寺院墓地とは?費用相場やメリット・デメリット、霊園との違いを解説

寺院墓地とは?費用相場やメリット・デメリット、霊園との違いを解説
記事を先読み
  • 寺院墓地とは、お寺が主体となって管理・運営する墓地
  • 寺院と直接繋がって手厚い供養を受けられる一方で、自由度が比較的低い
  • 永代使用料・管理料・墓石代の他、入檀料やお布施などが必要な寺院もある

寺院墓地(じいんぼち)とは、寺院が管理・運営する墓地のこと。お寺と繋がりが強く、檀家になれば手厚い供養を受けられたり、節目ごとの法要を任せられたりします。一方で、費用が割高になりやすかったり、宗旨宗派の制限があったりするので注意が必要です。

この記事では、寺院墓地の特徴や費用相場、利用するメリット・デメリットなどを解説します。

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寺院墓地とは?寺院墓地の4つの特徴

  • 寺院が墓地を管理・運営する
  • お寺の境内にお墓がある
  • 基本は檀家のための墓地
  • 仏様と僧侶が身近にいる

寺院墓地とは、各宗派のお寺が主体となって管理・運営する墓地。お寺の境内、または寺院に隣接する敷地に設けられている墓地がほとんどです。まずは寺院墓地の主な特徴を紹介します。

寺院が墓地を管理・運営する

「寺院墓地」という名前の通り、お墓の管理・運営は寺院が直接行います。寺院が直接墓地を運営しているため、葬儀や法要、供養などはすべて任せられて安心。お墓も寺院の敷地にある墓地がほとんどなので、管理や安全面も期待できます。

お寺の境内にお墓がある

寺院墓地は、お寺とお墓が同じ場所にある墓地がほとんど。寺院墓地のお墓は、寺院の敷地内である境内、または寺院に隣接する敷地に設けられています。

お寺にお墓があるという光景は、日本人が昔から見てきた馴染み深い景色。寺院墓地は、日本の伝統的なお墓・墓地といえるでしょう。

基本は檀家のための墓地

寺院墓地は原則として寺院の檀家や門徒・信徒のための墓地です。寺院と檀家の歴史は、江戸時代の寺請制度までさかのぼります。当時は、すべての世帯が特定の寺院に檀家として所属するよう義務づけられていて、お互いを双方向で支えあう存在でした。

特定の寺院の檀家になると、「お布施」や「檀家料」を渡して、寺院を経済的に援助します。その代わり、専属の寺院が優先的に葬祭・供養をしてくれるため、お盆や繁忙期でも困りません。

檀家になる必要のない寺院墓地もありますが、寺院と檀家の関係は寺院墓地の大きな特徴のひとつ。お寺との繋がりが深いのは、他の霊園やお墓にはない特徴といえます。

檀家とは?

特定の寺院に所属している家のこと。浄土宗では「信徒」、浄土真宗では「門徒」とも呼ばれます。また、寺院墓地に新しくお墓をもつために檀家に入ることを「入檀する」といいます。

仏様と僧侶が身近にいる

寺院墓地は、お墓が寺院の境内にあるため、ご本尊と僧侶を常に近くに感じられます。仏様が常に近くにいて、守ってくださる安心感は大きいでしょう。また、毎日聞こえてくる住職・僧侶の読経の声は、お墓に眠るご先祖様に大きな安らぎを与えられるかもしれません。

法要・供養に関して疑問に感じたり、困ったりしたとき、面と向かって住職に直接相談できるのも魅力です。急な不幸による葬儀や法要でも、お寺の本堂を利用できるため、一般的な葬儀会場より格式の高い葬儀になります。

寺院墓地の費用相場は?使用料・管理料・墓石代など

寺院墓地にかかる費用費用相場
永代使用料約30万円~200万円
管理料約6千円〜2万5千円/年間
墓石代約50万円~150万円

寺院墓地にかかる主な費用は、永代使用料管理料・墓石代の3つ。その他、檀家になるための入檀料お寺を支えるためのお布施など、寺院墓地特有の費用が必要になるケースもあります。

寺院墓地の費用相場は、寺院によって大きく異なるため、詳しくは墓地を管理・運営する寺院に確認してください。

永代使用料:寺院墓地の土地を使う料金

永代使用料とは、お墓を建立する寺院墓地の土地の使用権(永代使用権)を得るための料金です。

現在の日本の法律では、勝手に墓地を造ったりお墓を建てたりしてはいけません。お墓を建てるには霊園・墓地の土地を使用するしかないため、永代使用料は墓地の契約で必ずかかる費用です。場所代として永代使用料を支払うことで、お墓の使用者や継承者がいる限り、墓所を使い続けられます。

