墓じまいの費用の総額は、およそ35万円~150万円。決して安い金額ではないため、負担を少しでも軽減できるように、墓じまいの補助金制度を設ける自治体も出てきました。墓じまいを検討しているなら、墓石の解体や撤去、お墓の引越しに必要な費用の一部を補助してもらえる補助金制度を活用しない手はありません。
ですが墓じまいの補助金は、支給の有無や金額、手続き方法などが自治体によって違うため、注意が必要です。この記事では、墓じまいで補助金をもらう方法や手続きの手順、補助金以外に墓じまいの費用を抑える方法などを解説します。
墓じまいで補助金をもらうには?
墓じまいで補助金をもらうには、自治体への申請が必要。墓じまいの補助金制度は各自治体が行っているので、具体的な手続きや補助金の内容は自治体によって異なります。
さらに、そもそも墓じまいに補助金を出すかも自治体の方針によって違います。すべての自治体に補助金制度があるわけではないので、事前のリサーチは欠かせません。
墓じまいの補助金の詳細は、お墓の所在地にある市役所や、自治体のウェブサイトで確認できます。お墓がある地域の自治体に補助金制度があるか、どのような受給資格があるのか、申請方法はどのようになっているのか、事前に確認しておきましょう。
墓じまいでもらえる補助金の金額
墓じまいの補助金対象となるのは墓石の撤去費用が主で、工事にかかった料金の全額または一部を負担してくれます。
墓じまいでもらえる補助金の金額や上限は、最大20万円前後としている自治体が多いです。自治体によって金額や条件が異なるため、事前に確認しておいてください。
墓じまいで補助金を受け取るタイミング
墓じまいの補助金は、墓じまいの費用を支払ったあと受け取るのが一般的。お墓の解体工事が終わったあと、領収書などを添えて各自治体に補助金を申請します。
墓じまいにかかる費用の全額をいったん負担するため、事前に資金計画を立てる必要があります。
墓じまいの補助金の申込手順
墓じまいの補助金を申請する手順は各自治体によって異なりますが、一般的な申請の流れを紹介します。
1 自治体の補助金制度の情報収集
2 補助金申請書などの書類の入手 ※お墓の受入証明書、住民票などを提出する場合もあり
3 補助金申請書の提出 ※墓じまい工事の見積書提出を要請されることもあり
4 自治体の申請内容確認後、受理
5 補助金請求書の申請 ※工事にかかった費用の領収書などを添えるケースあり
通年ではなく、年度ごとに補助金の申請を行っている場合もあります。申請時期、添付書類の有無などを、あらかじめ確かめておくと、後々、慌てる必要がなくなるでしょう。
補助金の対象となる霊園や申請資格などが定められている場合もあるので、確認をしておく必要があります。
墓じまいの補助金制度がある自治体
補助金制度がある自治体の例を紹介します。
千葉県市川市
千葉県市川市では、「一般墓地返還促進事業」として、現在、市川市霊園一般墓地の使用許可を受けている人向けに補助金制度があります。具体的には墓地使用料の返還と現状回復費用の助成があります。
群馬県太田市
群馬県太田市では、八王子山公園墓地の無縁墓地対策として、墓地返還をするときにかかる墓石撤去に伴う費用を助成する制度があります。平成31年4月1日以降に返還届を提出し、墓石の撤去を完了した人で、これまで管理料の滞納のない人が対象となります。
千葉県浦安市
千葉県浦安市では、「墓所返還者等支援事業」として、浦安市墓地公園の通常墓所(1区画3.0平米)または小型墓所(1区画1.5平米)の使用許可を受けている方が、墓所を返還する際に適用される補助金制度があります。「合祀室改葬等許可制度」「墓石撤去費等助成制度」のいずれか、または両方を申請することができます。希望者は、墓所を返還したい時期に、随時、両制度を申請することが可能です。
墓じまいの費用を抑える自治体の制度
補助金や助成金ではないですが、墓じまいに際しての負担を軽減する制度を紹介します。
東京都 施設変更制度
都立霊園の使用者でお墓の継承者がいない方に対して、現在使用しているお墓を返還して、ご遺骨を東京都の合葬式墓地に改葬し、東京都が使用者に代わってご遺骨を守っていく制度です。現在使用しているお墓を更地にする費用は、使用者の負担になります。
