お墓の名義変更はどうする?継承の手続きや相続の費用、必要書類を解説

お墓の名義変更はどうする?相続・継承の手続きや費用、必要書類
記事を先読み
  • お墓の名義変更は、名義人が亡くなったら早めに墓地管理者へ申請する
  • お墓の名義変更にかかる費用は5千円〜1万円が目安で、手数料によって変動
  • 必要な書類は名義変更届・永代使用許可証・戸籍謄本・印鑑証明書・住民票

お墓の名義変更は、名義人(お墓の所有者)が亡くなってお墓を相続したり、名義人の本籍や苗字が変わったりしたときに必要な手続きです。お墓は、管理費を払っている限り半永久的に使用できる権利があり、相続・継承するときは必ず名義変更しなければなりません。

この記事では、お墓の名義変更の手続き方法や必要書類、費用などを解説します。

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お墓の名義変更の方法

お墓は、墓地管理者に管理料を支払うことで半永久的に使用できます。この権利を永代使用権と呼び、不動産と同じように相続・承継できるのが特徴です。

永代使用権は、墓地管理者の帳簿に登録されているため、お墓を相続・継承するときは名義変更の手続きをしなければなりません。また、苗字や住所、本籍などに変更があったときも手続きが必要です。

お墓の名義は、墓地の管理者に申請して変更します。名義変更するお墓を管理している霊園・寺院に問い合わせて、手続きをしてください。

お墓の名義変更の申請先

公営霊園民営霊園寺院墓地
経営母体自治体公益法人・宗教法人など宗教法人
運営自治体委託を受けた民間企業宗教法人
申請先役所管理事務所お寺

墓地管理者は、公営霊園民営霊園・寺院墓地など、お墓のある場所によって異なります

都道府県や市区町村などの自治体が運営する公営霊園では、各地域の役所に申請します。墓守が亡くなってお墓を相続する場合は、死亡届の提出とお墓の名義変更を別で手続きする必要があるので注意しましょう。

民営霊園の運営母体は公益法人や宗教法人ですが、運営は民間企業に委託している霊園が多いです。霊園の管理事務所に連絡して、名義変更手続きをしてください。また、寺院墓地は管理しているお寺に問い合わせます。

名義変更の申請先がわからない場合は、墓地の契約書類を見直したり、お墓の建立を依頼した石材店に確認したりしてみましょう。

お墓の名義変更のタイミング

お墓の名義変更は、お墓の名義人が亡くなったときに行うのが一般的。名義人が生きていても、高齢で生前にお墓を継承したり、住所・本籍・苗字などが変わったりするなら名義変更が必要です。

霊園・墓地によっては名義変更の手続きに期限があるため、早めに申請してください。

お墓の名義変更に必要な書類

  • 名義変更届
  • 永代使用許可証
  • 戸籍謄本
  • 新名義人の印鑑証明書
  • 新名義人の住民票

お墓の名義変更に必要な種類は、主に5種類あります。霊園・墓地によっては不要だったり、別の書類を求められたりするので、事前に確認しておきましょう。

名義変更届

名義変更届は、お墓の名義変更を申請する書面です。墓地管理者から受け取り、お墓の新名義人の個人情報や、旧名義人との続柄を記入して提出します。

名義変更届は「継承使用申請書」「変更届出書」など、霊園・墓地によって名称が異なります。書式も違うため、必ずお墓を管理している霊園・墓地の名義変更届を入手しましょう。名義変更届は墓地の管理事務所で受け取るか、ホームページからダウンロードするのが一般的です。

永代使用許可証

永代使用許可証は、墓地を取得し、永代使用権を得たときに霊園から発行される書類。管理費を払う限り、半永久的に墓地を使用できる権利を証明する書面で、「墓地使用許可証」「墓地使用承諾書」とも呼ばれます。