永代使用料の相場は約30万円~200万円で、契約時に一括で支払う場合がほとんど。不動産と同じく、立地条件や選ぶ区画の広さ、寺院の設備状態などが影響するため、金額にかなり幅があります。

管理料:寺院墓地の運営に必要な料金

管理料とは、墓地の運営や共有設備の維持・管理に必要な費用です。年1回支払うのが一般的で、「寺院施設使用料」「お布施」「冥加金」などの名目で納める寺院もあります。

永代使用料と同様、管理料も寺院によって金額に幅がありますが、相場は約6千円〜2万5千円ほど。ただし格式の高い寺院だと、管理料が10万円近くになることもあります。寺院の運営方針次第ですが、その他の霊園・墓地より管理料を割高に設定している寺院墓地が多いようです。

墓石代:お墓を建てる料金

墓石代とは、お墓の建立にかかる費用で、墓石の本体や外柵・納骨室、施工費などを含みます。

墓石代の費用相場は約50万円〜150万円です。ただし、選ぶ墓石の種類や使用量、デザインなどによって墓石代は大きく変動します。石材店によっても価格が変わるので、複数の石材店から見積もりを取得し、相場観を把握するのが大切です。

その他:入檀料・護持会費・お布施

寺院墓地にかかる費用費用相場
入檀料約10万円~30万円
護持会費約5千円~2万円/年間
通夜・葬儀のお布施約15万円~50万円
回忌法要のお布施約3万円~10万円

寺院墓地の特徴的な費用として、檀家になるために必要な入檀料、護持会費、お布施があります。

入檀料

入檀料はお寺の檀家になるために支払う料金で、寺院墓地特有の費用です。宗派や寺院によっては、入檀料がかからない寺院墓地もあります。入檀料の相場は約10万円〜30万円ですが、宗派や寺院ごとに異なるため確認してください。

護持会費

護持会費は、お寺を管理・維持・運営していくための費用で、お寺によっては、寺院墓地の管理費を護持会費と呼びます。護持会費の費用相場は年間約5千円〜2万円。年間定額制にしている寺院もあれば、お布施や檀家の任意にしている寺院もあり、さまざまです。

お布施

寺院の檀家になると、お布施を支払う機会が多くあります。お布施は、僧侶へお礼や感謝の気持ちを示すための金銭。そのため、本来は決まった金額はなく、できる範囲で支払うのが前提です。

お布施の費用相場は、僧侶を招く場面によって変わります。通夜や葬儀の読経・供養は約15万円〜50万円、回忌法要は約3万円〜10万円、月命日の読経は約5千円〜1万円が目安です。

寺院墓地のメリット

  • 寺院と直接繋がる安心感がある
  • 手厚い供養を優先的に受けられる
  • 立地条件がよく、お墓参りしやすい

寺院墓地のメリットには、管理・運営主体が寺院だからこその安定感があります。繁忙期でも手厚い供養を優先的に受けられるから安心。また、身近にある寺院の墓地を選べば、お墓参りも簡単です。

寺院と直接繋がる安心感がある

寺院墓地は、お墓の運営・管理をしている寺院と直接繋がりをもてるのがメリット。お墓の管理や葬祭、供養を寺院にすべて任せられますし、住職に相談にのってもらえて安心感があります。

また、回忌法要の管理をお寺がしてくれるので、万が一忘れてしまっていても安心。さらに、檀家に入っていれば、寺院墓地を管理している寺院で法要を執り行えて便利です。

手厚い供養を優先的に受けられる

檀家になると住職と直接会話を交わす機会が増え、親密な関係を築けます。強い繋がりと信頼関係が生まれることによって、お墓や供養に関する不安を相談しやすくなるでしょう。

また、繁忙期でも手厚い供養を優先的に受けられます。墓地の継承者がいなくなったときは、遺族の代わりにお寺がお墓を管理・供養してくれる「永代供養」を受けることも可能です。

永代供養とは?

遺族に代わって霊園・寺院がお墓を供養・管理すること。永代供養を受けられるお墓を「永代供養墓」と呼びます。一般墓に限らず、樹木葬や納骨堂、合祀墓なども永代供養つきのお墓が増えています。

立地条件がよく、お墓参りしやすい

主に首都圏では、アクセスしやすい場所にある寺院墓地が多いです。また地方では、地域に密着した寺院墓地が多く、身近な場所に墓所が設けられています。寺院墓地は、比較的立地条件のよい墓所が多いので、定期的にお墓参りしやすいでしょう。

