近年では、「跡継ぎがいない」「家族に迷惑をかけたくない」「建墓する費用がない」など、さまざまな理由からお墓を建てない方が増えています。
お墓がない、または不要な場合の代表的な供養方法は、永代供養墓・合祀墓・納骨堂・樹木葬・海洋散骨・手元供養など。この記事では、お墓がない場合の供養方法の特徴や費用を紹介します。
お墓がない場合の納骨・供養方法は?
- 永代供養墓
- 合祀墓
- 納骨堂
- 樹木葬
- 散骨・海洋散骨
- 手元供養
お墓がない、または不要な場合の主な供養方法は、永代供養墓・合祀墓・納骨堂・樹木葬・海洋散骨・手元供養の6つです。なかでも海洋散骨と手元供養は、お墓参りをする墓所も必要ありません。
ここからは、それぞれの供養方法の特徴や費用、メリット・デメリットなどを紹介します。
永代供養墓
永代供養墓は、寺院や霊園が維持・管理するお墓で、遺族に代わって供養をしてくれます。永続的に管理と祭祀(供養)が受けられるため、お墓の承継者(跡継ぎ)がいない方でも購入できます。また生前に申し込みできるのも特徴です。
ちなみに永代供養とは、遺族に代わって遺族に代わって霊園・寺院がお墓を管理する”サービス”。永代供養のついたお墓を永代供養墓と呼ぶため、永代供養つきの合祀墓・納骨堂・樹木葬も永代供養墓の一種です。
永代供養墓は、少子化や核家族化などで、お墓を代々受け継いでいくのが難しくなってきたことから、新しいお墓のスタイルとして近年広まりつつあります。永代供養墓の費用相場は5万円〜150万円ですが、種類や埋葬方法、供養期間などによって金額に幅があるため注意が必要です。
永代供養墓のメリット
- お墓の後継者がいらない
- お墓の維持・管理が不要
- 一般的なお墓より比較的安価
- 生前に申し込み・購入できる
永代供養墓のデメリット
- いずれは遺骨が合祀される
- 従来のお墓参りができない
- 家族・親族の理解が必要
合祀墓
合祀墓(ごうしぼ)とは、複数人の遺骨をまとめて埋葬するお墓。家族や血縁者に限定せず、関係のない他人の遺骨と一緒に埋葬されます。遺骨を骨壺から取り出して埋葬するため、一度合祀墓に納めると個々の遺骨は取り出せません。
合祀墓は、個別のお墓や参拝スペースがないので費用が安価なのが特徴。合祀墓の費用相場は3万円〜30万円で、基本的に年間管理費も不要です。
合祀墓のメリット
- お墓の管理・供養の負担を減らせる
- 無縁墓・無縁仏になる心配がない
- 通常のお墓より費用をおさえられる
合祀墓のデメリット
- 故人だけのお墓がない
- 合祀すると遺骨を取り出せない
- 墓じまいをしなければならない
- 家族や親族の理解が必要
納骨堂
納骨堂とは、遺骨を安置できる施設のこと。屋内施設が多く、建物内に遺骨を納める収骨スペースが設けられています。
2024年にいいお墓が実施した「第15回お墓の消費者全国実態調査」によると、納骨堂の平均購入価格は80.3万円。149.5万円の一般墓と比べると、約70万円も費用をおさえられています。
ただ納骨堂には、ロッカー式、仏壇式、位牌式、墓石式、合祀式、自動搬送式などさまざまなタイプがあり、それぞれ特徴や費用相場が違います。種類別に見て費用が安いのは、ロッカー式で約20万円〜80万円。反対に費用が高額なのは、自動搬送式で相場は約70万円〜150万円です。
納骨堂のメリット
- 一般的なお墓より費用・料金が安い
- 比較的アクセスの良好な立地が多い
- 天気や気温の影響がなくお墓参りが快適
- 墓石の掃除や草抜きなどの作業が不要
納骨堂のデメリット
- 最終的には他人の遺骨と一緒に埋葬される
- 従来のお墓参りやお供えができない
- 収骨スペースに限りがある
- 災害や老朽化で建物が使えなくなる
樹木葬
