お墓と水の関係とは、切っても切れない深いものです。お水はお花や線香と同じように、お供え物として重要な五供の1つとしても知られています。その一方で、お水はお供え物としてだけではなく、お墓参りでもお墓と大きく関係しています。そこで、お墓に水をかける方とそうでない方の理由や水受けの役割、お墓に水かけるようになったルーツなどについて紹介します。
お墓への水かけはよい?悪い?
お墓参りの際に、お墓に水をかける方とそうでない方がいます。実はお墓にお水をかけることについて明確なルールはありません。水をかける際には、水かけをどのように捉えるのかによって変わります。
お墓に水をかける理由
水かけを肯定的に捉えられている理由の1つに、ご先祖様や故人に水を飲んでもらいたいという供養の側面があります。この場合は、ご先祖様や故人も生きている時と同じように喉が渇くと考え、私たちと同じように水を飲んで欲しいという気持ちが込められています。
また、ご先祖様や故人に会いに来たことを知らせる目的もあります。お墓に水かけをすることでお墓参りに来たことを知らせ、私たちの前に祖先や故人の魂が現れてくれるようにと祈る目的があるようです。
お墓に水をかけない理由
お墓への水かけを否定的に捉えられている理由を紹介します。こちらは肯定派とは異なり、お墓への水かけをご先祖様や故人に水をかけていると考えているようです。確かに墓石は建立した際に開眼供養をされているため、墓石そのものをご先祖様や故人とみなすこともできます。大切な方に頭から水をかけるのは失礼だという考えが生まれ、お墓に水かけをしないようになりました。
このように、お墓への水かけには決まったルールがあるわけではないため、自分の心情に従って水をかけるかどうかを選ぶ必要があります。また、宗派によっては水かけについて決まっている場合があるため、不安な方はお寺に確認するようにしましょう。
お墓にお酒やお茶をかけてもよいか?
お墓にお水をかける方にとって、その行為にはご先祖様や故人に水を飲んで欲しいという気持ちがあります。そのため、お酒やお茶をお墓にかけてしまう方もいます。特に「ご先祖様や亡くなった方が好きだったから」という理由でお酒やお茶などをお墓にかける方が多いようです。
しかし、墓石にお酒やお茶をかけることは、あまりおすすめはできません。
なぜなら飲み物に含まれる成分が原因で、墓石にシミが残ってしまったり、場合によっては墓石が傷んでしまったりすることがあるからです。アルコールの場合は放っておくとカビが生えてしまい、お墓が黒ずんでしまうこともあります。お墓はご先祖様や故人の霊が長年祀られる大切な場所ですから、かけるのは水だけにした方が良いでしょう。
どうしても水以外のものを亡くなった方に飲ませてあげたいというのであれば、お墓に直接かけるのではなく、お供えするようにしましょう。
水のお供えはお墓の水鉢へ
お墓には、中央に横長のくぼみがあります。このくぼみのことを水鉢もしくは水受けといいます。水鉢はお供えする水を入れる場所です。ご先祖様や故人が飲むものであるため、きれいな水を入れるようにします。また、水鉢に飲み物を直接置いてしまう方もいらっしゃいますが、缶やビンで墓石を傷つけてしまう可能性があるので控えましょう。
お墓参りの際に水桶は2つ必要
お墓参りの際に、水桶を持ってお墓参りをしている方を見かけることが多いかもしれません。そうした方の中には掃除やお供えなどを、1つの水桶ですべて行ってしまう方も多いかと思います。しかし、できればお墓参りの際には水桶を用途別に2つ用意したいものです。
1つは墓石の掃除など掃除を目的とした水で、万が一汚れた水が入ってもよい状態にしておきます。そして、掃除用の水は風雨に晒され、ホコリや汚れのついた墓石を、水で流したり濡らした布などできれいにするために使用します。
もう1つの水桶にはお供えする水を汲みます。お墓に水をかける場合も掃除目的でなければこちらの水を使用しましょう。お供え用の水は、ご先祖様や故人が喉を潤すものとして用意するため、掃除などに使用する水桶と分けるようにします。そして水鉢にこの水桶から水をお供えします。
水桶を2つ使用することで、ご先祖様や亡くなられた方にきれいな水をお供えしましょう。また、花に関しても花立を掃除する際は掃除用の水桶を使用し、最後にお花用の水を入れる際はお供え用の水を入れると丁寧です。
まとめ
お墓に水をかける理由、かけない理由をそれぞれ見てきました。また意外と知らない水受けや水桶についても紹介しました。それぞれルールや作法は異なりますが、ご先祖様や亡くなった方を大切に思う気持ちは変わりありません。そうした大切なお墓のことだからこそ、適切に管理したいものです。お墓のお水に関する疑問やお墓の参り方について相談などがある方は、お気軽にお問い合わせください。