お墓のことについて調べていると、「永代供養墓」や「納骨堂」といった単語をよく耳にすると思います。自分の希望に合ったお墓を選ぶためにも、それぞれの意味や違いについてしっかり理解しておきたいものです。
この記事では、永代供養墓と納骨堂の違いや、永代供養墓の種類、納骨堂の種類、納骨堂で永代供養するメリットやデメリット、かかる費用の目安などをO&A形式で解説しています。
永代供養墓と納骨堂の違いが分かりません。違いは何でしょうか?
もともとは以下のような対立的な区分けで捉える場合が一般的でした。
- 永代供養墓 … お寺で永代に渡って遺骨を管理・供養してもらえるお墓
- 納骨堂 … 墓地に埋葬するまでの間、「一時的に」遺骨を預かってもらうための施設
しかし昨今では、納骨堂といっても一時的なものとはせず、永代供養墓として利用するケースも多くなっており、もはや対立概念として使われないことが主流となっています。また、一般墓のように代々承継して使える納骨堂もないわけではありません。
つまり、永代供養墓と納骨堂は、以下のように定義できると言えます。
- 永代供養墓 … 墓地の管理者に永代に渡って遺骨を管理・供養してもらえるお墓
- 納骨堂 … 遺骨を埋葬ではなく屋内の納骨室に収蔵する施設
ただし、現実には用語上の統一が取れているとは言えず、霊園やお寺などによって定義が異なる場合も珍しくありません。そのため、永代供養墓や納骨堂の購入を検討する場合には、具体的にどのような施設なのかをよく確認する必要があります。
永代供養墓にはどんな種類がありますか?
永代供養墓には、大きく分けて以下の4種類があります。どれも霊園や寺院など墓地の管理者が永代に渡って供養を行ってくれるお墓となります。
合祀墓タイプの永代供養墓
他の方の遺骨と一緒に埋葬されるお墓のことを合祀墓(合葬墓)と呼びますが、そのような合祀墓(合葬墓)は永代供養墓のタイプの一つです。合祀墓の形態はさまざまで、墳丘や塔の形をしたお墓が一般的ですが、モニュメントのようなデザインのお墓もあります。
なお合祀の場合、遺骨が他の方のものと混ざってしまうため、後からの改葬や分骨はできません。
納骨堂タイプの永代供養墓
納骨堂の多くは、霊園や寺院などで永代に渡って管理・供養してもらえるため、納骨堂も永代供養墓の一つと言えます。
なお当初は個別に収蔵される場合でも、一定期間(3回忌、7回忌、13回忌、33回忌など)を過ぎると合祀される永代供養墓が多い傾向にあります。
樹木葬タイプの永代供養墓
樹木葬とは、墓域内を樹木や草花で装飾した屋外型の墓地で、シンボルツリーを植えてその周辺に納骨するタイプや、墓碑の代わりに樹木を植えるタイプなどがあります。樹木葬も多くの場合、永代供養墓となっています。
納骨堂と同様に、一定期間(3回忌、7回忌、13回忌、33回忌など)を過ぎると合祀される条件のものが多いです。
永代供養付き個別墓
永代供養付き個別墓は、最初は一般墓として遺骨を納め、いつかお墓が承継できなくなった場合には、撤去費や管理費などの新たな費用をかけることなく永代供養墓に改葬(お墓の引越し)ができる、近年注目されているお墓です。
納骨堂にはどんな種類がありますか?
