樹木葬とは、墓石ではなく樹木を墓標とする埋葬方法。通常のお墓より安いと注目されていますが、形態は千差万別で明確な定義はありません。実際に樹木葬にはさまざまな種類があり、それぞれ価格帯も異なるため、一概に格安とは言えないのが現実です。
この記事では、樹木葬の平均費用と内訳、埋葬方法別の相場などをご紹介。費用をおさえるのはもちろん、納得いく樹木葬を選ぶために必要な情報をまとめていますので、ぜひご一読ください。
樹木葬の平均費用はいくら?相場は63.7万円
2020年(n=777) | 2021年(n=455) | 2022年(n=859) | 2023年(n=585) | 2024年(n=1620) | |
---|---|---|---|---|---|
樹木葬 | 68.8万円 | 71.7万円 | 69.6万円 | 66.9万円 | 63.7万円 |
2024年に実施した「第15回お墓の消費者全国実態調査」によると、樹木葬の平均購入価格は63.7万円。過去5年間の推移を見ても、樹木葬の平均購入価格は60万円〜70万円で落ち着いています。樹木葬はもともと消費者のニーズを捉えた埋葬方法のため、特出した価格競争が起きていないようです。
他のお墓と比べて樹木葬の費用は安い
2020年(n=777) | 2021年(n=455) | 2022年(n=859) | 2023年(n=585) | 2024年(n=1620) | |
---|---|---|---|---|---|
樹木葬 | 68.8万円 | 71.7万円 | 69.6万円 | 66.9万円 | 63.7万円 |
納骨堂 | 87.7万円 | 91.3万円 | 83.6万円 | 77.6万円 | 80.3万円 |
一般墓 | 176.2万円 | 169.0万円 | 158.7万円 | 152.4万円 | 149.5万円 |
「第15回お墓の消費者全国実態調査」におけるお墓の平均購入価格は、一般墓149.5万円、納骨堂80.3万円。樹木葬の63.7万円と比べると、約16万円〜85万円もの差があります。
平均購入価格を見ると、一般墓や納骨堂より樹木葬は格安と言えるでしょう。ただ樹木葬は、1人での納骨を前提にしているため、夫婦や子どもを一緒に埋葬すると金額が上がる可能性があります。一般墓は金額が高いですが、代々一族を埋葬すると考えれば、安いと感じる方もいるかもしれません。
樹木葬の費用の内訳
- 永代使用料
- 永代供養料
- 埋葬料
- 銘板料・彫刻料
- 管理料
内訳ごとの料金やオプションによって、樹木葬にかかる費用は変わります。内訳を知って要不要を判断することで、樹木葬の費用を安くおさえられるかもしれません。
ここでは、樹木葬の費用の内訳を紹介します。なお、霊園・寺院によって名称が違ったり、複数の内訳がまとめられたりしているため、樹木葬を申し込む前に必ず確認しましょう。
永代使用料
永代使用料とは、遺骨を埋葬する土地・区画を使用するための料金のこと。
寺院や霊園によりますが、樹木葬では一定期間経過すると、遺骨を骨壺から取り出して他者とまとめて埋葬する合祀をするケースが多いです。合祀の有無やタイミングは、霊園・寺院によって違うため、契約前に確認しておきましょう。
永代供養料
永代供養料とは、遺骨を管理・供養してもらうために支払う料金です。永代使用料と似ていますが、永代使用料は「墓地の区画を使用する権利を得るための費用」で、別物なので注意しましょう。
永代供養料は霊園によって、永代使用料とセットになっていたり、含まれていなかったりするため、契約時に必ず確認してください。
埋葬料
埋葬料は、遺骨を埋葬するための手数料で、永代使用料に含まれている場合もあります。複数の遺骨を埋葬すると、人数や埋葬の回数によって費用が発生することが多いので注意しましょう。
銘板料・彫刻料
墓石の代わりに樹木を墓標とする樹木葬では、銘板(ネームプレート)や石碑を設置するケースが多いです。故人または家の名前が一般的ですが、お好きな言葉や戒名を彫っても問題ありません。銘板料・彫刻料は、オプションで選べたり別途費用がかかったりする霊園・寺院もあります。
管理料
管理料は、お墓の維持・管理をしてもらうための料金で、運営費や管理費などとも呼ばれます。一般的には合祀する前の期間に発生し、最初から合祀を選んだ場合は必要ないことが多いです。
また、管理料が無料だったり、永代使用料に含まれていたりする霊園・寺院もあります。
