同じように見えても、石にはそれぞれ個性があり、好みがあります。石によって価格差も大きいですが、単純に価格・値段が品質を反映しているというわけではありません。
お墓や外柵などに使われる石材は国内外で300種類近くありますが、まずは実際に石のサンプルを手にとって直感で選んでみることをおすすめします。
また、石も経年劣化しますが、すでに建てられているお墓の石材を参考にすると分かりやすいでしょう。
お墓に最適な石種3条件
一般的に、硬くて、吸水性が低い石ほど、耐久性に優れているといわれていますが、「硬度」や「吸水性」のほか、「艶」「光沢」「班の模様の密度」「色調」などのポイントを自らチェックしてみるのもよいでしょう。しかし、石種は嗜好性も強いので、実際にサンプルを手にとって直感で選んでみるのも1つの方法です。また、出身地などゆかりある土地から産出される石種を選択するという方法もあります。石調に関しては、概して、関西は白系統、関東以北では黒系統の墓石が好まれる傾向があります。
・硬いこと
・水を吸いにくいこと
・長持ちすること
墓石の種類
墓石に使われる石材には色々な種類があります。石材は採れる産地によって色や材質、耐久性がさまざまで、その風土に合った石材が墓石として使われています。
墓石に使う石材は、大まかな分類として「花崗岩」「閃緑岩」「斑レイ岩」「安山岩」の4種が挙げられ、産地や成分などにより300以上の種類があります。
よく御影石(みかげいし)という名前を耳にしますが、御影石とは花崗岩の総称です。六甲山嶺の神戸市御影付近が産地として有名だったため、そう言われているのです。
御影石は墓石として最も人気があります。国内産地としては茨城県(稲田みかげ、真壁小目石・真壁中目石、羽黒糠目石)、福島県(浮金石、牡丹石)、山梨県(甲州みかげ、山崎石)、愛知県(三州みかげ)、香川県(庵治石)、愛媛県(大島石)、山口県(徳山みかげ)などが知られていますが、現在は中国(マホガニーなど)やインド(アーバングレーなど)、南アフリカ(インパラブルーなど)を始めとする外国からその多くを輸入しています。その中でも中国からの石材輸入が多くを占めています。中国で墓石などの製品化が本格化したのは1990年代で、福建省で日本の業者との合弁工場が作られたのがきっかけとなります。
花崗岩は瀬戸内海沿岸をはじめ、茨城県、福島県、愛知県で多く産出され、各産地により目の粗さや色合いが異なります。そのほか、黒系の花崗岩「クンナム」が採掘されるインドも石材の産地として有名です。
安山岩は江戸城築城に使用された神奈川県真鶴町の小松石が有名ですが、東の横綱石とも呼ばれて根強い人気があります。
外国産墓石について
最近では外国産の輸入石材の流通が増加しています。特に現在国内で建立されているお墓の大半を中国産の石材が占めつつあります。一方、国産石材の需要・採石量ともに減少していますが、希少価値が高まり、高級品として扱われるようになった石材もあります。
また「花粉の多い地域では白系の明るめの石を使用すると花粉の付着が目立たない」など、地域や場所によって選ぶパターンも人気も分かれます。
お墓はいきもの「身から出た錆」
お墓は夏の日差し、雨風雪に耐えて永年ご先祖様を守っていますが、時の推移とともに、墓石にも「焼け」や錆(サビ)が出ることがあります。
錆はマイナス要素として捉えられがちですが、石は自然の鉱物であり、水を吸わない石はありません。
石は、我々と同じく日々呼吸する生き物でもあり、石という鉱物から錆が出るというのはごく当たり前の、呼吸する過程において生ずる自然の摂理の中の一つでもあるのです。
墓石のダイヤモンド!?庵治石
墓石のダイヤモンド、西の横綱石ともいわれる庵治石(あじいし)は、香川県の庵治地方で採掘される国内有数の墓石材です。素人が遠目にみてもわからないかもしれませんが、もし機会があれば手にとって実際に触れてみてください。斑の模様が実に細かく密度が濃いのがわかります。また長い年月を経ても、石の艶や彩色がほとんど変わらずに美しさが保たれています。庵治石(あじいし)と言われるだけ、味(あじ)があります。
ただし、お値段は「石のダイヤモンド」と言われるだけありますが……。
まとめ
墓石の良しあしは素人にはなかなか判断がつきにくいこともあります。価格も石種によって大きく異なりますが、あまり安い石を用いると雨水を吸収して変色したり劣化するなどの問題が起こります。
そこで、基本的な知識を身に付けた上で、信頼できる石材店や営業マンの教えを請いながら選定していくということも選択肢として考えてもよいかもしれません。