ひとくちに樹木葬といっても、埋葬方法や種類、管理母体などによる違いがあります。樹木葬を選ぶときは、それぞれの違いを理解したうえで、現地見学や比較検討を重ねるのが大切です。
この記事では、樹木葬の選び方とチェックするポイントを解説します。後悔やトラブルを防いだり、より満足いく樹木葬を選んだりするのに役立つ内容なので、ぜひ参考にしてください。
樹木葬の選び方とは?まずは埋葬方法・種類・管理母体から
樹木葬は、埋葬方法や種類、管理母体によって違いがあります。まずはそれぞれの特徴や費用、メリット・デメリットを把握して、希望に近い樹木葬を探してみましょう。
樹木葬の埋葬方法
- 合祀型
- 集合型
- 個別型
樹木葬には、合祀型・集合型・個別型と3つの埋葬方法があります。
合祀型
合祀型は、1本の樹木の下に、他人の遺骨と一緒に埋葬される樹木葬。個別のスペースがなく、遺骨は粉骨して直接埋葬するか、土に還りやすい骨壺に入れて納骨されます。
合祀型のメリット
- 埋葬方法のなかでもっとも費用が安い
- 個別の樹木がないため管理料不要の樹木葬が多い
合祀型のデメリット
- 個々の遺骨を取り出せない
- 墓標が共用で個別にお墓参りできない
集合型
集合型は、1本の樹木の周囲に、複数人の遺骨を埋葬する樹木葬。合祀型と違って、地下で区画が分かれていたり、骨壺や骨袋に入れて埋葬したりするので、他人と遺骨が混ざりません。
集合型のメリット
- 他の人と遺骨が混ざらない
- 個別型より費用をおさえやすい
集合型のデメリット
- 一定期間経過すると合祀される樹木葬が多い
- 墓標が共用だと個別にお墓参りできない
個別型
個別型は、遺骨ごとに1本の樹木を植え、個別に埋葬する樹木葬。個々に樹木と区画が割り当てられるため、樹木の種類を選んだり、家族・夫婦単位で納骨できたりするのが特徴です。
個別型のメリット
- 遺骨を個別に埋葬できる
- 一般的なお墓と同じように個々にお墓参りできる
個別型のデメリット
- 埋葬方法のなかでもっとも費用が高い
- 一定期間経過すると合祀される樹木葬が多い
樹木葬の種類
- 里山型
- 公園型
- 庭園型
樹木葬には、里山型・公園型・庭園型と3つの種類があります。
里山型
里山型は、自然溢れる山林に遺骨を埋葬する方法。墓域ごとに1本ずつ樹木を植える樹木葬が多く、もっとも自然葬らしい形態です。広大な樹林の一角に埋葬し、郊外の霊園・寺院に多く見られます。
里山型のメリット
- 樹林を活かした景観を楽しめる
- 公園型・庭園型より低価格
里山型のデメリット
- 郊外に多く交通が不便
公園型
公園型は、霊園の一角を公園のように整備して遺骨を埋葬する方法。休憩所やお手洗いが整備されていて、墓域に樹木を1本~数本植える樹木葬が多いです。里山型ほどではないですが、広い敷地が必要なため郊外にやや多く、庭園型より比較的値段が安いです。
公園型のメリット
- 景観がよく散策に適した環境
- 庭園型より比較的低価格
公園型のデメリット
- やや郊外に多く交通が不便
庭園型
庭園型は、霊園・寺院の限られたスペースを整備して遺骨を埋葬する方法。樹木や四季の草花に囲まれ、手入れされた庭園のような雰囲気で、「ガーデニング霊園」「ガーデン墓地」とも呼ばれます。また庭園型は、公園型より敷地が狭く、都心部に多い都市型の樹木葬です。
庭園型のメリット
- 庭園風で四季の花木を楽しめる
- 都心部に多くお墓参りしやすい
庭園型のデメリット
- 里山型・公園型より高価格
樹木葬の管理母体
- 公営霊園
- 民営霊園
- 寺院墓地
樹木葬は、公営霊園、民営霊園、寺院墓地と、管理母体によって3つに分けられます。
