共同墓地とは?永代供養との違いや費用、メリット・デメリット

共同墓地とは?永代供養との違いや費用、メリット・デメリット
記事を先読み
  • 昔ながらの共同墓地とは、集落・村落など地域の共同体が管理・運営する墓地
  • 近年では、1つのお墓に共同納骨する墓地(合祀墓・合葬墓)を指す場合が多い
  • 合祀墓としての共同墓地の費用相場は3万円〜30万円で、一般墓より大幅に安い
  • 低価格でお墓の継承者が不要なのがメリット、遺骨を取り出せないのがデメリット

「共同墓地」には、昔ながらの意味と新しく使われるようになった意味、2つの意味があります。昔ながらの共同墓地とは、地域の共同体が管理・運営している墓地。現在新しく使われるようになった共同墓地とは、1つのお墓に共同で納骨する墓地で「合祀墓」「合葬墓」とも呼ばれています。

この記事では、合祀墓・合葬墓としての共同墓地を中心に、費用やメリット・デメリット、選ぶときの注意点などを解説します。

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共同墓地とは?昔ながらの意味と新しい意味

昔ながらの共同墓地:地域で暮らす人たちが共同で管理・運営する墓地 現代の新しい共同墓地:不特定多数の遺骨を1つのお墓に共同で埋葬する墓地

前述した通り、共同墓地には、昔ながらの意味と新しい意味、大きく2つの定義があります。

昔ながらの共同墓地とは、地域で暮らす人たちが共同で管理・運営する墓地。墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)が制定される以前から存在していた墓地で、「みなし墓地」とも呼ばれます。

新しい意味の共同墓地とは、1つのお墓に不特定多数の遺骨を共同で埋葬する墓地です。「合祀(ごうし)墓」や「合葬(がっそう)墓」、「合同墓」などとも呼ばれています。

同じ「共同墓地」でも、それぞれ意味がまったく異なるため、注意が必要です。まずは、2つの共同墓地の意味と違いを確認しておきましょう。

昔ながらの意味:地域の人々が共同で管理・運営する共同墓地

昔ながらの意味における「共同墓地」とは、地域のコミュニティーやお墓の使用者で管理・運営している墓地のこと。地域で暮らす人たちが共同で納骨する墓地として利用されていて、「集落墓地」「部落墓地」「村墓地」などと呼ばれます。また、昭和23年に墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)が制定される以前からあったため、「みなし墓地」と呼ばれることもあります。

現在は行政の許可がないと墓地を造れませんが、墓埋法の制定以前からあった墓地は「墓地と”みなす”(同等とする)」とされたため、「みなし墓地」という呼称が生まれました。実際に墓埋法の第二十六条には「この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす」とあります。

昔ながらの「共同墓地」は、地域の生活に根差した自然発生的な墓地といえます。住宅の近くにあったり、天理教・キリスト教信者専用の墓地があったりと、地域に密着した共同墓地が多いようです。

昔ながらの「共同墓地」について、もっと詳しく知りたい方はこちらからご確認ください。

参考:墓地、埋葬等に関する法律 | e-Gov 法令検索

新しい意味:1つのお墓に共同で納骨する共同墓地

現代で新しく使用されるようになった「共同墓地」は、1つのお墓に共同で遺骨を納めるお墓。いわゆる「合祀墓」「合葬墓」で、「合同墓」と呼ばれることもあります。

合祀墓・合葬墓としての共同墓地は、お墓のある霊園や墓地、寺院などが管理するのが一般的。共同墓地に納骨する人たちの関係性は、納骨を申し込んだお墓が同じでコミュニティーが生まれたり、仲のいい人が共同でお墓を造ったりとさまざまです。

また共同墓地の納骨方法は、骨壺や骨袋に入れて個別に納骨するか、骨壺から出して遺骨をまとめて埋葬するかのどちらかが基本です。

共同墓地と永代供養墓の違いは?

