竿石とは、お墓の一番縦に長い部分の石です。ここに家名などの文字を刻みます。お墓というとこの和型墓石をイメージする方が多いと思います。
洋型墓石
洋型とはいっても日本で造り出された墓石ですから、和洋折衷型と考えることができます。厚めの台石の上に、低く幅の広い石を載せた形が一般的です。最近はこの洋型墓石のタイプが増えてきています。洋型タイプには「オルガン」型という形態もあります。これは正面から見ると横長の長方形の形をしており、棹石が斜めに角度がついておりオルガンの形に似ていることから「オルガン」型と呼ばれています。
デザイン墓石
一般的な形式にとらわれない個性的なデザインの墓石を求める方も増えてきました。この背景には家を基軸としていた墓地の在り方が、故人を主体としたものへと変化してきている事情があると考えられます。自由な形式を認める霊園などでは、故人の職業や趣味、宇宙観などを表した意匠的な墓石を見ることもできます。
現在では、上記3タイプが主流となりますが、「五輪塔」「宝篋印塔」「宝塔・多宝塔」「無縫塔」などの種類もあります。また、「神道」の墓石の形態は異なるものになります。
墓石に使われる石種
お墓は何代にもわたって子々孫々に受け継がれていくものです。したがって硬度が高く、雨風にも耐え、ひび割れしにくく、風化に強い石を選ぶことが大切です。墓石は主に火成岩が使用されます。火成岩は、火山岩(玄武岩、安山岩など)、深成岩(花崗岩や、緑岩、斑れい岩など)、半深成岩に分類されます。風化作用に強く、磨くと光沢が出る素材としてしられているのは、花崗岩、安山岩、班れい岩などです。
よく御影石という名前を耳にしますが、御影石とは花崗岩の総称です。六甲山嶺の神戸市御影付近が産地として有名だったのでそのように呼ばれるようになりました。
御影石は墓石として最も人気があり、国内産墓石の産地としては、茨城県(稲田御影、真壁御影)、福島県(浮金石)、山梨県(甲州御影)、愛知県(三州御影)、香川県(庵治石)、山口県(徳山御影)などが有名です。
現在では多くを外国から輸入をしています。その中でも中国からの石材輸入が多くを占めています。中国で墓石などの製品化が本格化したのは1990年代で、福建省で日本の業者との合弁工場が作られたのがきっかけとなります。
そのほか、黒系の花崗岩「クンナム」が採掘されるインドも石材の産地として有名です。
どの墓石を選ぶのかは、価格に大きく反映していきます。
お墓に最適な石種3条件
一般的に、硬くて、吸水性が低い石ほど、耐久性に優れているといわれていますが、「硬さ」や「吸水性」のほか、「艶」「班の模様の密度」「色調」などのポイントを自らチェックしてみるのもよいでしょう。しかし、石種は嗜好性も強いので、実際にサンプルを手にとって直感で選んでみるのも1つの方法です。また、出身地などゆかりある土地から産出される石種を選択するという方法もあります。石調に関しては、概して、関西は白系統、関東以北では黒系統の墓石が好まれる傾向があります。
・硬いこと
・水を吸いにくいこと
・長持ちすること
お墓の構造と各部分の名称
お墓の構造に決まりはありませんが、一般的な構造における各部分の名称を紹介します。
石碑
お墓の家名や題字などを彫る墓石全体を石碑と呼びます。
墓誌
墓誌は、そのお墓に埋葬されている先祖の戒名生年月日・没年月日など「銘」を刻むものです。功績などを刻むこともあります。
納骨室(カロート)
芝台の地下に納骨室を作ったものや、地上に納骨室を作ったものがあります(陸・丘カロート)。石やコンクリートで作られています。納骨室(カロート)の形式は地域によって異なります。
水鉢
水鉢とは、先祖に水を供えるための鉢のことで、墓石の手前に作られることが多いです。
香炉
香炉には、線香を立ててお供えする「立ち置き型」と、寝かせてお供えする「くりぬき型」があります。
卒塔婆立て
卒塔婆を立てておくためのものです。卒塔婆とは、先祖を供養するためにお墓を建てる木の長い板です。卒塔婆立てには、石製や金属製のものなでさまざまな種類がありますが、機能に変わりはありません。宗派によっては使用しない場合もあります。
花立
墓石に備え付けられている、供養する時に花を立てるものが花立です。
蓮華台
蓮華とは蓮の花のことで、通常は竿石の根本に設置される場合が多いです。
外柵
外柵(がいさく)とは、お墓の周りを囲う柵のことで隣の墓地との境界線としての役割があります。