お墓の名義変更をするときは、永代使用許可証の内容もあわせて変更する必要があるため、提出は必須です。紛失した場合は再発行できますが、別途手数料がかかります。

戸籍謄本

戸籍謄本は、お墓の旧名義人と新名義人の続柄を確認するための書類。旧名義人が亡くなってお墓を相続する場合は、旧名義人の死亡年月日が記載された戸籍謄本が必要です。

戸籍謄本は、区役所・市役所で発行してもらいます。発行期限が決められている霊園・墓地が多いため、3か月以内に取得した戸籍謄本を提出しましょう。

新名義人の印鑑証明書

印鑑証明書は、お墓の新名義人の実印を証明する書類です。名義変更届に押印した実印を照合するために提出します。実印不要で認印を押印した場合は、印鑑証明書は必要ありません。

印鑑証明書は、戸籍謄本と同じく、区役所・市役所で発行できます。戸籍謄本とあわせて取得し、提出してください。

新名義人の住民票

住民票は、お墓の新名義人の住所を証明する書類です。本籍地の記載有無を選べますが、お墓の名義変更では、本籍地の記載が”ある”住民票を提出してください。

住民票は区役所・市役所で発行するか、郵送で入手できます。なお、マイナンバーカードを持っていれば、戸籍謄本・印鑑証明書・住民票はコンビニなどのマルチコピー機で取得も可能です。

その他

  • お墓の新名義人を指定した遺言書
  • お墓の新名義人を選んだ根拠を説明した理由書
  • 親族以外がお墓の新名義人になることを認めた同意書
  • 祭祀の主宰を証明できる書類(葬儀費用の領収書、会葬御礼など)

霊園・墓地によっては、お墓の相続事情にあわせて書類を追加で提出します。とくにお墓の新名義人に選ばれた人が親族以外の場合は、その理由を証明しなければなりません。お墓のある霊園・墓地に問い合わせ、必要な書類を確認してください。

お墓の名義変更にかかる費用

内訳金額
名義変更手数料公営霊園:数百円~数千円
民営霊園:数百円~数万円
寺院墓地:無料~数万円 
戸籍謄本の取得数百円~
住民票の取得数百円~
印鑑証明書の取得数百円~

お墓の名義変更にかかる費用は、5千円〜1万円が目安。内訳は、霊園・墓所の管理者に支払う手数料と、戸籍謄本・住民票・印鑑証明書の取得手数料です。

お墓の名義変更にかかる手数料は、霊園・墓地の運営元によって変わります。公営霊園の名義変更手数料は、数百円〜数千円と比較的安価です。民営霊園は1万円近くかかる施設もあり、やや金額が上がります。寺院墓地の名義変更手数料は、民営霊園とほぼ同じです。ただ、寺院墓地ではお墓と一緒に檀家の名義も引き継ぐため、別途お布施の費用がかかるかもしれません。

名義変更の申請に必要な戸籍謄本・住民票・印鑑証明書の取得は、各数百円ほど手数料がかかります。取得手数料は自治体によって変わるため、事前に確認しておきましょう。

お墓の名義変更の流れ

  1. 墓地管理者に連絡して、必要書類を確認する
  2. お墓の名義変更に必要な書類を用意する
  3. 墓地管理者に書類を提出し、手数料を支払う

お墓の名義変更の流れをまとめると、大きく3段階に分かれます

まず、墓地管理者に連絡して、お墓の名義変更に必要な書類を確認してください。相続の状況によっては、提出書類が異なるので問い合わせておきましょう。

案内に従って必要な書類を用意したら、墓地管理者に提出し、手数料を支払います。墓地管理者への申請が終われば、お墓の名義変更は完了です。

お墓の名義変更をしないとどうなる?

