人工衛星の着陸回収、宇宙関連の日本人宇宙飛行士の期間、何かと宇宙の話題がある中で、宇宙葬も静かにブームを迎えています。しかし、一口に宇宙葬と言っても、バルーンに乗せて成層圏で散骨するものから、宇宙の果てまで探検するものまで、実はいろんな種類があります。月面に遺骨を置いて、いわば月を墓標に故人を偲ぶ、そんなサービスも生まれています。
宇宙葬の種類
ロケットに乗って行く宇宙葬には大きく「宇宙旅行」「人工衛星」「月面墓地」「探検・冒険」「バルーン」という5つのタイプがあります。
宇宙旅行タイプ
「ちょっと宇宙を味わってみたいな」という方向けです。故人の遺骨の一部を宇宙空間に送ります。少しだけ地球に出て、また大気圏に突入。母なる地球に帰ります。
人工衛星タイプ
「せっかく宇宙に行くなら、本格的に宇宙に滞在したい」という方向けです。宇宙に出て地球の周りをぐるぐる回り、宇宙から地球に遺してきた大切な遺族たちを見守るの宇宙葬です。時間をかけてゆっくりと高度を下げて最後は大気圏に突入、流れ星のようになります。
月面墓地タイプ
「宇宙葬とはいえ、やっぱりお墓もほしいな」という方向けです。月面に遺骨を安置するので、いわば月が墓標になります。遺族たちは子孫の代までも、月を愛でながらご先祖様であるあなたに思いを馳せます。
探検・冒険タイプ
「宇宙の果てを見てみたい」そんな冒険心旺盛な方向けです。宇宙探査機に乗って、宇宙空間をずっとずっと旅し続けます。ちなみに、冥王星の発見者の遺骨は、冥王星を観測する探査機「ニュー・ホライズンズ」に乗っているそうです。
バルーンタイプ
バルーン工房と組んだことにより実現した方法で、近年始まったばかりの試みになります。確保しなければいけない場所のスペースは、最低10m四方の空き地。そして角度45度の上空付近に電線などの危険となるものが無いことが条件です。
最初にバルーンに遺灰を入れ、そのあとにヘリウムガスか水素ガスを注入します。そうすると直径2m~2.5m程の大きさに膨らみます。それから上空の状況などを説明し、1分間の黙祷開始。最後に遺族が挨拶を行った後、バルーンを飛ばすという流れになります。使われる巨大バルーンは、ゆっくりと高度を高め、2時間ほどの時間をかけ、高度30~35kmの成層圏付近に到着。宇宙の中で、気圧で3~4倍に膨張したあと、風船が割れ一気に散骨されます。
天然ゴムのバルーンで環境にも配慮
自然に還るのが最終目的ですから、バルーンの素材は天然ゴム使用。環境に害を及ぼすことのないように、日光や水で分解されるように作られています。
バルーン宇宙葬を行うと、「空から見守ってくれている」という気持ちが芽生えます。それはやはり、散骨の際に、空へ空へと昇っていく風船が心に焼き付けられるからです。空を見上げるたびに、家族は故人を思い、偲ぶことができます。
宇宙葬をするには?
宇宙葬を行うためには、地球をいったん離れる必要がありますので、専門の会社に依頼しなければなりません。宇宙葬を取り扱っている会社は、日本にもいくつかあります。
株式会社銀河ステージ(東京本社:東京都港区、代表取締役社長:安楽友宏)は、宇宙葬だけでなく、樹木葬や海洋散骨なども取り扱っています。
エリジウムスペース(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ、代表:トマ・シヴェ)は、2013年にできた新しい宇宙葬の会社です。東京都内に事務所があり、日本語も通じます。
(文・構成 小林憲行)