お墓の基礎知識 – 霊園・墓地、永代供養墓、納骨堂、樹木葬、墓石・石材店のイロハ

家は一生ものと言いますが、お墓は子々孫々末代に至るまで引き継いでいく一家の拠り所でもあります。また、近年では価値観やライフスタイルの変化により、さまざまなタイプの「お墓」や霊園・墓地も出てきています。

お墓の購入は、一生に一度あるかないか。知識がないのは当たり前です。
分からないことはあいまいにせず、疑問とこだわりをもってお墓選びをしてください。後悔しないよう、お墓を決める前に知識を付けておくことが重要です。

仏壇や位牌などは、お墓と同様に故人の魂が入っているとされていますが、お墓との違いは、遺骨が納められているかどうか、ご本尊様を祀っているかどうかという点にあります。

故人の戒名・法号と死亡年月日を記してお祀りするのが位牌です(浄土真宗では位牌は用いません)。そして、仏教各宗派の本尊仏とともに、位牌や法名軸などをお祀りするのが仏壇です。また、仏具なども仏前に供えます。

わざわざ足を運んでお参りするお墓は、故人を身近に感じる仏壇とは異なる存在であります。しかし、故人と向き合い、故人の思い出を巡らせるための貴重な時間を生み出してくれる一種のシンボルとして、私たちの生活の一部となっていることに相違はありません。

ここでは、納得のいく霊園・墓地探し、後悔しないお墓・墓石・石材店選びのためのトピックをわかりやすく解説しています。

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お墓選び、その前に

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お墓の購入前に必読!購入の流れや費用、7つのチェックポイント
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墓地・墓石、法事・法要、供養に関する用語一覧【お墓の用語集】
普段の生活ではなかなか使うことの少ない、さまざまなお墓や霊園・墓地、法事・法要に関する用語をわかりやすくご説明します。お墓探し・墓石選びをしている方など、お墓について知りたい方はぜひ活用ください。

お墓の種類

お墓の形や大きさに決まりはありません。予算が許せば自由に形を決めることができます。しかし、霊園や墓地には決められた区画があり、その霊園や墓地ごとに墓石施工に関するガイドラインが存在しています。ただし、墓石の形態は大まかに分別することができます。

和型墓石

江戸時代に一般化した伝統的な墓石です。これは台石の上に、竿石と呼ばれる塔状の石を建てたものです。竿石とは、お墓の一番縦に長い部分の石です。ここに家名などの文字を刻みます。お墓というとこの和型墓石をイメージする方が多いのではないでしょうか。

洋型墓石

洋型とはいっても日本で造り出された墓石ですから、和洋折衷型と考えることができます。厚めの台石の上に、低く幅の広い石を載せた形が一般的です。最近はこの洋型墓石のタイプが増えてきています。洋型には「オルガン」型という形態もあります。これは正面から見ると横長の長方形の形をしており、棹石が斜めに角度がついているためオルガンの形に似ていることから「オルガン」型と呼ばれています。

デザイン墓石

一般的な形式にとらわれない個性的なデザインの墓石を求める方も増えてきました。この背景には家を基軸としていた墓地の在り方が、故人を主体としたものへと変化してきている事情があると考えられます。自由な形式を認める霊園などでは、故人の職業や趣味、宇宙観などを表した意匠的な墓石を見ることもできます。

現在では、上記3タイプが主流となりますが、「五輪塔」「宝篋印塔」「宝塔・多宝塔」「無縫塔」などの種類もあります。また、「神道」の墓石の形態は異なるものになります。

お墓の構造と各部分の名称

お墓の構造に決まりはありませんが、一般的な構造における各部分の名称を紹介します。

墓誌

墓誌は、そのお墓に埋葬されている先祖の戒名生年月日・没年月日など「銘」を刻むものです。功績などを刻むこともあります。

納骨室(カロート)

芝台の地下に納骨室を作ったもの(陸カロート)や、地上に納骨室を作ったもの(丘カロート)があります。納骨室は、石やコンクリートで作られています。納骨室の形式は地域によって異なります。

水鉢

先祖に水を供えるための鉢のことで、墓石の手前に作られることが多いです。

香炉

線香を立ててお供えする「立ち置き型」と、寝かせてお供えする「くりぬき型」があります。

卒塔婆立て

卒塔婆を立てておくためのものです。
卒塔婆は略して別名「塔婆(とうば)」ともいい、仏塔のことを意味しますが、一般的には『追善供養のために経文や題目などを書き、お墓の後ろに立てる塔の形をした縦長の木片のこと』をいいます。宗派によっては使用しない場合もあります。
卒塔婆立ては、石製や金属製のものまでさまざまな種類がありますが、機能に変わりはありません。

花立

墓石に備え付けられている、供養をする時に花を立てるものが花立です。

墓石の花立とは - 素材と種類、選び方、掃除方法
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蓮華台

蓮華とは蓮の花のことで、通常は竿石の根本に設置される場合が多いです。

墓石の彫刻・文字 – 戒名彫刻の値段や時期、方法を解説
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墓地、霊園の種類