樹木葬は埋葬方法で価格が変動!一番安いのは合祀型
- 合祀型:5万円~20万円
- 集合型:10万円~60万円
- 個別型:20万円~150万円
樹木葬の埋葬方法は、合葬型、集合型、個別型の3つに分けられ、それぞれ価格が異なります。それぞれの特徴と違い、費用の相場を紹介します。
合祀型:5万円~20万円
合祀型は、1つの区画に複数の人の遺骨をまとめて埋葬する方法。個々の遺骨を納めるスペースが区切られていないため、他の人と遺骨が混ざった状態で埋葬されるのが特徴です。
個別の土地や樹木が必要ないぶん、費用がもっとも安く、相場は5万円~20万円。永代供養料のみで購入できる合祀型樹木葬も少なくありません。ただし一度合祀すると、故人のご遺骨を取り出せないので、慎重な検討が必要です。
集合型:10万円~60万円
集合型は、1本のシンボルツリーに複数の区画があり、区画ごとに遺骨を納める埋葬方法です。
合祀型と違って、個々にスペースが割り当てられていたり、遺骨を骨壺や骨袋に納めたりするため、他人の遺骨と混ざることはありません。個人はもちろん、夫婦や家族単位でも埋葬してもらえます。
集合型の相場は10万円~60万円と、個別のスペースがあるぶん、合祀型より値段が上がります。区画は分かれていますが、霊園・寺院によっては遺骨を取り出せません。また、一定期間を過ぎたら合祀墓に移されることが多いため、事前に確認しておきましょう。
個別型:20万円~150万円
個別型は、個々に樹木と区画が割り当てられた埋葬方法。個人だけでなく、夫婦や家族ごとに遺骨を埋葬でき、シンボルツリーを墓標として独占できます。そのため、通常のお墓と同じようにお墓参りできるのがメリットです。
個別型の相場は20万円〜150万円と、樹木葬ではもっとも高いですが、一般墓と比べると安いと言えるでしょう。ただし集合型と同様、一定期間を過ぎたら合祀墓に移動されるのが一般的です。
樹木葬が安いのはなぜ?3つの理由
- 墓石がいらない
- 永代供養を前提にしている
- 合祀型・集合型で価格をおさえられる
樹木葬が安いのには、大きく3つの理由があります。
墓石がいらない
樹木葬が一般墓より安い最大の理由は、墓石の代わりに樹木を墓標にしていること。
墓石は、岩山で採掘された原石を切り分け、1つ1つ研磨や文字彫刻をして仕上げます。職人の技術が必要なのはもちろん、人件費や設備投資がかさみやすく、価格が高騰しがちです。さらに墓石を設置するには、お墓の地盤を整えたり、墓石を据え付けたりする工事もしなければなりません。
実際に、一般墓にかかる費用の半分以上が墓石代だと言われています。樹木葬は樹木や草花を植樹するだけで、墓石にかかる材料代や加工代、工事費用がかかりません。墓石がないのは、樹木葬が費用を安くおさえられる大きな理由と言えるでしょう。
永代供養を前提にしている
永代供養とは、遺族に代わって、寺院や霊園がお墓の管理・供養をする埋葬方法。「永代=永遠」と思われがちですが、実際は期限が設けられていて、最終的に合祀されるのが一般的です。
樹木葬は永代供養が前提になっているため、永代供養料やお布施などが最初から含まれていることが多く、別途支払う費用が少ないです。
また本来、永代供養をするときは、元々あるお墓を閉じる「墓じまい」をしなければなりません。樹木葬は墓石がないぶん、墓じまいにかかる費用もおさえられます。
合祀型・集合型で価格をおさえられる
一般的なお墓は、家または個人ごとに墓石のある「個人墓」です。一方の樹木葬には、1本のシンボルツリーに対して複数の人を埋葬する合祀型・集合型のお墓があります。
合祀型・集合型はシンボルツリーを共用して、個々のスペースも限られているので、一般墓より低価格です。樹木葬は、さまざまなニーズに応じた、価格の安いお墓タイプが用意されているため、価格をおさえやすいと言えます。
樹木葬とは?里山・公園・庭園型の3種類
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標とするお墓のこと。植樹された樹木や樹林を墓標として遺骨を埋め、故人を自然に還す埋葬方法です。
埋葬後は、寺院や霊園によって一定期間供養され、最終的に遺骨を他者とまとめて埋葬する「合祀」をする樹木葬がほとんど。そのため樹木葬は、継承者が不要な「永代供養」のお墓としても人気です。
樹木葬は大きく、里山型、公園型、庭園型の3種類に分けられます。