大阪府泉大津市 公園墓地還付金制度
大阪府泉大津市の公園墓地は、使用開始から30年が経過した時点で、返還時の還付金(還付率は使用年数により、15年未満は既納の永代使用料の50/100、30年未満は同30/100)が「0円」となります。墓地の返還を検討されている方は、使用区画を原状回復のうえ、期間経過前に返還の申請する制度です。
岡山県玉野市 霊地返還制度
岡山県玉野市霊園の使用者が霊地を返還するときは、届出を提出します。霊地の原状回復後に、市民課窓口へ申請書類を提出、市による現地の確認検査を経て、すでに納めていた使用料が還付されることになります。
大阪府岸和田市 墳墓使用料還付制度
岸和田市墓苑のお墓を返還する際、すでに納めた使用料が一部還付される制度です。未使用(1年未満、1年以上)と、使用している場合とにより、使用料の還付金算出額は変わってきます。
補助金以外で墓じまいの費用を抑える方法
補助金以外にも、墓じまいの費用を抑える方法はあります。ここでは、墓じまいの費用を抑える方法を3つ紹介します。
1. メモリアルローンを利用する
メモリアルローンは、故人や家族の祭祀費用を賄うためのローンです。お葬式の施行やお墓を購入する費用として利用されることが多いですが、審査に通れば墓じまいでも利用が可能です。
2. 手元供養や散骨を選ぶ
墓じまいで多くの費用がかかるのは、お墓を撤去するときよりも、むしろ新しく用意するお墓の費用を支払うときの方が多いです。お墓のタイプにはさまざまなものがありますが、いずれも費用がかかってきます。
費用を抑える方法の一つに、手元供養という選択肢があります。ご遺骨やご遺灰を入れた骨壺を自宅に置き、供養の対象とする方法です。また、お墓を用意しない方法として、散骨という選択肢もあります。ただし、ご家族や親類の方々が手元供養や散骨について反対する可能性もありますので、事前に話し合うことが大切です。
3.家族や親類と費用を分担する
墓じまいは一人の判断でできることではありません。ご家族や親類の方々の了解の上で行われるものです。そのため、墓じまいを考えているお墓に縁のある人たちに費用負担の協力を仰ぐことも考えましょう。
4. 墓石を撤去する業者の選定
墓石を撤去し墓所を更地に戻すときに、管理者(お寺、霊園など)から、工事業者の指定を受けることがあります。ただし、業者が指定されない場合は、自分で業者を選ぶことができます。その場合は、相見積りをとり、金額(実施内容なども)を比較検討することが費用を抑えることにつながります。
5.お寺に相談をする
寺院墓地にあるお墓を墓じまいする際には、檀家を抜ける(離檀する)ことになります。その際に、これまで管理を行ってくれた感謝の意味を込めて、離檀料を支払うのが通例です。その離檀料の金額を抑えてもらう相談を、お寺側にしてみることも考えられます。
墓じまいで補助金が出る理由
墓じまいが増えている大きな理由の一つに、無縁墓の増加があります。無縁墓とは、お墓を継いでくれる人がいないままに、手入れも法要もされずにそのままの状態で放置されているお墓のことです。
管理されず、放置された無縁墓は、最終的にお墓の管理者や自治体が撤去することになります。無縁墓が増えることにより、撤去費用にお金がかかるため、自治体としても無縁墓が増えることは避けたいと考えています。
無縁墓の撤去費用を抑えるため、自治体は補助金制度を設けて、適切な墓じまいを促しているのです。
補助金制度を使って墓じまいの費用負担を軽減
墓じまいを行うことで、子どもたちへの負担も軽減でき、お墓を無縁墓にする心配もなくなるというメリットがあります。ただし、墓じまいは、大きな費用負担が伴います。
自治体が用意している補助金制度、または負担軽減ができる方法などを活用することで、墓じまいの費用負担を抑えることができます。決して一人で抱え込むことなく、補助金などを上手く利用することをおすすめします。
墓じまい(改葬)を行う業者をご紹介
墓じまいは完了するまでの手続きも多く、かかる費用も不透明なところが多いのが実態です。まずは、複数の墓じまい業者から見積もりをとることで費用の全体感を把握しましょう。
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