墓地、霊園は大きく3つのタイプにわかれています。

公営霊園

都道府県、市町村などの地方自治体が管理・運営している墓地です。申し込みや問い合わせは、各都道府県や市区町村の役所になります。

公営霊園は、墓地にとって最も重要な永続性が保証されており、かつ、永代使用料や管理費が安く抑えられています。また、自治体が管理をしているので、宗旨宗派による申し込みの制限など宗教的な制約は一切ありません。ただし契約に関してはいろいろと条件がつきます。現住所がその自治体にある、お墓の承継者がいる、遺骨がある、などです。

募集に関しても、随時行っているわけではありませんし、募集があっても希望者が多い場合は抽選制で、購入が困難な場合もあります。

また、大規模開発の霊園が多いため、立地の面で不便なところも少なくありません。申し込みにあたっては十分な検討が必要です。

民営霊園

財団法人や社団法人、宗教法人が事業主体であり、民間企業が運営の委託を受けているケースもある霊園です。宗旨宗派を問わず申し込むことができます。

公営霊園に比べると永代使用料や管理費などは多少割高ですが、遺骨の有無などで申し込みに制限がかけられることはほとんどありません。

霊園によってはお墓のデザインや大きさなどを自由に選べる場合もありますが、石材店は指定されている場合が多いようです。

寺院墓地

寺院墓地は、大抵、寺院の境内地にあり、その寺院が管理している墓地のことをいいます。

寺院墓地のお墓を求めるということは、そのお寺の檀家になることが前提となっている場合がほとんどなので、必ずその寺院の住職にお寺の行事やお付き合いの仕方などについて確認しておいた方がよいでしょう。同時に、住職の人柄についても、長く信頼してお付き合いできるかどうか考慮に入れる必要があります。

メリットとしては、手厚く供養していただけるという点です。お墓が境内にあるので法要を本堂で営むことができ、依頼をすれば僧侶が読経して供養してくれます。お寺の中にあるので、管理面でも安心です。

新たな埋葬方法のお墓

昨今では、石材を使った従来型のお墓だけではなく、新たな埋葬方法のお墓も注目を集めています。

永代供養墓

永代供養墓は寺院や霊園が承継者に代わって供養や管理をしてくれるお墓のことで、承継者がいない方や、家族に面倒をかけたくないという理由から、近年需要が高まってきています。

永代供養墓には、永代使用料が個別のお墓よりも比較的安いなど、さまざまなメリットがあります。ただ、永代供養墓と言っても、遺骨を合祀・合葬するものから個別に保管するもの、また納骨する場所が地下だったり地上だったりと、さまざまなタイプがあります。

永代供養墓のデメリット5選!メリットや費用相場、注意点も解説
永代供養墓のデメリットは、お墓の継承・遺骨の取り出し・従来の墓参りができないこと。また、一般的なお墓と違いが多いため、周囲の理解を得にくいかもしれません。ここでは、永代供養墓のデメリット・メリットと購入者のリアルな声を紹介します。

納骨堂

納骨堂とは、骨壷に入った遺骨をそのまま納めておく建物のことです。納骨堂は、公営霊園や寺院の中に設置されていることが多いです。最近では、駅から近い場所に納骨堂が設けられることも多く、また、機械式の自動搬送式納骨堂などにも人気が集まっています。

納骨堂は一般的なお墓と違って、墓石が不要です。そのためコストを抑えることができるというメリットがあります。

近年では、お墓を相続する家族のいない方が、納骨堂のあるお寺や寺院に永代供養を頼むことも多くなっています。

納骨堂の費用相場は平均80.3万円!ロッカー式など種類別の価格や内訳を紹介
納骨堂の費用相場は平均80.3万円で、安いのはロッカー式20~80万円、位牌式10~30万円です。ただし納骨堂は、種類や納骨人数によって金額幅が広め。ここでは、納骨堂の費用相場を種類別・収骨人数別に紹介します。

樹木葬

”自然に還る”というコンセプトのもと、墓石の代わりに樹木を墓標とするのが樹木葬です。散骨などと並ぶ自然葬の一種で、近年希望者が増えている埋葬のスタイルです。

メリットとして挙げられることのひとつに、一般墓に比べて費用を安く抑えられる点があります。その理由として、墓石を使わず広いスペースを必要としないという樹木葬の特長が大きく関わっています。最近では、既にあるお墓に納骨されている遺骨の一部を墓じまいして散骨、一部をお引越し、つまり改葬先として樹木葬を購入するケースなどもでてきています。

また、生前にお墓を探す方にとって樹木葬は、自然に還るため後継ぎが不要なことや、石材をあまり使わないためリーズナブルなことなどが魅力的に見え注目が集まっています。

墓じまいのトラブル事例と解決策/改葬先・遺骨の移動先についても解説
記事を先読み家族や親族とのトラブルを避けるために、勝手に決めずにじっくり話し合う寺院とのトラブルを避けるために、改葬理由を正しく伝え、理解してもらう石材店とのトラブルを避けるために、事前に詳細見積りの取得は必須墓じまいとは、現在あるお墓を撤