寺院墓地のデメリット

  • 自由度が比較的低い
  • 費用が割高になりやすい
  • 寺院・住職で運営方針に差がある

寺院墓地のデメリットには、他の公営霊園や民営霊園と比較すると自由度が低い点があります。費用の割高になりやすいですが、それぞれの寺院によって異なるので購入前の準備・確認が大切です。

自由度が比較的低い

寺院墓地は、宗旨宗派を限定している寺院が多いです。宗派宗旨不問の寺院墓地でも、法要はその寺院の宗派宗旨で行われるのが一般的です。

また寺院墓地でお墓を建てるなら、墓石の大きさ・形・デザインが指定されたり、範囲を限定されたりするかもしれません。寺院によっては決められた石材店でしか墓石を購入できないため、自由に石材店や墓石を選ぶのが難しい可能性があります。

費用が割高になりやすい

寺院の格式や設備によって異なりますが、お墓の購入にかかる永代使用料や毎年支払う管理料が、その他の霊園と比べて割高になる寺院墓地が多いです。

また入檀金を納めて檀家にならないと、寺院墓地を利用できない寺院もあります。その他、寺院の管理・維持のための護持会費やお布施、寄付が必要な寺院墓地もあり、費用がかさみやすいです。

寺院・住職で運営方針に差がある

寺院墓地は、寺院が運営を担っているため、サービスより信仰に重きを置く傾向が強いです。そのため、寺院や住職によって寺院墓地の運営方針に差が出ます。墓地を気に入っても、寺院の運営方針や住職の人柄が合わない可能性があるので、注意してください。

寺院墓地と公営霊園・民営霊園の違い

お墓を経営主体でわけると、都道府県や自治体が運営する「公営霊園」と、宗教法人あるいは公益法人が運営する「民営霊園」、宗教法人である寺が敷地内で運営する「寺院墓地」になります。

公営霊園

公営霊園は、都道府県や市区町村などの自治体によって管理・運営されている墓地のこと。地方では、村落(旧行政村)が運営する「共同墓地」という形態もあります。

公営霊園は、寺院墓地と違って基本的に宗旨宗派の制約がなく、石材店も自由に選べます。永代使用料・管理料も低めの霊園が多いですが、一等地にある都立霊園などは民営霊園より高額なので注意が必要です。また公営霊園は、「申込者の住所が霊園を管理運営する自治体の管轄にあること」「遺骨があること」「親族に承継者がいること」など、申し込みにあたって条件が定められています。

公営霊園のメリット

  • 宗旨宗派の宗教的制約がない
  • お墓を建立する担当石材店を自由に選べる
  • 永代使用料・管理料が低めの霊園が多い
  • 公的機関の管理運営だから安心感がある

公営霊園のデメリット

  • 申し込みの条件が定められている
  • 募集受付期間が限定されている
  • 応募多数だと抽選になる霊園もある
  • お墓の形状・大きさが指定される霊園もある
  • 募集区画がない可能性がある

民営霊園

民営霊園は、財団法人や社団法人、宗教法人、またはそこから運営委託を受けた民間企業によって管理・運営される霊園です。

民営霊園は、個性的な特色や雰囲気、サービスなど、工夫している霊園がほとんど。寺院墓地と違って、お墓のデザインや大きさを自由に選べる霊園が多く、申し込み条件も比較的緩いです。ただし、指定石材店があったり、価格面が割高になったりする霊園もあるため、注意してください。