共同墓地と永代供養墓の違い
  • 共同墓地:1つのお墓に複数人の遺骨をまとめて埋葬する墓地
  • 永代供養墓:遺族に代わって墓地管理者が遺骨を管理・供養するお墓

永代供養墓とは、遺族の代わりに墓地管理者が遺骨を管理・供養するお墓のこと。お墓を継ぐ人がいなくても、承継者に代わって墓地管理者が遺骨を管理・供養してくれるので、無縁墓・無縁仏になる心配がありません。

合祀墓・合葬墓としての共同墓地は、お墓の継承者がいなくなる未来を予想して造られているため、永代供養がついているのが基本です。合祀後は、墓地管理者によって永代供養が行われます。合祀墓・合葬墓としての共同墓地は、永代供養墓の一種として捉えるとわかりやすいでしょう。

共同墓地と一般墓の違いは?

共同墓地一般墓
埋葬不特定多数家族単位
墓石共用単独
費用安価高価
法要共同個別
後継者不要必要

一般墓は、家庭ごとに墓石を建て、家族単位で遺骨を埋葬します。また、代々遺骨を管理したり節目ごとに法要を行ったりするために、お墓の後継者は欠かせません。

一方の共同墓地は、1つの墓石や石塔に不特定多数の遺骨をまとめて埋葬します。個々の墓石がないため石材費がかからず、一般墓より安価なのが魅力です。さらに、墓地管理者がお墓の管理・供養をしてくれるため、残された家族の負担を大幅に減らせます。

ただし共同墓地は、家族以外の他人と一緒に埋葬されたり、希望しないと個別で法要ができなかったりするため、一般墓との違いを把握したうえで選択するのが大切です。

共同墓地の費用相場と内訳

合祀墓・合葬墓としての共同墓地にかかる費用の相場は、3万円〜30万円が目安です。ただし、個別納骨後に合祀する共同墓地だと、遺骨を個別管理するぶん、費用も50万円前後まで上がります

2024年にいいお墓が実施した「第15回お墓の消費者全国実態調査」では、一般墓の平均購入価格は149.5万円でした。共同墓地は一般墓と異なり、個別にお墓を建立しないため墓石代がかかりません。そのため、通常のお墓と比べると共同墓は大幅に費用をおさえられるでしょう。

共同墓地の費用内訳

共同墓地の費用の内訳(永代供養料・納骨量・彫刻料)

共同墓地の主な費用内訳は、永代供養料(土地使用料)・納骨料・刻字料の3つ永代供養料は3万円〜30万円、納骨料は3万円〜10万円、刻字料は3万円〜が費用の目安です。

ただし、墓地・お寺の経営母体や遺骨の保管方法、契約の内容によって、使用料・管理料はさまざま。また、墓地の立地や施設の造り、サービス内容などによっても金額は異なります。とくに使用料は、墓地のある立地に大きく影響されます。

共同墓地のメリット・デメリット

共同墓地のメリット

  • 一般墓より費用が安い傾
  • お墓を管理する負担を減らせる
  • お墓の後継者がいらない
  • 無縁墓・無縁仏になる心配がない

合祀墓・合葬墓としての共同墓地のメリットは、個別のお墓がないぶん費用が安いこと。不特定多数の遺骨とまとめて1つのお墓に埋葬するため、お墓を建てる費用が必要ありません。

また、墓石の掃除や区画の草抜きといったお墓の管理も不要です。なかには、残された家族や子どもに負担をかけたくないと、自ら共同墓地に事前申し込みする人もいます。

さらに、墓地管理者が永代にわたって管理・供養してくれるため、お墓の後継者がいなくても無縁墓・無縁仏にならないのもメリットです。

共同墓地のデメリット

  • 合祀後は遺骨を取り出せない
  • 他人の遺骨と一緒に埋葬される
  • 個別の法要や掃除ができない

合祀墓・合葬墓としての共同墓地のデメリットは、一度合祀されると遺骨を取り出せないこと。他人の遺骨と混ざると、誰の遺骨かわからなくなってしまいます。一定期間は個別安置したり、骨壺で保管したりしてくれる共同墓地もありますが、タイムリミットがあるので注意が必要です。

また、他人とまとめて埋葬され、一緒のお墓に入ることに抵抗がある方には不向きかもしれません。その他、個別法要は希望制だったり、お墓の掃除ができなかったりするのもデメリットです。

共同墓地を選ぶときの注意点

  • お墓参りしやすい立地か
  • 墓地の管理状態はよいか
  • 管理費(会員費)がかからないか
  • 多額のお布施を求められないか

共同墓地を選ぶときは、こちらの4つのポイントに注意してください。

まず大切なのは、お墓参りしやすい立地かどうか。自宅から通える距離・時間なのはもちろん、交通手段や交通費などもふまえて、残された家族が足を運びやすい共同墓地を選びましょう。契約前に現地見学をして、お墓がきちんと管理・整備されているかもチェックしておくと安心です。