霊園・墓地選びの流れ

お墓は一生に一度の大きな買い物です。気に入らなかったから買い替えるというわけにはいきません。それだけ慎重に選ばなければならないのです。お墓を選ぶ際、どのような点に注意すればよいのか、後々、後悔しないですむお墓選びをしていきましょう。

お墓の購入前に必読!購入の流れや費用、7つのチェックポイント
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資料請求で複数の墓地の情報を手に入れる

資料請求で気になる霊園の情報を手に入れましょう。
お墓の種類だけでなく、民間霊園寺院墓地、公営霊園など運営母体などもチェックできます。

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霊園の見学予約

気になる霊園が決まったら、現地で見学をしましょう。
資料だけでは確認できないポイントや、交通アクセスなども確認しましょう。
家族が来やすい立地を選ぶことがポイントです。

お墓・霊園見学の方法とは?チェックポイントと注意点
お墓・霊園見学のチェックポイントは、アクセス・設備環境・管理状況など。見学前に霊園に申し込みをして、当日は動きやすい洋服と靴で訪れましょう。ここでは、お墓見学のチェックポイントや服装・持ち物、霊園の申し込み方法などを紹介します。

墓石・石材店の選び方

霊園・墓地の場所が決まったら、墓石選び。あらかじめ墓石のことを知って、イメージや要望をある程度明確にしておけばその後の流れがスムーズになります。
石材の種類には何があるの?どんな形のお墓を建てたらいいの?といった、墓石の種類・形・デザイン、工事・施工の流れや加工・彫刻について参考になる記事を紹介します。

墓石とは – 墓石・石材の種類や形状、墓石加工と工事、納骨の流れなど徹底解説
お墓とは、故人を埋葬する場所に建つシンボルです。葬儀を執り行い、火葬した遺骨を埋葬した後は手を合わせ、供養の対象となる場所でもあります。日本で一般の人がお墓を建てるようになったのは江戸時代からだといわれています。霊園、墓地、墓所などお墓を指
墓石の種類 - お墓に最適な石種3条件とは?
墓石に使われる石材には様々な種類があります。石材は取れる産地によって色や材質、耐久性が様々で、その風土に合った石材が墓石として使われています。墓石に使う石材は、大まかな分類として「花崗岩」「閃緑岩」「斑レイ岩」「安山岩」の4種が挙げられ、産地や成分などにより300以上の種類があります。
https://guide.e-ohaka.com/guide/column/constitution/
お墓の建て方‐お墓の種類や石種、工事(施工)・納骨までの流れをご紹介!
お墓の形状や現場(地盤など)の状況によって異なりますが、工事には通常2~5日程度を要します。 工事日程は事前に確認しておかなければなりませんが、施工の途中経過を見学されると、表面ではわからない基礎部分やお墓のつくり、その過程がよくわかって安心ですし、自ず愛着も湧いてきます。 お任せする石材店には、完成写真だけでなく、お墓の施工途中の写真もお願いしてみてはいかがでしょうか。
墓石加工(香箱/トキン/亀腹/すりん/蓮華座/水垂加工など)
墓石加工とは石材は国内外の採石場から採石され、加工工場で石碑用、外柵用などの用途別に切断されます。切断された後はダイヤモンドの砥石で丹念に磨かれます。その後、熟練した職人により、手加工によって依頼された形状に仕上げます。1.切断採石場で切り...
墓石の彫刻・文字 – 戒名彫刻の値段や時期、方法を解説
墓石には、戒名や没年月日、享年などを彫刻します。正面は家名が一般的ですが、故人にゆかりのある言葉やイラストを彫刻する方も多いです。この記事では、墓石に戒名を彫刻する値段や時期、方法を解説します。
信頼できる石材店の選び方 - 大手と個人経営の違い、近くの石材店の探し方
この記事はこんな方におすすめ:信頼できる石材店の探し方を知りたい方石材店は地域に根付いた個人経営のお店から大手の会社までさまざま信頼できる店を探すには、石材知識の詳しさや見積書・契約書の明確さが重要相談のしやすさやアフターサービスの充実度も...

墓石・石材店選びのチェックポイント

  • 石のサンプルを手にとってチェック(石の色合いや艶)
  • 実際に建っている3年以上経ったお墓からも、石をチェック(建立年月日から判別できます)
  • 石の種類、使用量、加工、施工などによって、費用が変動
  • チラシやインターネットでの表示価格だけで判断しない(前面に出しているものは標準的なもの多し)
  • 偏見は捨てる(国産=いい石、中国産=粗悪ということはありません)
  • 個性や想いの部分も大切に

墓石・石材店選びの注意点

「白御影石」「黒御影石」と単純に選ぶ方は少なくありません。
しかし、同じようにみえても御影石にも実にたくさんの種類があり、品質や価格の差も千差万別。チラシ広告などでは、概して安い石種や標準的なものを前面に出していることが多くなります。
「石材を違うものにしたら、価格が2倍になった!」
「ちょっと石種を変えただけで値段が80万も上がった、なぜ!?」
ダイヤモンドの希少価値が分からない人はいませんが、墓石材に関しての価値や知識をもっている人は稀です。霊園や墓石店さんのチラシやインターネット表示価格だけで、墓石を判断しないようにしましょう。