公営霊園
公営霊園は、都道府県や市区町村といった自治体が管理・運営する霊園です。
公営霊園のメリット
- 民営霊園・寺院墓地より費用が安価
公営霊園のデメリット
- 数が少なく、抽選倍率が高い
- 霊園を利用する条件がある
民営霊園
民営霊園は、財団法人や宗教法人、社団法人から委託を受け、民間企業が運営・管理する霊園です。
民営霊園のメリット
- 選択肢が多く利用しやすい
- 利用に条件がほとんどない
民営霊園のデメリット
- 立地や埋葬方法によって価格帯に幅がある
寺院墓地
寺院墓地は、寺院によって管理・運営される墓地です。
寺院墓地のメリット
- 寺院が管理・供養してくれるから安心
寺院墓地のデメリット
- 公営霊園・民営霊園より比較的割高
- 檀家にならないと利用できない寺院もある
樹木葬を選ぶ10のチェックポイント
- 現地見学・比較検討
- 立地・交通アクセス
- 費用
- 設備
- 管理状況
- 宗旨宗派
- 埋葬人数
- 墓標
- 規約・ルール
- 周囲の意見
樹木葬の埋葬方法や種類、管理母体などで、ある程度条件が絞れたら、より細かい点を確認していきましょう。樹木葬を選ぶときに注意したい、10のチェックポイントを紹介します。
現地見学・比較検討
立地や環境で区別されるのが一般的ですが、簡単に見分けられない樹木葬もあるので注意が必要。樹木葬を選ぶときは、必ず現地見学して自分の目で確かめるのが大切です。
また後悔のない樹木葬選びをするなら、複数の霊園・寺院を比較検討するのが重要。資料請求や現地見学をして比較することで、より理想に近い樹木葬を見つけやすくなります。
立地・交通アクセス
樹木葬選びでまず確認したいのが、立地と交通アクセス。家族・親類がお墓参りしやすい立地にするのはもちろん、駅からの距離や交通手段、駐車場の有無なども重要です。
とくに里山型樹木葬は、自然を活かした山林にあるため、お墓参りが難しい可能性があります。家族や親類に苦労をかけないためにも、現地見学して立地とアクセスをチェックしておきましょう。
費用
樹木葬では、永代使用料や埋葬料などの初期費用に加えて、維持費として年間管理料、オプションとして銘板彫刻代がかかります。霊園・寺院によって金額も内訳も違うため、事前に見積もりをとって費用感を確認し、比較検討するのが大切です。
設備
お手洗いやゴミ箱、休憩所などの設備が整っているかどうかも、チェックしたいポイント。また周辺にコンビニや飲食店、宿泊施設などがあると、遠方からお墓参りするときに便利です。
管理状況
樹木葬の管理がどれくらい行き届いているか、状況を確認してください。掃除や草木の手入れがきちんとされていないと、お墓参りの度に気になってしまいます。
環境が整っているか確認したり、掃除や手入れの頻度を聞いたりしておきましょう。
宗旨宗派
霊園・寺院のなかには、宗旨宗派を指定される樹木葬があります。とくに寺院墓地は、宗派を限定されたり、檀家になるよう求められたりする可能性があるので注意が必要です。
埋葬人数
樹木葬は、埋葬方法や区画によって埋葬できる人数が決まっています。家族や夫婦で納骨したい場合は、1人用は避け、複数人向けの樹木葬を選んでください。
墓標
樹木葬では、墓標の取扱いが霊園・寺院によって変わります。時間が経つと、徐々に自然に溶け込んで墓標がわからなくなる樹木葬もあるので注意してください。
また、墓標となる樹木の種類も把握しておきます。樹木を選べる寺院・霊園もありますが、選べないときはご自身のイメージとズレていないか確認しておきましょう。
規約・ルール