お墓の名義変更に期限を定める法律はないので、罰金や懲罰はありません。ただ、管理料を滞納すると、永代使用権が取り消されてしまう場合があります

墓地管理者に永代使用権が取り消されると、お墓を管理する遺族のいない「無縁墓」としてみなされます。無縁墓になったお墓は墓石を撤去し、遺骨を不特定多数の人とまとめて埋葬するのが一般的です。

また、霊園・墓地によっては名義変更の期限を設けているため、必ず確認してください。

お墓の名義変更に関するよくある質問

お墓の名義変更は生前でもできる?

多くの霊園・墓地では、生前にお墓を継承し、名義変更するのを禁止しています。なぜなら、墓地の永代使用権は売買禁止で、生前譲渡と転売の見分けがつきにくいからです。

ただし、現名義人が結婚・離婚したり、転居や高齢でお墓の維持が難しくなったりなど、事情によっては生前でも名義変更できます。お墓の生前継承をお考えなら、墓地管理者に問い合わせてみましょう。

お墓は誰が相続する?

法律では、お墓の承継者は明確に定められていません。以前は配偶者や長男が一般的でしたが、次男や娘、友人でもお墓を継承できます。

ただし、本来お墓を継ぐのにふさわしい上位継承者がいる場合は、上位継承者による「承諾書」が必要です。上位承継者が承諾書を提出できない場合は、「申立書」を提出します。承諾書や申立書の提出が必要なら、霊園・墓所から所定の書式を受け取ってください。

また、霊園によっては「お墓の名義を承継する者は三親等以内の親族とする」と規定されているので、確認しておきましょう。お墓の継承者を誰にするか、遺言で指定したり、親族で話し合ったりしておくことでトラブルを避けられます。

お墓の名義変更・承継に税金はかかる?

お墓や仏壇、位牌など、祖先を祀るための財産は「祭祀財産」と呼ばれます。

祭祀財産は、相続財産に該当しないため、相続税がかかりません。相続に伴うお墓の名義変更・承継にも相続税はかかりませんのでご安心ください。

お墓の相続に登記は必要?

お墓の土地は、霊園・墓地の運営者が所有しているのが一般的。お墓の名義人は、霊園・墓地の所有する土地の使用権を取得して、自分の墓石を建てています。お墓を相続しても、土地の所有権はもっていないので、登記は必要ありません

ただし、お墓の所有者と土地の所有者が同じ場合は、登記対象となります。故人の所有している土地にお墓を建てているなら、登記してください。お墓の登記では、土地の所有者と墓地の名義人は同じ人物でなくともかまいません。

相続放棄してもお墓を継承できる?

相続放棄をすると、預貯金や不動産、借金など、故人の財産をすべて相続できなくなるのが基本です。ただ、お墓をはじめとする祭祀財産は相続財産に該当しないため、相続放棄しても継承できます

お墓の継承が難しいなら、名義変更後に墓じまい・改葬を検討するとよいでしょう。墓じまいとは、お墓を撤去・墓所を更地にして、墓地管理者に土地を変換すること。改葬とは、取り出した遺骨を新しいお墓へ移動することです。

先祖代々のお墓を墓じまいし、改葬先としてお墓の管理を霊園・墓地にまかせられる永代供養墓を選べば、無縁墓になる心配をなくせます。

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お墓の名義変更手続きはお早めに

お墓の名義変更は、名義人が亡くなったり、苗字・住所・本籍などが変わったりしたときに必要な手続きです。変更するときは墓地管理者に申請し、5千円〜1万円程度の手数料がかかります。必要な書類は、名義変更届・永代使用許可証・戸籍謄本・印鑑証明書・住民票などです。

お墓の名義変更をせず、管理料の支払いが滞ると、お墓が撤去される危険性があります。お墓の相続・継承がスムーズに進むよう、名義変更の方法を事前に確認しておきましょう。

また、相続したお墓の維持・管理が難しいなら、墓じまいを検討してください。「いいお墓」では、墓じまいがよくわかるハンドブックのプレゼントや、墓じまい業者の一括見積りを行っています。すべて無料でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。