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とするお墓。墓石がないぶん費用をおさえやすく、お墓の跡継ぎが不要な永代供養つきのお墓が多いのが特徴です。また、樹木葬は大きく分けて里山型、公園型、庭園型の3種類に分けられます。
鎌倉新書が実施した「第15回お墓の消費者全国実態調査(2024年)」によると、樹木葬の平均購入価格は63.7万円。一般墓149.5万円、納骨堂80.3万円と比べると、樹木葬はもっとも安価です。
樹木葬のメリット
- 継承者のいらない永代供養つきが基本
- 墓石がないぶん一般墓より費用をおさえやすい
- 自然回帰志向を実現できる
樹木葬のデメリット
- 契約期間が決まっている墓地が多い
- 埋葬方法によっては後から遺骨を取り出せない
- 個別のお墓参りが難しくなる可能性がある
散骨・海洋散骨
散骨とは、遺骨を粉末状にして、山や海、川などの自然へ撒く埋葬方法。遺骨をお墓に納めず、自然へ散布する「自然葬」の一種で、海に遺骨を撒く海洋散骨を中心に選ぶ方が増えています。「遺骨を2ミリ以下に粉砕しなければならない」と法律で定められているため、散骨するときは専門業者に依頼するのが一般的です。
海洋散骨を例に費用相場をあげると、船を1隻貸し切る「単独散骨」は20〜30万円。複数の家族で船を乗り合いする「合同散骨」は10〜20万円、家族は乗船せず乗組員に散骨をまかせる「委託散骨」は5〜10万円です。
散骨・海洋散骨のメリット
- 故人の遺骨を自然に還せる
- お墓の維持・管理がいらない
- 一般墓より費用をおさえられる
散骨・海洋散骨のデメリット
- 遺骨が手元に残らない
- 墓標がなく、お墓参りしにくい
- 周囲の理解を得る必要がある
手元供養
手元供養とは、故人の遺骨を身近な場所に保管する供養方法。自宅の仏壇やリビングに骨壺を飾ったり、ペンダントやブレスレット、ブローチなどのアクセサリーにして身に着けたりと、さまざまなスタイルがあります。また、遺骨の一部を手元供養にして、残りはお墓や納骨堂、樹木葬などに納骨するご遺族も多いです。
手元供養は遺骨を粉骨したり、手元供養品を購入したりする必要はありますが、一般墓を購入するより安価です。
手元供養のメリット
- 故人を常に身近に感じられる
- 自宅で毎日お参りできる
- お墓を買うより費用をおさえられる
- 墓地を管理する必要がない
手元供養のデメリット
- 災害や盗難、紛失のリスクがある
- 周囲から反対される可能性がある
お墓は絶対に必要?埋葬期限は設けられていない
公共の場に放置・遺棄するのは違法
遺骨には、「いつまでに埋葬しなければならない」といった埋葬期限はありません。そのため、納骨・埋葬しないで家に保管していても法律違反にはならないのです。
お墓がない、もしくは不要なら、遺骨を自宅で保管し続けても問題はありません。
ただし、遺骨を公共の場所に放置したりゴミとして捨てたりすると、刑法190条「遺体遺棄罪」にあたります。遺骨を保管するのが難しくなったときは、必ず規定に沿って供養してください。
私有地に埋葬するのは違法
遺骨は、行政が墓地として認めている場所にしか埋葬できません。埋葬場所は、墓埋法(墓地・埋葬等に関する法律)によって決められているため、私有地でも遺骨を埋めると違法です。
違反すると罰金や拘留などの罰則があるので、勝手に埋葬しないよう注意しましょう。
お墓がない供養方法を探すなら「いいお墓」へ
永代供養墓・合祀墓・納骨堂・樹木葬・海洋散骨・手元供養など、従来のお墓がなくても納骨・供養する方法はさまざま。それぞれ特徴やメリットが違うため、ご自身の希望と照らし合わせて最適なお墓を選んでください。
「いいお墓」では、供養方法やエリア、条件などで全国各地のお墓を検索できます。資料請求や見学予約も無料で申し込めますし、お墓選びをよりスムーズに進められます。お墓がない供養方法を検討されているなら、ぜひ「いいお墓」をご活用ください。