また、会員費やお布施の有無も確認してください。共同墓地のなかには、お墓の購入者同士で交流を深めたり、新しいコミュニティーを育てたりするために会員組織が作られ、会員費が発生するケースがあります。その他、契約料とは別に多額のお布施が必要な共同墓地もあるので、事前に確認しておきましょう。

共同墓地に向いている人・向いていない人

共同墓地に向いている人

  • お墓の後継者がいない人
  • 家族に負担をかけたくない人
  • お墓の費用をおさえたい人

合祀墓・合葬墓としての共同墓地に向いている人は、お墓の後継者がいない、または残された家族に負担をかけたくない人。共同墓地は、お墓の管理・供養を墓地管理者が代行してくれるため、遺族に負担がかかりません。お墓の後継者がいなくても、無縁仏・無縁墓にはならないので安心です。

また、墓石代がかからず、30万円前後で購入できる共同墓地は、お墓にかかる費用をおさえたい人にも適しています。

共同墓地に向いていない人

  • 家族以外の他人と埋葬されるのに抵抗がある人
  • 先祖代々のお墓で手厚く供養してほしい人

他人と一緒のお墓で眠るのに抵抗がある人は、共同墓地には向いていません。「死後は家族と一緒に埋葬されたい」「他人と遺骨が混じるのは避けたい」という方にはふさわしくないでしょう。

また、共同墓地はお墓が共用なので、個別で法要や掃除をするのは難しいです。先祖代々続くお墓で手厚く供養を受けたい人も、共同墓地は避けた方が無難です。

共同墓地以外で墓石を立てない・安い供養方法

  • 納骨堂
  • 樹木葬
  • 海洋散骨(散骨)

納骨堂

納骨堂とは、遺骨を安置・保管するための屋内施設。建物内に収骨スペースがあり、区画を購入して骨壺を納める形式のお墓です。

第15回お墓の消費者全国実態調査」によると、納骨堂の平均購入価格は80.3万円。一般墓は平均149.5万円なので、約70万円も費用を安くおさえられています。

ただし納骨堂には、ロッカー式・仏壇式・位牌式・墓石式・自動搬送式などの種類があり、それぞれ費用相場が異なります。種類別に見て費用が安いのは、相場が約20万円〜80万円のロッカー式や約10万円〜30万円の位牌式。反対に、自動搬送式は約70万円〜150万円と高額です。

樹木葬

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とするお墓。「第15回お墓の消費者全国実態調査」では樹木葬の平均購入価格は63.7万円で、149.5万円の一般墓より約85万円も費用が安いです。

樹木葬には、里山型・公園型・庭園型と3つの種類があり、それぞれ費用やメリット・デメリットが異なります。遺骨の埋葬方法によっても金額が変わるため、希望と予算をすり合わせて最適な樹木葬を選ぶのが大切です。

海洋散骨(散骨)

海洋散骨とは、遺骨を粉末状の遺灰にして、海に散布する埋葬方法。海だけでなく、山や川などの自然に散布する埋葬方法は「散骨」と呼ばれます。

海洋散骨の費用相場は5万円〜40万円。クルーザーを貸し切って散骨すると20〜40万円、複数のご家族と合同で行うと10〜20万円ほどが目安です。ただ、家族が同席せず、代理で遺骨を散布してもらうなら5万円〜10万円まで費用をおさえられます。

地域の共同墓地の概要・費用・注意点

新しく使われている「共同墓地(=合祀墓)」ではなく、昔ながらの「共同墓地」について知りたい方もいるかもしれません。

ここでは、地域の共同墓地の概要や費用、メリット・デメリットなどをまとめていきます。

地域の共同墓地の管理者:公営墓地が多い

地域の共同墓地は、自治体が管理する公営墓地がほとんど。なぜなら、墓埋法の制定によってみなし墓地とされた共同墓地が行政の管理課に置かれたからです。

ただ地域の共同墓地は、名義上は公営墓地として登録されていても、実際は地域住民やお墓の使用者が共同で管理・運営している墓地が多いようです。

地域の共同墓地の費用

地域で管理・運営する共同墓地の使用料や管理料は、それぞれの墓地によって違います。地域の共同墓地はもともとその土地にあった墓地で、霊園・墓地開発や募集・宣伝広告などの費用がかかっていないせいか、全体的にそれほど高額ではありません。地域の共同墓地にかかる費用(使用料)は、墓石代を除けば、10万円から高くても130万円程度と考えてよいでしょう。

