霊園・墓地は経営母体によって、公営霊園、民営霊園、寺院墓地の3種類に分けられます。民営霊園は、宗教・財団・社団法人などの委託を受けて民間企業が管理・運営する霊園です。
この記事では、民営霊園とはどんなものなのか、特徴や代表的な施設、メリット・デメリットなどを紹介します。
民営霊園とは?経営主体と3つの特徴
民営霊園とは、宗教団体や財団、社団法人などからの委託を受けて、民間の企業が管理・運営を行う霊園です。
霊園を開設する際は、都道府県や市などの地方公共団体(自治体)からの許可を受ける必要があります。霊園の運営・管理の許可が得られるのは、原則として倒産の可能性が低く一定の永続性が保証されている宗教法人や公益法人です。そのため、民営霊園の経営主体は宗教法人や財団、社団法人となり、運営・管理者が異なります。
また、民営霊園のはじまりは、昭和30年代ころ。寺院墓地や公営霊園だけでは墓地が不足するのではないかといったことから、誕生したといわれています。寺院墓地の多くはお寺の檀家になる必要があり、公営霊園は随時募集しておらず利用には制約があります。このような状況の中、購入時のハードルが少ない民営霊園のニーズが徐々に高まってきました。お客様の要望に柔軟に対応できる民営霊園の人気は年々高まっています。
民営霊園には、次のような特徴があります。
申し込みの制約が少ない
民営霊園は申し込み時の制限がほどんとありません。
宗旨・宗派不問のところが多く、寺院墓地のように檀家になる必要がほどんとありません。区画に空きがあればいつでも申し込むことが可能で、埋葬場所を選ぶこともできます。公営霊園のように、居住場所や年数・遺骨の有無の制限もありません。そのため、生前にお墓を購入することも可能です。
生前にお墓を購入することを寿陵といい、縁起の良いことと考えられています。このような需要にも積極的に対応したのが民営霊園でした。
設備や利便性に優れている
充実した設備が整っていたり、利便性の高かったりするのも民営霊園の魅力です。霊園によって特徴はさまざまですが、いくつか例をあげます。
- 水汲み場やお手洗いなどが綺麗に整備されている
- 売店や管理棟、車いすの貸し出しなどのサービスも充実
- 法要施設や駐車場といった設備を完備している
- 広く明るい雰囲気で、四季折々の花に囲まれ公園のようなところもある
- 都心からのアクセスが良い
- 警備システムが充実している
近年ではバリアフリー設計や送迎バスの運行など、高齢になってもお墓参りに足を運びやすい工夫がされている霊園が増えてきました。今後も、利用者の要望に合わせてより良い改善がされていくことでしょう。
さまざまな種類の墓地が選べる
墓地には、さまざまな種類や区画の大きさがあります。予算や希望に合わせて自由な区画を選択できるのも民営霊園の魅力です。墓石のデザインに制限が少なく、豊富な種類の中から選ぶこともできます。ペットと一緒にお墓に入れたりするところもあります。ただし、墓石をオーダーする石材店が指定されている霊園が多いため、あらかじめ確認しておく必要があります。
民営霊園のメリット
民営霊園にも、当然メリットもデメリットもあります。代表的なものをまとめましたので、事前にしっかりと確認しておきましょう。ただし、メリットもデメリットも施設によって異なりますので、必ず確認するようにしましょう。
利便性に優れている
駅やバス停から近い、都心からアクセスしやすいところが多いです。また、少し離れている場合は送迎バスがあるなど参拝しやすい工夫がされています。
施設・サービスが充実している
水汲み場やお手洗い、休憩スペースが綺麗に整備されているところが多いです。また、線香や生花の販売、車いすの貸し出しなどのサービスを行っているところもあります。法要施設や駐車場などさまざまな設備やサービスが充実していることもメリットのひとつです。
自由に選択できる
予算や希望に応じて、お墓の区画やデザインを自由に選択することができます。区画は先着順で、空いていれば随時申し込みが可能です。
制限が少ない
宗教や国籍などの制限がなく利用できるところが多いです。遺骨の有無など、申し込み時の資格制限が少ないことも特徴です。生前購入も可能です。
様々なニーズに対応したお墓がある
ペットと一緒に入ることのできるお墓や、永代供養型の個人墓や樹木葬墓など、多様なニーズに対応している霊園もあります。民営霊園には、こういった利用者の希望が叶う霊園が今後も増えていくでしょう。
民営霊園のデメリット
費用が割高
公営霊園と比較すると、永代使用料や管理費が割高な傾向にあります。
指定石材店制度がある
多くの民営霊園が「指定石材店制度」を採用しています。そのため、霊園の提携石材店でしか墓石を購入・建設できないことがほとんどです。
霊園・墓地の運営主体より建墓権を与えられた石材業者のこと。指定石材店制度のある霊園では、墓石の購入や工事を決められた石材業者でしか行えません。霊園・墓地の永続性と墓石の保証という観点から採用されています。
区画が売り切れてしまう
人気のある霊園や区画の場合は、すぐに売り切れてしまうこともあります。
運営会社が倒産する可能性がある
公営霊園や寺院墓地と異なり、民間の企業が管理・運営を行っています。そのため、永続的に墓地が運営されていくかきちんと確認をしておくことが必要です。
