最近では人々の生活も多様化が進み、お墓の事情も以前とは違ってきています。そのため、子孫に受け継いでいく昔ながらのお墓のほかに、納骨堂や永代供養墓なども増えてきました。また、墓石にこだわらず、樹木の下に遺骨や遺灰を埋葬する樹木葬や、山や海に散骨する自然葬なども注目を集めています。
お墓の形式は時代とともに変わっても、お墓は人々の生活と切っても切れないものなのです。
お墓を建てる際に必要な書類と手順
お墓を建てるには、さまざまな書類と手続きが必要になります。
お墓を建てる際に必要な書類
工事届
墓石を建てるのに必要な届け出書類です。工事届は必ず必要というわけではありませんが、提出を求められることが多いようです。墓石屋が代行して手続きすることもあります。
埋葬許可証
埋葬する際に必要となる書類です。埋葬許可証がないと遺骨を埋葬することができません。役所で発行してもらいますが、火葬に必要な火葬許可証を火葬場に提出して、火葬後に返却されたものがそのまま埋葬許可証として使われます。
墓地使用許可証
墓石工事と納骨に必要な書類です。霊園から、お墓を建てる人に対して発行される書類で、申し込みをして入金すると発行してもらえます。お墓を建てる人は、これを受け取ると使用権を獲得できます。
お墓を建てる手続きの手順
手続きの順序は以下のようになります。
1.墓地の購入者は墓地使用申込書を提出して墓地使用料と管理費を支払います。
2.墓地使用許可証が発行され、墓石屋と相談してどのような墓石にするか決めます
3.墓石注文後、墓地使用許可証・工事届を提出します。納骨時に墓地使用許可証と埋葬許可証を提出すれば手続き完了です。
納骨とは何か
納骨とは遺骨をお墓に納めることです。火葬場から遺骨を引き取り、納骨します。
遺骨をお墓に納める時期については、いつまでにお墓に納骨しなければならないといった期限は、定められてはいません。
すでにお墓のある場合は一般的には四十九日の法要に合わせて納骨するケースも多いようです。納骨は、故人との別離の儀式でもあります。亡くなった人は四十九日の法要であの世へ旅立ち、この世と決別します。納骨は遺族にとっても節目となる大切な儀式です。
ただし、お墓を建てるには墓地や霊園を選びだけでなく、工事にも時間はかかります。新たにお墓を準備するという場合には、しばらく自宅で保管、もしくは寺院などに預けておいて、一周忌の法要に合わせて納骨するということもあります。
埋葬許可の手続きとは
お墓は、建てる際には特別な許可は必要ありませんが、お墓に納骨する際には、火葬・埋葬許可証が必要です。
埋葬許可の手続きの流れは以下の通りです。
1.死亡届けを市町村役場に提出
2.死体火(埋)葬許可証発行(市町村役場)
3.死体火葬許可証を火葬場に提出
4.火葬後に火葬済みの印が押され埋葬許可証となる(火葬場)
5.埋葬許可証を墓地の管理者に提出
6.埋葬
お墓を移転するには
お墓を移転や改葬するのは、どのような場合なのでしょうか。
改葬とは、埋葬した遺骨を他のお墓に移すことです。改葬する理由はいろいろありますが、遠く離れた実家の両親が亡くなってお墓を守る人がいないから、近くに移したいというケースが多いようです。また、妻の実家のお墓を一緒に管理したい場合などに、改葬を行うケースもあります。改葬は、すべての遺骨を移動する場合と、遺骨の一部を移動する場合があります。
遺骨をすべて移動する場合は、もとの墓地を更地にしなければなりません。また、石碑を一緒に移動するには、改葬先の墓地や霊園の許可が必要となる場合もありますので注意が必要です。
改葬するには新しい墓地で「受入証明書」を発行してもらい、現在の墓地のある市町村役場で「改葬許可申請書」を発行します。
次に、現在のお墓の管理者に「改葬許可申請書」を提出して署名捺印してもらい、改葬先の市町村役場に提出すると「改葬許可証」が発行されます。現在のお墓の管理者に「改葬許可証」を提出して遺骨を取り出し、新しいお墓に移せば完了です。
なお、遺骨を取り出す際に「閉眼供養」「抜魂供養」などの儀式を行い、改葬先に埋葬するときは「納骨法要」「建碑法要」などの儀式を行うのが一般的です。
墓じまいとは何か
墓じまいとは、お墓の継ぐ人がいない場合に、お墓を処分するために行う手続きです。墓じまいをしないままお墓を継ぐ人がいなくなると、お墓を管理する人がいないために無縁墓となってしまいます。最近では、少子化のためにお墓を継ぐ人がいないケースが多く、墓じまいをする人が増えています。
墓じまいをするためには、まずお墓の中に誰の遺骨があるのか、把握しておく必要があります。ほとんどの場合、骨壺を見れば名前がわかりますが、わからなければ墓地を管理する寺院に問い合わせます。また、墓じまい後の遺骨の行先も決めておかなければいけません。
墓じまいをするのはお墓を継ぐ人がいないためです。管理費などがかからない方法を選ぶことをおすすめします。代表的な遺骨の行先は、「公営墓地への改葬合祀」や「菩提寺で永代供養」などが多いようです。
また、最近では散骨や樹木葬などの自然葬や、納骨堂・永代供養墓に納めるケースも増えています。ちなみに、墓じまいは親戚間でトラブルの元となる場合が多いので注意が必要です。そのため、墓じまいの前に、親族でしっかり話し合っておくことが大切です。
お墓に関する考え方は、若い人と年配者ではかなり違うことがあります。年配者の中には、「お墓は子孫に受け継ぐのが当たり前」という考え方の人が多いので、自然葬や永代供養墓に反対する人も少なくありません。くれぐれも、後々トラブルにならないように配慮することが必要です。
まとめ
人々の生活が多様化して、お墓の事情も昔とは変わってきましたが、お墓はなくてはならないものです。
お墓を建てるには、埋葬許可証や墓地使用許可証などが必要です。また、併せて納骨の意義や墓の移転、改葬、墓じまいについても必要なときに困らないよう準備しておく必要があります。わからないことやご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。