里山型
里山型は、山林や丘など、自然豊かな環境に埋葬区画が設けられた樹木葬。1区画に1本ずつ樹木を植樹する霊園が多く、広大な面積が必要なため、郊外に多いです。「死して自然に還る」「墓地で里山の草木を育てる」といった思いや目的を持った方から人気を集めています。
公園型
公園型は、草花や休憩所、トイレなどが整備された公園のような環境に埋葬区画が設けられています。霊園や寺院の一角にあることが多く、都心部でもよく見られるタイプです。
公園型の樹木葬は、墓域に1本~数本の樹木を植え、複数の遺骨を埋葬するシンボルツリー型が多いですが、1区画に1本ずつ樹木を植える霊園もあります。
庭園型
庭園型は、寺院や霊園の限られたスペースに、シンボルツリーや花木を植えて埋葬する樹木葬です。公園型より規模が小さく、「ガーデニング型」「ガーデン型」とも呼ばれています。都市部に多く、庭園・ガーデニング風に管理・整備されているため、“都市型”の樹木墓地と言えます。
樹木葬のメリット・デメリット
樹木葬のメリット
- お墓の継承が不要になる
- 一般墓と比べて費用が安い
- 自然回帰志向を実現できる
樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標としているため、お墓の継承は必要ありません。また、墓石が必要ないぶん、一般墓より費用をおさえやすいのも魅力。
さらに「死後は自然に戻りたい」といった自然回帰志向を実現できることからも人気を集めています。
樹木葬のデメリット
- 遺骨を取り出せない場合がある
- 周囲の理解を得る必要がある
- タイプによって安価ではない
樹木葬では、いったん合祀されるとあとから遺骨を取り出せません。また、樹木葬は新しい概念のお墓なので、周囲から理解を得るのが難しい可能性があります。
その他、立地や区画、埋葬する人数によっては、樹木葬でも一般墓と同じくらい費用がかかります。
樹木葬のトラブル例と選ぶときの注意点
- 墓地の一角でイメージと違った
- 線香やお供えが禁止されている
- 家族間で意見が分かれてしまった
公園型と庭園型の樹木葬は、霊園・寺院の一角にあるケースが多いので、期待していた景観でない可能性があります。また消防対策のために、線香やお供えを禁止している樹木葬があるので注意が必要。
さらに樹木葬は新しい埋葬方法なので、家族間で意見が分かれてしまうかもしれません。
樹木葬に向いている方
- お墓を継承しない
- 改葬を希望している
- 自然回帰を求めている
- 安くお墓を用意したい
樹木葬は、お墓を任せる跡継ぎがいなくて改葬したり、そもそもお墓を継承したくなかったりする方に向いています。また、自然回帰志向の方や価格を重視している方にも、樹木葬はよく選ばれています。
後悔のない樹木葬を選ぶには事前の準備が大切
他の埋葬方法より、樹木葬が比較的安価であることは間違いありません。ですが実際は、埋葬方法や人数、条件などによって樹木葬の費用は変わります。また、いかに格安の樹木葬でも、家族や寺院とトラブルになったり、希望に沿った供養ができなかったりするのは回避したいところ。メリットだけでなく、デメリットも考慮したうえで樹木葬を選択してください。
後悔のない樹木葬を選ぶためには、事前の準備が大切です。資料を請求して比較・検討を重ね、候補を絞ったら必ず現地見学することをおすすめします。
「いいお墓」では、エリアや条件ごとに、樹木葬のある霊園・寺院を一覧で確認できます。また、樹木葬の資料請求や現地見学のお問い合わせはすべて無料で可能です。あなたに最適な樹木葬を効率よく探せますので、ぜひご活用ください。
全国の費用が安くておすすめの樹木葬
北海道・東北
北海道(札幌市)|青森県|岩手県|宮城県(仙台市)|秋田県|山形県|福島県
関東
東京都(東京23区)|神奈川県(横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県(さいたま市)|千葉県(千葉市)|茨城県|栃木県|群馬県
東海・甲信越・北陸
愛知県(名古屋市)|岐阜県|静岡県(静岡市 / 浜松市)|三重県|山梨県|新潟県(新潟市)|長野県|富山県|石川県|福井県
関西
大阪府(大阪市 / 堺市)|兵庫県(神戸市)|京都府(京都市)|滋賀県|奈良県|和歌山県
中国・四国
鳥取県|島根県|岡山県(岡山市)|広島県(広島市)|山口県|徳島県|香川県|愛媛県|高知県