民営霊園のメリット

  • 利便性向上のため工夫を凝らした霊園が多い
  • お墓のデザイン・大きさなどを自由に選択できる
  • 寺院墓地・公営霊園より申し込み条件が緩い

民営霊園のデメリット

  • 担当石材店(指定石材店)のある霊園が多い
  • 霊園によっては価格面で割高になる

寺院墓地に入る方法と流れ

  • 寺院墓地に見学を申し込む
  • 宗旨宗派・檀家条件を確認する
  • 寺院墓地と契約する

寺院墓地に入る流れを、大きく3つのステップにわけて説明します。

寺院墓地に見学を申し込む

お墓を建てたい寺院墓地を見つけたら、まずは見学を申し込みます。実際に現地を見学して、寺院独特の雰囲気や住職さんの人柄などが合っているか確認するのが大切です。

寺院墓地の見学申し込みや情報収集をする方法は、寺院のホームページから探したり、専用の資料を請求したり、墓石を取り扱う石材店に聞いてみたりするのが一般的。

いいお墓」では、寺院墓地の資料請求や見学申し込みを無料で承っています。ご希望のエリアや条件にあわせて寺院墓地を探せますので、ぜひ一度ご活用ください。

宗旨宗派・檀家条件を確認する

檀家になるのが必須条件の寺院墓地だけではありませんが、一般的には入檀が必要な寺院が多いです。檀家になることで、寺院墓地ならではの恩恵を最大限受けられます。

また、宗旨宗派の制限があるかは寺院によって違います。寺院墓地と契約する前に、宗旨宗派と檀家条件を必ず確認しておきましょう。

寺院墓地と契約する

入りたい寺院墓地が決まったら、管理・運営するお寺と利用契約を結びます。納骨方法や料金、支払方法などは、寺院によって違うため、入念に確認してください。

疑問点や懸念点があれば、必ず相談して納得したうえで契約に進むのが大切。また、契約前に見積もりを取得して内訳や費用を確認しておくと安心です。

寺院墓地を管理するのは寺院・住職

経営主体は寺院

前述したとおり、寺院墓地の経営主体は寺院。地方自治体・行政の許可を受けたうえで寺院墓地を開設し、運営・管理は寺院が直接行っています。寺院墓地をどのように運営するのかは、それぞれの寺院で方針が決められています。

管理者は住職

寺院墓地は寺院が管理・運営していますが、厳密には墓地の管理は寺院の住職が行っています。寺院が直接管理しているといっても、墓地・埋葬に関する事務管理や使用者のケアなどは、住職が役割を担っていると覚えておいてください。

たとえば、寺院墓地の使用者の回忌法要の管理は、住職の役割に含まれています。お墓や供養を細かく管理できるのは、寺院の住職が直接関係しているからだといえるでしょう。

寺院墓地における宗派の制約

宗派・宗旨を限定する寺院墓地がある

寺院墓地は、宗派・宗旨が限定している寺院が多いです。特定の宗派をもっていたり、檀家に入っていたりすると、墓地を管理・運営する寺院の宗派に改修を求められるかもしれません。

また、宗派・宗旨不問でも在来仏教徒が前提である寺院墓地がほとんどです。仏教徒以外のお墓を建てられない寺院墓地もあるので、事前に必ず確認してください。

宗旨宗派不問の解釈は寺院墓地によって異なる

「宗派・宗旨不問」の解釈は、寺院によってさまざまです。寺院墓地で多い解釈は、「過去、つまり納骨前の宗派・宗旨は不問だが、納骨後はその寺院の宗派・宗旨にしたがって葬儀・供養をする」こと。そのため、墓地を購入した後は、墓地をもっている寺院の檀家になるよう求められるのが一般的です。

ただし、納骨後も自由に供養できる寺院もあります。寺院墓地だからといって、必ずその寺院の檀家にならなければいけないわけではありません。寺院によって運営方針は異なるので、寺院墓地の購入前に確認しましょう。

寺院墓地の代表的な例

寺院墓地は、お墓の種類の中で数が多く、日本全国にさまざまなお墓・墓地があります。

規模の大小はありますが、寺院墓地はお寺の数と同じくらい多く全国に点在しています。寺院墓地を目にする機会が多いぶん、「お墓といえばお寺、お寺といえばお墓」というイメージがあったり、お寺からお墓を連想したりする方は少なくないでしょう。

寺院墓地は多くの方がイメージするように、お墓として私たちの身近に存在していて、実際に日本の霊園・墓地では最多数です。寺院墓地は文字どおり、寺院の存在なくしては成り立ちません。

なかには、世界遺産として有名な寺院が運営する寺院墓地もあります。たとえば、京都にある歴史上有名な天台宗の総本山である比叡山延暦寺も、墓地をもつ寺院のひとつです。その他、京都の嵯峨嵐山にある臨済宗大本山天龍寺や、浄土宗総本山知恩院、真言宗大本山隨心院など、世界遺産に登録されている寺院の中にも、大本山や塔頭で墓地の運営をしている寺院があります。

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寺院墓地を選ぶポイント
  • 寺院の宗派宗旨
  • 墓地の入檀条件
  • 寺院の規則・運営方針
  • 寺院の雰囲気・住職の人柄
  • その他、立地条件や費用、設備など

寺院墓地を選ぶポイントは、通常の霊園・寺院とは少し異なります。他の霊園と違って、使用者が定期的に寺院へ足を運んで住職と顔を合わせるので、寺院の雰囲気や住職の人柄が合うかはとくに重要です。寺院・住職と使用者で密な関係性を築ければ、お互いの信頼を得られやすく、より良い供養を安心して受けられるでしょう。

お墓選びは人生でもっとも大きな選択のひとつです。次の世代に受け継がれる重大な決断だからこそ、寺院墓地を選択するのもいいかもしれません。

いいお墓」では、エリアや条件にあわせて寺院墓地を一覧で確認できます。資料請求や見学申し込みも無料で受け付けていますので、寺院墓地をお探しの方はぜひ「いいお墓」をご利用ください。

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