一口に納骨堂といっても多くの種類があります。以下では納骨堂の種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
仏壇式納骨堂
仏壇のような「納骨壇」が横並びになっているタイプの納骨堂です。
仏壇式納骨堂は、霊廟型(れいびょうがた)とも呼ばれます。位牌を安置する仏壇がある上段と、遺骨を納める下段に分かれており、遺影やお花を飾ることも可能です。費用相場は100万円前後で、納骨堂の種類の中では比較的割高と言えます。
ロッカー式納骨堂
ロッカーのように並んだ棚に遺骨を納めるタイプの納骨堂です。
参拝時に納骨壇を開くものと、納骨壇の前に参拝用のご本尊が用意されたものの2種類があります。費用相場は30万円前後で割安なものが多いです。
自動搬送式納骨堂
ICカードやタッチパネルを操作すると位牌や遺骨が参拝スペースまで自動的に運ばれてくる機械式の納骨堂です。
自動搬送式納骨堂は、費用相場は割高になりますが、大都市圏などで人気の納骨堂となっています。納骨と参拝の場所を分けることで納骨スペースを小さくすることができ、一つの納骨堂で数千基の遺骨を安置できる施設もあります。
墓石型納骨堂
従来の霊園(一般墓)のような形で墓石を置くタイプの納骨堂です。
一般墓の多くは屋外にありますが、墓石型の納骨堂は屋内にあることが多いため、天気の影響を受けずにお参りできるのがメリットです。
位牌型納骨堂
位牌が並べられ、遺骨は別の保管場所に納められているタイプの納骨堂です。
お内仏の周りに位牌を立てる形が一般的で、費用相場としてはロッカー式納骨堂よりもさらに安くなる傾向があります。
合祀型納骨堂
他の方の遺骨と一緒に埋葬されるタイプの納骨堂です。
永代供養塔の中に焼骨(または骨壺)を保管するもので、他の遺骨と埋葬されるため、納骨堂の種類の中ではもっとも費用相場が安いです。
永代供養墓の費用相場を教えてください。
永代供養墓の費用相場としては、個人用が50万円程度、家族用が100万円程度が目安といえます。
ただし、永代供養墓の種類や規模の大きさ、納骨時の戒名や法要の有無、立地の違いなどによって大きく異なります。
永代供養墓のメリットとデメリットを教えてください。
永代供養墓のメリット
- 承継者がいなくてもいい
永代供養のメリットの一つは、管理や供養を霊園側に任せられるため、お墓の承継者が必要ないという点です。子や孫がいなかったり、遠方に住んでいるなどの理由で承継者がいなくても、永代に渡って遺骨を供養してもらえるため安心できます。 - 一般墓に比べて費用・価格が安い
永代供養墓の場合、一般墓を建てるよりも費用が大幅に安くなることが多いです。一般墓を建てると永代使用料のほか墓石代もかかるため、総額で数百万円になることもありますが、納骨堂や樹木葬などの永代供養墓では墓石代が必要ないため、費用を50万円前後に抑えることも可能です。 - 屋内にあってお参りが快適
納骨堂などであれば基本的に屋内にあるため、雨や風など天候の影響を受けず快適に参拝できます。冷暖房を完備している霊園も多く、時期や天気を気にせずお参りできるでしょう。 - 管理の煩わしさがない
一般墓の場合、掃除や草とりなど、こまめにメンテナンスが必要です。しかし永代供養墓の場合は、霊園や墓地の管理運営者が清掃などを行ってくれるので基本的には管理が不要です。 - 交通アクセスの良い場所にあることが多い
永代供養墓は寺院の一角などで比較的アクセスが良い場所に建立されていることが多いです。特に、都心の納骨堂は最寄駅から徒歩圏内にあることも多く、気軽にお参りに行けるでしょう。 - 宗旨・宗派は不問
寺院が管理しているお墓の場合、その寺院以外の宗旨・宗派の方は利用不可の場合もありますが、永代供養墓の場合は、寺院運営であっても宗旨・宗派を問われることはほとんどないことが多いです。宗教などの慣習に左右されずに納骨したい方には向いていると言えます。
永代供養墓のデメリット
- 一定期間が過ぎると合祀されることが多い
永代供養墓のデメリットとして真っ先に挙げられるのが、一定期間が過ぎると遺骨が合祀されることも多いという点です。33回忌で合祀される場合が最も多いですが、最近では周忌が短く、7回忌、13回忌などで合祀されるケースも増えています。一度合祀されると他の方の遺骨と混ざってしまい、遺骨を再度取り出すことができないことがデメリットと言えます。 - お参りの仕方に制約が多い場合がある
施設によっては、お参りの仕方に制限を設けているところもあります。火のついた線香を焚くことを禁止されている、食べ物やお酒などの供物に制限があるなど、細かいルールは購入前にそれぞれの納骨堂で確認するようにしましょう。
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承継者がいなくても霊園や寺院などで管理・供養をしてもらえるため、永代供養墓の人気は近年高まっています。日本最大級のお墓検索サイト【いいお墓】では、ご自宅から一番近い永代供養墓や納骨堂を探せます。豊富な霊園情報の中から、費用予算や口コミ、アクセスなど希望に沿ったお墓をご案内していますので、永代供養墓の購入を検討している方はぜひご活用ください。