民営霊園と公営霊園・寺院墓地を比較
お墓を経営主体ごとに分けると、都道府県や自治体による「公営霊園」と、宗教法人である寺がその敷地内で運営する「寺院墓地」、そして、宗教法人あるいは公益法人による「民営霊園」があります。
公営霊園とは
都道府県・市区町村などの自治体によって管理・運営されています。地方では昔から村落(旧行政村)が運営する「共同墓地」という形態もあります。
- 宗旨・宗派の宗教的制約がない
- 永代使用料や管理料が低めに設定されていることが多い(ただし、都立霊園で一等地にある場合などは民営霊園より高額となる)
- 担当の石材店を自由に選べる
- 自治体など公的機関による管理運営のため安心感がある
- 申し込み条件が定められている(以下は条件例)
・申込者の住所が霊園を管理運営する自治体の管轄にあること
・遺骨があること
・親族に承継者がいること - 募集受付期間が限定されており、応募多数により抽選になることもある
- お墓の形状や大きさが指定されていることがある
- 募集区画がない場合がある
寺院墓地とは
お寺の境内地に墓地があり、主に寺院によって管理・運営されています。
- 境内地に本堂、仏様(ご本尊)がある安心感
- 僧侶・住職がいるため、葬儀や法要など供養面では困らない
- 歴史や境内地の醸し出す風格や独特の雰囲気
- 墓地の継承者がいなくなった場合でも永代供養を受けられることが多い
- 宗旨・宗派が限定されることが多い
- 檀家になること(入壇)を前提条件とする場合がある
- お寺の行事や活動への参加、寄付等を求められることがある
- 担当の石材店(指定石材店)が決められていることが多い
- お墓の形状やデザイン、大きさなど墓石選択の自由度が低い場合がある
- お寺や住職によって運営面での差が生ずることがある
民営霊園の費用相場
ここでは、民営霊園の費用について説明します。墓地を購入するには、永代使用料・管理費・墓石の費用がかかります。
民営霊園の永代使用料
お墓を建てるためには霊園や墓地の土地を使用することになります。墓石を立てる土地を使用する権利を得るための費用が永代使用料となります。
永代使用料は地価に比例する傾向があります。同じ霊園内でも場所によって価格は変わるため一概にはいえません。
民営霊園の管理費の相場
民営霊園の管理費の相場は、5,000円~1万5,000円程度が相場といわれています。
こちらも永代使用料と同じように、都市部のほうが地方や郊外の相場より高くなる傾向があります。また、施設の充実度なども影響します。
墓石費用
お墓を建てる際に必要となる墓石代は、選ぶ墓石の種類やデザインで価格も変わります。
お墓の平均購入価格
「第15回お墓の消費者全国実態調査(2024年)」によると、一般墓の平均購入価格は149.5万円。この平均購入価格は「永代使用料」+「墓石費用」です。
もっとも多い購入価格帯は100万円以上~120万円未満、次いで140万円以上~160万円未満となっています。お墓購入の際の目安としてみてください。
民営霊園の宗旨・宗派の制約
民営霊園の多くは、経営主体が宗教法人の場合でも、宗旨・宗派を問わずに販売されています。
しかし、例えば在来仏教のみといったものなど、一部例外もありますので注意が必要です。あらかじめ自分の宗派が購入可能なのか、確認しておくようにしましょう。
民営霊園の購入方法と霊園の選び方
民営霊園は購入者の資格や宗教不問なところがほとんどであるため、区画の永代使用料を支払い、契約さえすれば誰でもお墓を持つことが可能です。ただし、「購入後、いついつまでにお墓を建てなければならない」というように、購入から墓石の建立までの期間が定められていたり、それぞれの霊園によってルールもあります。
民営霊園に関する情報は、石材店などが広告や看板などで広く告知しているため、実際に問い合わせてみるとよいでしょう。
こだわりで民営霊園を選ぶなら
まず民営霊園は、どんな宗教でも無宗教でも利用できるため、宗教や仏事等の伝統にとらわれずお墓の購入や供養をしたいという人におすすめです。
宗教不問の民営霊園はこちらから検索できます。
区画や墓石のデザインなども、利用者の希望に合わせ比較的自由に選べます。そのため、自分の価値観やライフスタイルに合ったお墓を建てたい人にも向いているといえます。
デザイン墓が建立できる民営霊園はこちらから検索できます。
また最近では、完全バリアフリーの霊園や、ガーデニング霊園、ペットと一緒に入れる霊園などもあります。ご自分に合った理想の霊園を、心ゆくまで探してみてはいかがでしょう。
バリアフリーの霊園はこちらから検索できます。
人気のガーデニング霊園はこちらから検索できます。
ペットと一緒に入れる霊園はこちらから検索できます。
民営霊園をお探しなら「いいお墓」へ
購入ハードルが低く自由度も高い民営霊園ですが、それ故にどこにしたらよいのか迷ってしまう人も多いと思います。
故人やご家族の希望を聞きつつ、値段やアクセスの良さ、施設の充実度など、どこを重要視するのかを決めてから霊園選びをすることをおすすめします。
霊園によって特徴はさまざまです。写真やパンフレットだけで判断せず、実際に足を運び、現地を見て比較検討することが失敗しないお墓選びへの近道です。また、気になった点は霊園や石材店などに相談してみることをおすすめします。