寿陵とは、生きているうちに自分や家族が入るためのお墓を建てることで、生前墓とも言われています。寿陵の歴史は中国で始まり、日本でも聖徳太子が建てたと伝えられています。寿陵を建てることは縁起の良いことで、長寿や子孫繁栄を招くと言われています。自分の望む霊園に墓地を購入し、好みの墓石でお墓を建てることもできるので、終活の一環として寿陵を建てる人も多いそうです。また、相続税の非課税財産になるなど、亡くなってからの家族の経済的な負担も軽減されます。
ここでは、寿陵の歴史や意味、寿陵を建てるメリット、寿陵を建てる手順、開眼法要の手続きや招かれた時のお祝いのマナー、開眼法要後の墓参はどうするのかなどを説明します。
寿陵とは
日本では聖徳太子が生前に自分のお墓を建てたという記録が残されています。
現在は終活ブームにより、健康な時期を利用し、墓石のデザインや、気に入った場所の霊園を見つけるために、時間をかけて寿陵を建てる方が増えています。
寿陵墓の特徴
寿陵墓が他のお墓と違う特徴として、寿陵の場合はお墓の側面に書かれる戒名がお祝い事にも用いられる朱色の文字で書かれていることが挙げられます。
寿陵の歴史と縁起
寿陵はもともと中国で始まり、日本では聖徳太子が生前に自分の入るお墓を作ったという記録が残されています。
中国では、寿陵の「陵」という漢字は、「みささぎ」もしくは、「はか」と読み「皇帝の墓」という意味で使われていたそうです。
寿陵は「長寿」「家庭円満」「子孫繁栄」を招くといわれ、縁起の良いこととされています。「寿(ことぶき)」という漢字が使われていることからも、縁起の良さが伝わってきます。
仏教では、生前に自分の位牌やお墓を準備し法事をして冥福を祈ることを意味する「逆修(ぎゃくしゅ)」の功徳は大きく、非常に幸福を招くと考えられています。
寿陵の意味
生前に自分のお墓を決めておくことは、縁起が良いだけではなく、残された方たちの負担を減らす、まさに「立つ鳥跡を濁さず」という意味があります。
生前にお墓を準備していない場合、亡くなった後、残された親族が法事や遺品整理、遺産相続の手続きなどを進めながら、墓石と霊園も決めなければなりません。それにはかなりの時間や費用が掛かります。
また、寿陵は、生前に好きな言葉を墓石に彫り込んだり、好きなデザインの墓石にしたり、海が好きな方は海の見える場所や丘の上の霊園を選んだりすることもできます。
亡くなる前に希望のお墓を伝えておいたとしても、必ずしも思い通りのお墓が作られるとは限りませんし、見て確かめることもできません。
そのため寿陵とは、自分が納得して満足するお墓を作り、安心して残された人生を送るという意味があるとも考えられています。
寿陵の手順
まずは、どこにお墓を建てたいかを決めましょう。
公営霊園の場合では、お骨がないと認めてもらえない場合もあるので、希望の霊園に連絡をして、寿陵が可能かどうかを調べておく必要があります。
入りたい霊園がある程度決まったら、実際に赴き、立地条件や交通の利便性、霊園の雰囲気を目で確かめる必要があります。
通いづらい場所だと、家族がお墓参りの際の負担になりますので、電車やバスの本数も調べておくことが重要です。
家族が車で来るような場合だと、駐車場があるのか、もしくは近隣にパーキングがあるかなども大切なポイントです。
お墓を置く場所が決まってきたら、次に墓石選びです。
最近では、好きだった趣味を生かしてデザインしたお墓も増えてきていますし、墓石に好きな言葉を彫ってもらうこともできます。
墓石屋さんと相談して決めると良いでしょう。
寿陵墓の開眼法要
仏教では新しい位牌や墓石を作ったときに「開眼法要」と呼ばれる供養をします。「魂入れ」などとも呼ばれています。
開眼法要は、通常お墓を建てたときに行うのが一般的ですが、寿陵の場合は必ずしも一緒にしないといけないわけではありません。
しかし、亡くなってから家族が慌てずに済むよう、お墓を作るときに家族に相談したり、宗派にもよりますので住職さんに相談したりしても良いでしょう。
また費用も掛かるので、寿陵墓を建てた際に済ませておくと後々家族への負担が減ります。
寿陵墓の法要に招待された場合
寿陵墓は縁起の良いものとされるため、墓石を建て開眼法要を行う場合、お寺へ依頼して親族を招待します。
祝儀袋の書き方/金額
招待された側の親族は、祝儀袋に「建立祝」と書き、お気持ち程度の金額をお包みします。お気持ち程度とは間柄にもよりますが、5,000円から1万円程度が良いでしょう。
寿陵墓への墓参り
開眼法要を済ませた場合は、すでにお墓となっていますので、お彼岸やお盆などにお参りにいくと良いでしょう。
その機会に、墓石が汚れたり傷んだりしていないかをチェックし、お掃除することをおすすめします。
開眼法要前開眼法要後の捉え方
開眼法要前はただの石としての建立ですが、開眼法要を済ませた場合は、お墓としての意味を成しえます。前述の通り、お彼岸やお盆にお参りに出向いた方が良いと考えられます。
まとめ
生前にお墓を作ることで、自分自身の満足のいくお墓になること、そして家族への負担を減らすことにもつながります。生きている間にお墓を建てられる方が増え続けているのも、こうした理由が考えられます。
墓石を決めたり、霊園を決めたりすることは、すぐにできることではありません。残された家族は、葬儀や遺品整理などがありますので、寿陵を建てておくことは家族の負担軽減になります。
寿陵墓や葬儀についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。