浄土真宗とは、浄土宗の開祖・法然の弟子である親鸞が教えを広めたものを、後に弟子が宗教として独立させた宗派です。またそのお墓には、独自の教えに基づく特徴やお参りの仕方があります。
この記事では、新しく浄土真宗のお墓を建てたいと考えている方のために、浄土真宗のお墓の特徴、お墓を建てた際の供養、お墓参りの仕方などについてご紹介します。浄土真宗のお墓を建てようとお考えの方はぜひ参考にしてください。
浄土真宗のお墓に霊は宿らない
浄土真宗では、お墓は故人や先祖を慰め成仏を願うのではなく、「極楽浄土へ旅立った故人を想いながら阿弥陀様への信仰心を新たにし、仏縁を結ぶ場所」とされています。故人は死後すぐに成仏して極楽浄土へ旅立ち、そこで生まれ変わるという教えであるため、お墓は故人の魂や霊が宿る場所ではないと考えられています。
浄土真宗のお墓の特徴
浄土真宗のお墓には、他の宗派とは違う次のような特徴があります。
墓に刻む文字
他の宗派では、一般的に墓石の正面に「〇〇家先祖代々之墓」「○○家之墓」などと刻みます。しかし、浄土真宗では故人の霊はすでに極楽浄土に行ってしまいお墓にはいないので、「阿弥陀様どうかお救いください」という意味の念仏「南無阿弥陀仏」、または先に逝かれた故人や先祖に「同じ極楽浄土で再び会いましょう」と告げる意味の「倶会一処(くえいっしょ)」を刻むとされています。もし家名を刻む場合は、二段目の台石や花立てに刻みます。
また、浄土真宗は阿弥陀様ご自身を信仰するため、浄土真宗のお墓には阿弥陀様の分身となる梵字・仏種子を刻んではいけないとされています。
墓誌ではなく法名碑と呼ぶ
お墓の横に故人や先祖の名や戒名を刻む石碑のことを、他の宗派では墓誌や霊標と呼びます。そして浄土真宗では戒名のことを法名というので、それを「法名碑」と呼びます。また、お墓に故人の霊は宿っていないため、「霊位」などの「霊」の文字は使用しません。また、法名碑は必ずしも必要ではありません。
卒塔婆を使用しない
浄土真宗では、故人はすぐに成仏しているとされるので、追善供養という考え方はありません。他の宗派のようにお墓の脇に卒塔婆を立てて卒塔婆供養をしないので、卒塔婆を立てるための卒塔婆立も必要ありません。
五輪塔などを建てない
五輪塔とは、お墓のそばに建てる先祖の霊をまとめて祀る塔のことです。浄土真宗では先祖の霊を塔で祀る必要はないため、五輪塔を建ててはいけないとされています。また、阿弥陀様のみを信心すべきということで、地蔵像や観音像、宝塔なども建てるべきではないとされています。
墓相や吉凶占いにこだわらない
浄土真宗では、阿弥陀様がすべてをお決めになるという教えなので、お墓の方位や形、色などが吉凶を左右するという墓相などは気にしないとされています。
建碑式
浄土真宗では、お墓を新しく建てた際に行う法要のことを「建碑(けんぴ)法要」または「建碑式」と呼びます。浄土真宗では霊魂の概念がないので、他の宗派のようにお墓に魂を入れるという意味の「開眼法要」や「お性根(おしょうね)入れ」、「お魂(たましい)入れ」などは使いません。
大谷本廟・大谷祖廟への分骨
浄土真宗では、お墓への納骨についても独特の慣習があります。
喉仏の骨を分骨して、本山に納骨するのです。浄土真宗本願寺派は大谷本廟、真宗大谷派は大谷祖廟という、浄土真宗の開祖・親鸞が眠る廟所へ納骨します。他の宗派では「分骨すると成仏できない」といわれていますが、浄土真宗の往生即身仏の教えからすれば気にすることはない、ということです。
浄土真宗のお墓参りの仕方
浄土真宗のお墓参りの仕方自体は、他の宗派とあまり違いがありません。しかし、菩提寺にお墓がある場合はお墓参りの前に本堂に上がり、阿弥陀様にご挨拶しなければならないとされています。
お墓の掃除をする前には、まずお墓に一礼をしてから始めます。墓石を磨いたり、周辺の雑草などを取り除いたり、花立てをきれいに洗います。
掃除が終わったら、花を活けて、線香をあげます。仏壇で線香を焚く場合は線香を2つに折って横に寝かせますが、お墓の場合は寝かせる場所がない場合が多いので、長いまま立ててあげても構いません。
そして、手を合わせて念仏「南無阿弥陀仏」を唱えます。
お供えする花に決まりはありませんが、他の宗派同様にトゲのある花や匂いのきつい花は避けましょう。
また、他の宗派ではお参りする際墓石に水をかけますが、浄土真宗ではかけなくともよいとされています。
まとめ
浄土真宗のお墓についての教えやお墓の特徴、お参りの仕方についてご紹介しました。
今回ご紹介したように、浄土真宗のお墓を建てる際には細やかな決まりがありますので、専門家に相談しながら決めるのがよいでしょう。
浄土真宗のお墓を建てたいと考えている方で、「どんなお墓を建てるべきか」「どこか良い墓地はないか」「お墓にはどのくらいの費用が必要なのだろうか」などのお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。