京都「西本願寺」- 親鸞聖人も眠る浄土真宗本願寺派の本山

西本願寺国宝唐門

JR京都駅の近くに構える「西本願寺」は浄土真宗本願寺派の本山で、全国から参拝者が大勢訪れる大きなお寺です。今回は、世界遺産にも登録されている西本願寺の歴史と見どころを紹介します。

浄土真宗本願寺派の本山

西本願寺は京都駅の近く、堀川通に面した大きな寺院で、全国から大勢の参拝者が訪れる浄土真宗本願寺派の本山です。
宗派については浄土真宗「西本願寺派」と誤った呼び方をされることもありますが、「本願寺派」が正しい呼び名となります。
正式名称は「龍谷山 本願寺」ですが、真宗大谷派の「東本願寺」と区別するために「西本願寺」という通称で呼ばれています。

西本願寺の歴史

1272年に京都の東山に建てられた浄土真宗の開祖・親鸞聖人の廟堂が本願寺の始まりです。
親鸞聖人はお経「大無量寿経」に記されている阿弥陀仏の救済を説き、広く庶民の信仰を集めました。

その後、本願寺は、権力への抵抗運動も展開しながら滋賀、福井、和歌山などを転々とし、大阪では織田信長と10年にわたり攻防を繰り広げました。
当時廟堂を守る留守職であった顕如上人は、最終的に信長と和議を結んで和歌山へ移りましたが、その子である教如上人は残って抵抗を続けました。
教如上人は一度勘当されますが和解し、1591年に豊臣秀吉に土地を寄進された父と共に現在の地に移ります。しかし顕如上人亡き後後継者問題が勃発し、1603年に徳川家康に土地を寄進された教如上人は東本願寺を分立しました。

その後も本願寺は東西に分かれたまま現在に至っています。

西本願寺の見どころ

西本願寺には国宝や重要文化財の建造物、美術品が多く、1994年12月には「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコの世界文化遺産に登録されています。

本尊の阿弥陀如来が安置されている阿弥陀堂(本堂)と、親鸞上人の木像がある御影堂、書院、書院の北側にある北能舞台はすべて国宝建造物です。
北能舞台には1581年に記された墨書紙片が残されており、現存する日本最古の能舞台とされています。

また、境内南側の北小路通に面した側には伏見城の遺構とも伝えられる国宝建造物の唐門があります。門に施された桃山時代の豪華な装飾彫刻を眺めていると日の暮れるのも忘れるといわれたことから別名「日暮らし門」とも呼ばれています。

3層からなる楼閣建築の飛雲閣は、金閣や銀閣と共に「京の三名閣」の一つに数えられ、こちらも国宝に指定されています。桃山時代の代表的建築で、秀吉が邸宅として建てた聚楽第(じゅらくだい)の遺構とも伝えられています。
境内の北東の隅には太鼓楼があります。江戸時代末期には池田屋事件で脚光を浴びた新選組がここに本陣を置き、幕末史の舞台となりました。

そんな数々の歴史的建造物がある中、「龍虎殿」は2009年7月に完成した新しい建物で、参拝者の応接施設として使われています。

天然記念物「大銀杏」

境内には京都市の天然記念物に指定された樹齢約400年の大銀杏があり、根っこを天に広げたような珍しい形から「逆さ銀杏」の名があります。
1788年(天明8年)の火災の時に、この銀杏から水が吹き出して火を消し止めたという伝説があり「水吹き銀杏」「火伏せの銀杏」とも呼ばれています。

境内や近くのおすすめスポット

京都駅から徒歩で約15分とアクセス抜群の西本願寺は、観光拠点としてもおすすめです。堀川通を挟んで総門の正面には仏教総合博物館の「龍谷ミュージアム」があり、仏教の誕生から現代の仏教までの流れを学ぶことができます。

西本願寺から境内北側の花屋町通を東に15分ほど歩けば、真宗大谷派の本山「東本願寺」があります。こちらにも世界最大級の木造建築である御影堂があり、西本願寺と同様に見応えがあります。

花屋町通を西に行けば、現存唯一の揚屋建築として重要文化財に指定されている「角屋もてなしの文化美術館」があります。角屋は新撰組がかつて遊びに興じた場所でもあり、幕末の空気を今に伝えています。

境内の南側には本願寺派の最高教育機関として明治初期の「擬洋風建築」で建てられた龍谷大学の本館があり、当時の優雅な雰囲気を残しています。
西本願寺の南側に足を伸ばし、七条通を西へ15分ほど歩けば2012年開館の京都水族館、2016年4月のオープン以降大人気の京都鉄道博物館もあります。ゆっくり回るとなると西本願寺の周辺だけで一日が終わるほどの充実ぶりです。

西本願寺の拝観方法

西本願寺は拝観料を設けておらず、自由に参拝ができます。拝観時間は5:30~17:00となっています。
教えに従って御朱印はありませんが、参拝記念スタンプが龍虎殿にあります。

西本願寺への交通アクセス

市バス「京都駅前」から9号・28号・75号系統で「西本願寺前」停留所下車すぐの場所にあります。JR京都駅から歩くと15分ほどで着きます。
西本願寺の北側には大きな無料駐車場がありますので、車での参拝も可能です。

《墓所案内》大谷本廟【西大谷】

浄土真宗本願寺派(西本願寺)の開祖、親鸞聖人の墓がある「大谷本廟(おおたにほんびょう)」
納骨には「祖壇納骨」「無量寿堂納骨」「墓地納骨」の3種があり、親鸞聖人の墓の近くに合葬していただける「祖壇納骨」と、境内にある無量寿堂に納めていただける「無量寿堂納骨」、東側の大谷墓地に埋葬する「墓地納骨」から選べます。
大谷墓地では広大な斜面に墓石が建ち並び、作家の司馬遼太郎や「新撰組始末記」を記した寺侍・西村兼文の墓碑があります。
JR京都駅から市バス206系統で「五条坂」停留所下車徒歩5分。繁忙期は西本願寺との間で無料シャトルバスが運行されます。約30台の駐車場は彼岸、お盆、年末年始は閉鎖されますのでご注意ください。

大谷本廟【西大谷】
大谷本廟は宗祖親鸞聖人のご廟所(墓所)であり、全国の門信徒のご遺骨をお納めするところでもあります。西大谷とも呼ばれています。大谷本廟は、納骨・永代経・墓参などをご縁として、おみのりを聴聞する場であります。

まとめ

世界文化遺産に指定されている西本願寺で歴史を感じてみてはいかがでしょうか。京都駅の近くで京都を存分に味わうことができるおすすめのスポットです。古都ならではの落ち着いた空気の中で、心静かにご参拝できます。