墓地の名義変更方法は?費用・必要書類について解説します

墓地の名義変更は、名義人(お墓の所有者)が亡くなったり、本籍や苗字が変わったりしたときなど、変更があった際に行う手続きです。お墓に所有権はありませんが、管理費を払っている限り半永久的に使用できるという権利があるため、相続の際は必ず行わなければなりません。

しかし、お墓の手続きは初めてという方も多く、どこで手続きをするのか、いくら費用がかかるかなど、分からないこともたくさんありますよね。墓地の名義変更について、その方法や費用、注意点などをこれからご紹介していきます。

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墓地の名義変更の方法

墓地には、永代使用権という権利があります。管理料を払うことで半永久的にお墓を使用できる権利で、不動産と同じように相続・承継していくことができます。永代使用権は帳簿に登録されているので、結婚などで苗字が変わった場合、住所・本籍などに変更があった場合にも手続きが必要です。

お墓の名義変更は、墓地管理者に対して行います。行政の手続きではないので、お墓を管理している霊園や団体に問い合わせ、手続きを行いましょう。

墓地管理者に名義変更の申請をする

墓地管理者は3種あり、それぞれ運営母体が異なります。名義変更の申し出をする場所が分からない人は、まずそのお墓をどこが運営しているのかを確認してみましょう。

寺院墓地公営霊園民営霊園
宗教法人が事業主体の墓地自治体が事業主体の墓地宗教法人などが事業主体で、民間団体などが運営する墓地
申請:お寺申請:役所申請:管理事務所

公営墓地は役所での手続きとなりますが、自治体に死亡届を提出することと墓地の名義変更は別の手続きになるので、忘れずに申請を行うようにしましょう。

生前の名義変更はできるの?

相続や名義人の結婚等による変更ではなく、高齢などの理由で生前にお墓を承継者に名義変更するときは、「墓地使用譲渡申請書」で申請することが可能です。

しかし、墓地の永代使用権は売買が禁止されています。生前譲渡は転売との見分けがつきにくいため、公営霊園・民営霊園など多くの霊園では生前の名義変更は禁止しているケースが見受けられます。名義変更を希望をされる場合は、墓地の管理者に問い合わせてみましょう。

墓地の名義変更にかかる費用は?

墓地の名義変更には、手数料がかかります。寺院・公営・民営によって若干価格の開きはありますが、基本的には1,500円~5,000円前後になるでしょう。

公営霊園は数百円~数千円ほどですが、民営霊園は施設によって1万円近くなるところもあるようです。また、永代使用許可書を再発行する場合は、別途1万円程度かかることがあります。

寺院墓地の場合、費用は民営霊園と同等程度ですが、お墓と一緒に檀家の名義も引き継ぎます。そのとき名義変更の手数料とは別途で、檀家の引継ぎ費用がかかることがあります。お住まいの地域や寺格によって費用に差が出るため、こちらも事前に確認しておくといいでしょう。

名義変更・承継に税金はかかりません

名義人が死亡してお墓を承継する場合、税金はかかるのでしょうか。

墓地や仏壇など、日常的に礼拝しているものは「祭祀財産」と呼ばれます。この祭祀財産には相続税がかかりません。そのため、相続に伴う名義変更・お墓の承継にも相続税はかかりませんのでご安心ください。

名義変更に必要な書類

名義変更に必要な書類は、どの墓地にも共通して必要になる4種類があります。霊園によってはさらに書類が必要になるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。

名義変更届

墓地管理者からもらう書類です。名義変更をする内容を記入し、管理者に提出します。それぞれの霊園や管理者によって書式が違うため、必ずお墓のある霊園が所有する名義変更届をもらって記入しましょう。

また、この書類は霊園によって名称が異なり、「継承使用申請書」「変更届出書」などと呼ばれることもあります。

永代使用許可書

墓地の永代使用権を得たときに、霊園から発行される書類です。管理費を払っている限り、半永久的に墓地を使用できるという権利であるため、名義変更の際も必ず必要になります。再発行する場合は、別途手数料がかかります。

戸籍謄本

以前の名義人と承継者の続柄を確認するための書類です。区役所・市役所等で発行してもらいます。以前の名義人が亡くなったことの確認をするため、名義人の死亡年月日が記載されているものが必要になります。古いものは受け付けてもらえないため、3ヶ月以内に発行されたものを提出しましょう。

印鑑証明書

承継者の実印を証明するための書類です。戸籍謄本と同じく、役所で発行可能です。名義変更届に承継者の実印を押すので、それを証明するために提出する必要があります。

墓地の承継者はどうやって決めるのか

名義人が死亡し墓地を承継するとなった場合、「誰が承継するのか」というのも大きな問題です。

法律では、お墓の承継者は明確に定められていません。そのため、あらかじめ遺言で指定したり、親族で話し合ったりしておくと、のちのトラブルを避けることができるでしょう。

以前は配偶者や長男などが継承するのが一般的でしたが、次男や娘、友人が継承者となることも可能です。ただし、霊園によっては「お墓の名義を承継する者は三親等以内の親族とする」と規定していることもあります。

また、承継者よりも血縁的に近い人など、本来お墓を継ぐ最もふさわしい上位承継者が生存している場合、その人による「承諾書」が必要になることもあります。上位承継者がなんらかの理由で承諾書を提出できない場合は「申立書」を提出します。これらの書類が必要になった際は、霊園側から所定の書式をもらうようにしましょう。

お墓の相続(承継・継承)
お墓の使用権取得者(名義人)が亡くなった際、「お墓を継ぐ」必要がありますが、これを「承継」と呼びます。お墓の承継は、家を継ぐ長男が継承することが半ば慣習化していましたが、一人娘が他家に嫁いでしまったケースや、子供のいない場合など、核家族化の進む現代の社会背景とともに、親族間で承継することが困難な事例が増えてきています。 ただ、親族に「承継者がいない」ということで、お墓がなくなってしまうということではありません。

墓地を相続するときに登記は必要?

それでは、墓地を相続した際、登記もあわせて行うべきなのでしょうか。

霊園が運営する墓地にお墓をもっていたとしても、それは永久に使用できるという権利であって、土地の所有権ではありません。そのため、墓地を承継しても登記対象とはなりません。現代において、墓地の所有者と墓地区画の所有者が異なるケースがほとんどでしょう。

ごくまれに、故人の土地にお墓を建てていた場合は、登記が必要になります。その際、土地の所有者と墓地の名義人は、同じ人物でなくともかまいません。詳細は、司法書士などに相談するのがおすすめです。

墓地の名義変更をしないとどうなるの?

お墓の名義変更に期限を定めている法律はありませんが、管理料の滞納をしてしまうと、永代使用権が取り消されてしまうことがあります。

管理料が一定期間払われないことで墓地管理者に無縁仏と判断されると、遺骨は処分され、墓石も撤去して更地にされてしまうのです。名義変更期間は霊園によって違いがあるので、まず確認をとりましょう。

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お墓の名義変更はお早めに

ご家族が亡くなると、相続や行政手続きなどさまざまな手続きが発生し、とても大変になります。墓地の名義変更も、そんな必要手続きのひとつです。

実際にお墓の継承をするとなった際にスムーズに進むよう、お墓の相続については事前にきちんと話し合っておきましょう。