お墓や埋葬について規定された「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」という法律があるのを知っていますか?
日常的に関わらないため意識することも少ないですが、故人の思いを尊重したら法律違反だった!ということにならないよう、1度は目を通しておくといいかもしれません。
この記事では、お墓の設置許可についてご紹介しています。
所有地にお墓を建てることはできるのか、散骨や手元供養は法律上問題ないのか、など迷ったことのある方はぜひ参考にしてください。
所有地にお墓を建てることはできる?
「自分の家の庭にお墓があればいつでもお墓参りできるな」「自分の所有する土地にお墓を建てたいな」と考える方もいらっしゃるかもしれません。では、所有地にお墓を建てることはできるのでしょうか。この答えは、いいえです。自分の所有地にお墓を建てることは、法律で禁止されています。
「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」の第4条に、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」とあります。自分の所有地であっても、勝手にお墓を建てることはできないのです。
ただし、個人が自己の所有地にお墓を建て、墓地として使用している場合、現在は法律で禁止されていますが、条件によっては可能です。
墓地の単独所有で単独使用
先祖代々の土地を承継した人が、その土地と一緒にお墓も引き継ぎ使用している
墓地の単独所有で共同使用
土地の所有権は一人が承継し、親族などがお墓を共同で使用している
墓地の共同所有で共同使用
土地の所有権を共同で承継し、親族などがお墓を共同で使用している
「墓地、埋葬等に関する法律」において、墓地は市町村長の許可がなければなりません。個人の所有地に墓地を新設するには、やむを得ない事情がある場合のみ認められます。例えば、災害などで墓地を移転しなければならなくなったが、近隣に墓地を求めることができない場合や、地域に墓地の必要性がある場合、市長が認める必要要件が備わっていることなどです。
ただし、最近では近隣住民との関係性や公衆衛生面の観点から、個人における墓地の新設はほとんど認められません。
必要とされる許可を取れば不可能ではありませんが、原則としては認められていないということを覚えておきましょう。
霊園・墓地の経営主体となれるのは?
お墓というのは亡くなった方の遺骨を納めて、お参りする場所です。霊園・墓地はそうした公益性や永続性が求められることから、前の項に記載の通りその経営は誰でもができるわけではありません。
法律において、経営主体として地方公共団体(都道府県や市町村)を原則としています。その他は寺院などの宗教法人または公益法人のみとなっていて、営利を目的とする株式会社などは、霊園や墓地の経営主体として認められていません。
そのため、法律上経営できるのは、1.都道府県や市町村などの地方自治体、2.寺院などの宗教法人、3.公益法人のみとなっています。
それら経営主体と運営方法などから、墓地・霊園は次の3つのタイプに分類されます。
- 「公営霊園」:自治体が運営
- 「寺院墓地」:宗教法人(寺院)が境内で運営
- 「民営霊園」:宗教法人(寺院)が運営 または公益法人が運営
霊園や墓地を開設する際には許可が必要
「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」の第10条に、「墓地、納骨堂又は火葬場の経営をしようとする者は、都道府県知事の許可を得なければならない」とあり、墓地を開設する場合、都道府県知事の許可を受けることが法律で決められています。したがって墓地新設の申請は都道府県に出す必要があります。
しかし、平成23年に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」によって、平成24年4月1日からは都道府県知事、また市や特別区(東京23区)にあっては市長または区長の許可が必要となっています。
経営の許可については都道府県が権限を持っていましたが、改正により市長が権限をもつことで、より民意を反映した墓地開発が行われることが期待できますが、行政ごとに判断基準が異なることにもなります。
最近では、墓地開発許認可が下りにくい地域でも可能なケースも出てきており、今後の墓地開発にも大きな影響を及ぼすでしょう。
このように霊園や墓地を開設するにあたっては、各自治体が定める手続きや、開設の基準・制限の条件を満たすことが前提となります。
・墓地を開設するためには許可が必要で、各自治体が定める手続きや、開設の基準・制限の条件を満たすことが前提となります。
共同墓地とは?