規約は霊園・寺院によって違うため、事前に確認しておきましょう。たとえば、消防対策でロウソク・線香を禁止していたり、虫や動物が来るからお供えを置けなかったりする樹木葬もあります。
ご自身の希望にあわない規約・ルールがないか、チェックしておくと安心です。
周囲の意見
樹木葬は、樹木を墓標とする永代供養墓の一種で、近年広まった新しいお墓です。そのため、先祖代々のお墓や従来の供養方法を重視している方は、なかなか受け入れられないかもしれません。
樹木葬を選ぶ前に家族や親類と話し合い、意見を確認しておきましょう。意見が食い違うようなら、お互いに歩み寄り、理解を得たうえで樹木葬を選べば、無用なトラブルを防げます。
そもそも樹木葬とは?樹木を墓標にした永代供養墓
樹木葬とは、樹木を墓標として遺骨を埋葬するお墓。自然豊かな環境に故人を埋葬し、「自然に還る」という自然回帰志向を実現できる新しい形態のお墓です。
樹木葬は、霊園や寺院が、遺族の代わりに遺骨を管理・供養する「永代供養墓」の一種。お墓の継承者が不要で、核家族や独身世帯が増えている現代のニーズに合致しています。また、墓石がないぶん一般墓より費用をおさえやすいのも、人気を集めている理由です。
樹木葬の個別納骨期間
個々に埋葬する個別型樹木葬では、個別に納骨できる期間が決まっている霊園・寺院がほとんど。
よく見られるのは、13年(十三回忌)、17年(十七回忌)、33年(三十三回忌)など、年忌法要とあわせて設定している霊園・寺院です。一方で、年忌法要に関係なく、数年単位で期間を定めている樹木葬もあります。
個別納骨期間が終わったあとは、他の人の遺骨と一緒に埋葬する合祀墓に移されます。合祀されると、個人の遺骨を取り出せなくなるので、契約前に必ず確認しておきましょう。
樹木葬が選ばれている理由
- お墓を継承したくない
- お墓を安く購入したい
- 自然回帰を求めている
樹木葬は、「お墓を継承したくない」「安く購入したい」「自然回帰を求めている」といった理由からよく選ばれています。
樹木葬の費用相場
いいお墓が2024年に実施した「第15回お墓の消費者全国実態調査」によると、樹木葬の平均購入価格は63.7万円。149.5万円の一般墓と比べると、樹木葬は85万円ほど費用をおさえられます。墓石の代わりに樹木を墓標とする樹木葬は、石材費がかからないぶん、一般墓より費用が安いです。
一方で、樹木葬の費用相場は、種類や埋葬方法、管理主体などによって幅が出ます。ご自身の希望するエリアや条件で金額が変わるので、相場はあくまで目安として考えましょう。
樹木葬のメリットとデメリット
樹木葬のメリット
- お墓の後継者が不要
- 自然回帰志向を叶えられる
- 宗旨宗派不問で自由度が高い
- 友人やペットと一緒の埋葬が可能
- 墓標があるからお墓参りしやすい
樹木葬のデメリット
- 埋葬後に遺骨を取り出せない
- 景観が環境や管理に左右される
- 周囲の理解を得る必要がある
- 一般的なお墓参りができない
- 埋葬人数や立地によっては安価ではない
樹木葬選びのご相談なら「いいお墓」へ
樹木葬は、埋葬方法・種類・管理母体などによって、特徴や費用が大きく変わります。まずは、それぞれの違いを理解したうえで、ご自身の希望にあわせた樹木葬を探してみてください。
気になる樹木葬が見つかったら、現地見学して雰囲気や管理状態、交通アクセスなどを確かめるのが大切。複数の霊園・寺院を見学して比較検討することで、後悔のない樹木葬選びができるでしょう。
「いいお墓」では、全国の樹木葬をエリア・条件別に一覧でチェックできます。さらに、お墓探しのプロである専門相談員が無料でお墓をご案内いたします。樹木葬選びにお困りの方は、ぜひ「いいお墓」へお気軽にご相談ください。