墓石の加工
石材としての墓石をお墓に仕上げる際には加工が必要となります。例えば採石してから墓を作る過程のうち石台の端を亀のお腹のようなアーチ状の形に仕上げる加工は「亀腹」といい、石台の端になだらかな傾斜を作る「水垂(みずたれ)」加工などもあります。どちらも水はけを良くして墓石の劣化を抑える効果が得られます。
また、デザイン性を重視して加工を施す場合もあります。もともと蓮華台と呼ばれる装飾部分を簡略化した「スリン」と呼ばれる部分もデザイン性を向上させるためによく用いられます。
墓地、霊園の種類
墓地、霊園は大きく3つのタイプにわかれています。それぞれのタイプによって墓石建立の留意点は違ってきます。
公営霊園
都道府県、市区町村などの地方自治体が管理・運営している墓地です。申し込みや問い合わせは、各都道府県や市区町村役場になります。
公営霊園は、墓地にとって最も重要な永続性が保証されており、かつ、永代使用料や管理費が安く抑えられています。また、自治体が管理をしているので、宗旨宗派による申し込みの制限など宗教的な制約は一切ありません。ただし契約に関してはいろいろと条件がつきます。現住所がその自治体にある、お墓の承継者がいる、遺骨がある、などです。
募集に関しても、随時行っているわけではありませんし、募集があっても希望者が多い場合は抽選制で、購入が困難な場合もあります。
また、大規模開発の霊園が多いため、立地の面で不便なところも少なくありません。申し込みにあたっては十分な検討が必要です。
民営霊園
財団法人や社団法人、宗教法人が事業主体であり、民間企業が運営の委託を受けているケースもある霊園です。宗旨宗派を問わず申し込むことができます。
公営霊園に比べると永代使用料や管理費などは多少割高ですが、遺骨の有無などで申し込みに制限がかけられることはほとんどありません。
霊園によってはお墓のデザインや大きさなどを自由に選べる場合もありますが、石材店は指定されている場合が多いようです。
寺院墓地
寺院墓地は、大抵、寺院の境内地にあり、その寺院が管理している墓地のことをいいます。
寺院墓地のお墓を求めるということは、そのお寺の檀家になることが前提となっている場合がほとんどなので、必ずその寺院の住職にお寺の行事やお付き合いの仕方について確認しておいた方がよいでしょう。同時に、住職の人柄についても、長く信頼してお付き合いできるかどうか考慮に入れる必要があります。
メリットとしては、手厚く供養していただけるという点です。お墓が境内にあるので法要を本堂で営め、依頼すれば僧侶が読経して供養してくれます。お寺の中にあるので、管理面でも安心です。
石材店を選ぶポイント
石材店、石屋などは、墓石などの加工や販売を行っているお店です。大切な方が亡くなった際は、葬儀など葬送の方に目が行きがちですが、石材店との付き合いについても考えておく必要があります。石材店は、お墓の彫刻や建立だけでなく、納骨や法要、墓石が壊れた際の修繕などさまざまな面でお世話になる存在です。
石材店、石屋と一口に言ってもその数はとても多く、どこを選べばよいか判断に困ってしまいます。価格や契約などのハード面だけでなく、工事はきちんとしているか、彫刻や字彫りなどの希望に丁寧に応えてくれるかなど、ソフト面でも安心できる業者を選びたいところです。そこで、ここでは信頼できる石材店を選ぶポイントについてご紹介します。
話をきちんと聞いてくれる
こちらの要望や状況をじっくり聞いた上で、意向を汲み取った提案をしてくれるかどうかが、いい石材店を見分けるポイントの一つと言えます。
不明点があれば遠慮せず石材店に質問してみて、わかりやすく説明をしてくれる石材店を選びましょう。石材(石種)の特長、施工方法や途中経過についても説明してもらうとよいでしょう。
石材や墓石について詳しい
石材店なのに、石材や墓石についての知識があまり無い石材店は、信用できない場合が多いです。
墓石に使用される石材は、国産や外国産などによって原産国や地名、銘柄や等級などさまざまで、それによって価格や品質がかなり大きく変わってきます。石について詳しく説明してくれるかどうか、専門的な知識を持っている人がいるかどうか、石材の品質表示を正確にしているかは重要なポイントです。
石材は、採れる産地によって色や材質、耐久性などに違いがあります。ただ知識をひけらかして、高級な石材を勧めるのではなく、墓石を建てる場所に合った石材をすすめてくれる石材店がおすすめです。