「子どもの頃、実家から近い山の中にお墓参りに行ったけど、そこにはお寺もなかったし、管理事務所もなかったはずだけど」。畑の中や山麓、道路沿いなどに見られるそうした墓地は、共同墓地かもしれません。
共同墓地とは、地域の住民が共同で利用する墓地のことです。「村落共同墓地」「村墓地」などと呼ばれることもあります。
共同墓地のほとんどは、現在のお墓に関する法律「墓地、埋葬等に関する法律」(1948年)の施行前からあった墓地です。そのため、上述した3つの墓地・霊園とは異なりますが、施行前に許可を受けて経営していた墓地は、それぞれ許可を受けたものとみなす(第26条)の決まりがあり、いわゆる「みなし墓地」となっています。
以前からあった墓地を排除することなく、そのまま使用できるようにしたわけです。
なお、現在ではもちろん共同墓地を勝手に造ることはできません。法律の規制に則ることが前提となりますが、許可する自治体はごく限られているため新設されることはほとんどなく、募集の数は少なくなっています。
・新しく共同墓地を勝手に造ることはできません。
違反したときの罰則は?
また、民法や刑法にも埋葬に関する規定や罰則があり、特に刑法第24章第190条には死体遺棄の規定がありますが、墓埋法で決められた方法以外の埋葬は この死体遺棄にあたるため注意が必要です。
では、「墓地・埋葬等に関する法律」に違反をした場合、どのような罰則があるのでしょうか。
罰則には、火葬や埋葬をする人に向けたものと、墓地や火葬場などを管理、経営している人に向けたものがあります。罰則内容は、数千円の罰金または数ヶ月の拘留などです。
基本的には葬儀会社や火葬場の方、霊園や墓地の管理者の指示に従っていれば、違反することはないでしょう。しかし、故人の遺志だからと火葬を火葬場以外で行ったり、埋葬や納骨を墓地以外で行ったりした場合は違反の対象となりますので、注意が必要です。
墓埋法には散骨、手元供養に関する記述がない
経済的な理由や、承継者がいないことからお墓を作らず、ゆかりの場所に「散骨」をしたり、遺灰や遺骨を自宅で「手元供養」をしたいと考える方も多いでしょう。
お墓などに納骨しないことは問題に感じるかもしれませんが、実は、どちらも法律上規定はありません。
散骨
散骨とは故人の遺骨を粉末状にして、海・空・山などの自然に返す供養の方法です。周りの環境への配慮は必要ですが、費用が抑えられることに加えて故人の思い出の場所や風景の良いところへ遺骨を撒くことが可能です。
散骨については、「墓地、埋葬等に関する法律」第2章第4条に「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とありますが、墓埋法はもともと土葬を対象としており、自宅の庭や所有地または他人の所有地に勝手に遺体や遺骨を埋葬することを禁止している内容となっているので、遺灰を海や山に撒く葬法は想定しておらず法律の対象外となっています。
これまでは認められていませんでしたが、現在では葬送のための祭祀として節度を持って行われる限り、遺骨遺棄罪に該当しないとされています。
ただし、散骨をする場合は、市区町村によって条例で禁止されている場合も。希望する場所がある場合は、該当する地域の条例などを確認しましょう。
手元供養
手元供養とは、机上に収まるくらいのスペースを使い、小さな骨壺に遺骨を入れて、仏壇と一緒に置き、いつでも遺骨を側に置いておくことができる供養法です。一般的な仏壇より小さい手元供養用の仏壇を使います。
なお、墓埋法では「焼骨を自宅で保管する事は、本条に違反するものではない」と言う見解が示されているので、遺骨の自宅安置に関しては法律に触れませんし、その期間に定めもありませんので自宅で保管することは可能です。
まとめ
墓地を開設するためには許可が必要で、各自治体が定める手続きや、開設の基準・制限の条件を満たすことが前提となり、営利を目的とする企業は、霊園や墓地の経営主体となることはできない等、墓地に関することは法律で定められていますので、安心してお墓を探すことができると思います。
ただし、古い法律でもあるため、今後法律が改正されることも考えられます。お墓に関わる際は改正についても確認するようにしてください。
納得のいく選択をするために少しでも不安なことがありましたら、いいお墓でもご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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お墓を建てるうえで大切なのは、事前の準備です。
とくに初めてお墓を建てるときは、お墓にかかる費用や種類、注意点などの基礎知識を調べておのが重要。さらに資料を集めて比較検討したり、現地見学で墓所を確かめたりすることで、後悔のないお墓づくりができます。
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