また、墓地の管理料は年間払いではなく、一括で支払う共同墓地もあります。一方で、使用者が草刈りや清掃といった整備を自主的にしていて、管理料を徴収していない共同墓地もあるようです。ただし少子高齢化が進み、地域の共同体で墓地を管理するのが難しくなっている共同墓地もあるため、注意しましょう。

地域の共同墓地のメリット・デメリット

地域の共同墓地のメリットは、住宅から近い墓地が多く、地域住民がお墓参りしやすいところ。また、一般の霊園・墓地と比べると、費用が安い傾向があります。

一方で、使用者が管理している共同墓地だと、整備されていなかったりそもそも管理者がいなかったりする可能性があるので注意が必要です。とくに管理者は、各自治体の条例に記載されていればいいですが、特定できなかったりわかりにくかったりする共同墓地が多いです。さらに、該当の地域に住んでいないと使用できない共同墓地もあります。

地域の共同墓地でお墓の後継者がいなくなったら

地域の共同墓地を利用していて、お墓の継承者がいなくなったときの対処法は、共同墓地によって変わります。一般的には、区画の使用者が不在になったお墓は、縁故者に1年以内に申し出るよう官報へお知らせを掲載。さらに、お墓の見えやすい位置に立札を設置・掲示し、1年経っても動きがなければ改葬の手続きがとられます。

最近は、墓じまいされた区画やお墓の継承者が不在になった区画を整理したうえで、新たに使用者を募集する共同墓地もあるようです。

地域の共同墓地を選ぶときの注意点

地域の共同墓地を利用するときは、お墓や区画がきちんと手入れされているか確認しましょう。

自治体ではなく、利用者がお墓を維持・管理している共同墓地では、墓地管理者の高齢化が進み、思うように管理できていないかもしれません。募集のある共同墓地は、実際に見学に行き、どこまで整備されているのか見極めるのが重要です。

昔ながらの地域の共同墓地を探す

共同墓地についてのよくある質問

共同墓地とは?

共同墓地には、昔ながらの意味と現在新しく使われている意味、大きく2つの意味があります。

昔ながらの共同墓地とは、地域で暮らす人たちが共同で使用・管理・運営する墓地。墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)が制定される以前から存在していた墓地で、「みなし墓地」「集落墓地」「部落墓地」「村墓地」とも呼ばれます。

新しく使われている共同墓地とは、1つのお墓に不特定多数の遺骨を共同で埋葬する墓地です。「合祀墓」「合葬墓」「合同墓」とも呼ばれています。

共同墓地の費用はいくらぐらい?

合祀墓・合葬墓としての共同墓地にかかる費用の相場は、3万円〜30万円。ただし、個別納骨後に合祀する共同墓地だと、遺骨を個別管理するぶん、費用も50万円前後まで上がります。

また、昔ながらの地域で管理・運営する共同墓地の使用料は10万円〜130万円と、地域によってバラバラです。

共同墓地を選ぶ前に資料請求と現地見学

共同墓地は、他人と遺骨をまとめて埋葬するいわゆる「合祀墓」のこと。お墓の後継者が不要で、費用もおさえられるため、少子高齢化や核家族化が進む現代のニーズに合致しています。

一方で、従来のお墓とは埋葬やお墓参りの方法が違うため、抵抗を感じる方もいるかもしれません。共同墓地を選ぶときは、家族や親族と話し合い、周囲の理解を得たうえで決断するのが大切です。

また、共同墓地に限らず、後悔のないお墓選びをするには事前のリサーチが欠かせません。気になる共同墓地は資料を請求したあと、実際に足を運んで自分の目で状態を確かめましょう。

共同墓地、いわゆる合祀墓をお探しなら、「いいお墓」をぜひご活用ください。エリアや条件で絞り込んで合祀墓を一覧でチェックできるのはもちろん、資料請求・現地見学も無料で申し込みが可能です。「いいお墓」を活用して、効率よくスムーズにお墓探しを進めていきましょう。

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