見積書や契約書がある
価格の明確な見積書を出してくれるか確認しましょう。内容が明確であり、石の種類がきちんと書かれており価格も明確に提示されているかチェックしてください。口頭での説明だけではなく、しっかりと書面にしてもらうことが大事です。完成予定図を作成してもらうとより安心です。
話が進み契約することになった際には、必ず契約書を交わしてください。トラブルを防ぐためにも契約書は必要なものです。
実物の見学ができる
できれば実際にその石材店が手掛けた墓石の見学をしましょう。
石のサンプルをみせてくれる石材店もありますが、サンプルだけでなく実際の墓石を見せてもらうことでイメージしやすくなります。見学させてもらう場合には、新しいものではなく3年以上経過したものが良いでしょう。時間の経過によって、きちんとした仕事がなされた物であるのか確認することができます。
また、お墓の建立・施工において重要となるのが基礎工事です。表には見えない部分ではありますが、これがしっかりしていないとお墓は長持ちしません。地域や土地の特性によって工法も変わるため、墓地の地質なども含めてよく理解している石材店かどうか、基礎工事について質問をして確認してみてもいいかもしれません。
アフターサービスがある
墓石は一度購入したら、頻繁に買い替えをするものではありません。長く使うものですから、アフターサービスや保証の有無は重要です。
アフターサービスや保証の具体的内容については、あらかじめ石材店に確認しておきましょう。
口頭での「安心サービス」など曖昧な保証の場合、後々のトラブルにもなりかねませんので、口頭での約束ではなく文書に残しておくことが大事です。また墓石は、購入者本人だけでなく子どもや孫の代にもかかわってくるので、必ず保証書を作成してもらうようにしましょう。
近くに店舗や展示場がある
店舗が近くにあれば、気軽に立ち寄って相談することもできますし、何か困ったことがあれば現地の霊園まですぐに駆けつけてきてくれます。
品揃えの豊富な展示場をもつ石材店では、たくさんの実物大の墓石を見てイメージを喚起することができます。
また、長く地域に根ざして活動している石材店は、それだけ信用に見合う仕事をしてきたといえますので、社歴のチェックもしておきましょう。
地元密着型の石材店では、悪い噂があれば事業を継続することが困難になることも判断基準の一つになります。
過度な値引きをしない
大幅な値引きがある場合は、要注意です。選ぶ際に価格も重要ですが、簡単に値引きに応じる場合には、もともとの価格設定を高くしている可能性もあります。不良品の場合や手抜き工事をする危険性もあるので、注意しましょう。
その他
業界団体への加盟している、 「お墓ディレクター」資格を持っている社員が(多数)いるなども、いい石材店を選ぶポイントです。参考にしてみてください。
いい石材店を見つけるためには、2~3店に当たってみるのが良いでしょう。店舗に出向いて、その会社の雰囲気や、社長、社員の人柄を確かめるといろいろとわかることがあります。
また、その石材店が建てたお墓を見せてもらいましょう。工事過程の写真(特に見えなくなる所)を見せてもらい、自分のお墓の時にも撮ってもらうようしましょう。
お墓選びの流れ
お墓は一生に一度の大きな買い物です。気に入らなかったから買い替えるというわけにはいきません。それだけ慎重に選ばなければならないのです。お墓を選ぶ際、どのような点に注意すればよいのか、後々、後悔しないですむお墓選びをしていきましょう。
資料請求で複数の墓地の情報を手に入れる
資料請求で気になる霊園の情報を手に入れましょう。お墓の種類だけではなく、
民間霊園、寺院墓地、公営霊園など運営母体などもチェックできます。
霊園の見学予約
気になる霊園が決まったら、現地で見学をしましょう。
資料だけでは確認できないポイントや、交通アクセスなども確認しましょう。
家族が来やすい立地を選ぶことがポイントです。
まとめ
墓石の選び方は、多くの要因を検討・考慮すべきであることがお分かりいただけたかと思います。
何を選択するかによって、価格は大きく変化していきます。ご自身でポイントをチェックしつつ、パートナーとして信頼できる石材店を選ぶことも重要な要素となってきます。
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