【アジアの聖地から】プノンペンで最も古いお寺 – ワット・プノン(カンボジア)

首都プノンペンの名前になった、ペン夫人の丘
仏像を救い、お寺を建てたペン夫人の善行に感謝し続ける人々

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【仏像を救ったペン夫人の善行】

カンボジアの首都プノンペン。王宮がある中心地を廻っていると、緑々と草木が生い茂る小高い丘、きれいに整えられた芝生は大きな時計になっていて、その背後には立派な仏塔がそびえ立っています。この姿は遠くからでも目に入り、プノンペンを象徴する場所の一つでもあります。

ここはワット・プノンというプノンペンで一番古いお寺。クメール語でワットは寺、プノンは丘、正に「丘の上のお寺」です。

その昔、この辺りにペンさんという裕福なご夫人が住んでいました。

そしてある日、ペンさんの前を洪水によって大木が流れてきます。気になったペンさんはその大木を辿り寄せると、中には五つの仏像が入っていたのです。

ペンさんはこの仏像を手厚くこの丘に祀り、お寺としました。この善行を称えるかのように、ここはいつしか「ペン夫人の丘(プノン)」と呼ばれるようになり、これがプノンペンという名前になったそうです。

15世紀には、アンコール王朝最後の王、ポニャー・ヤットが、仏像がまた洪水の被害に合わないようにとこの丘を更に高くしました。この信心深い王とその一族の遺灰は、中央の仏塔に納められています。

【ご利益を求めて後を絶たない参拝者】

丘の上の本堂へは正面の階段で上がります。欄干は大きなナーガ(蛇神)となっていて、シンハ(獅子)と共に寺を護ります。

本堂は主に地元の人や観光客がお参りをし、その脇の奥には、中華系移民で賑わう本堂もあります。ペンさんが救った五つの仏像のうち、四つは本堂へ、そして一
つは中華系の方へ祀られたのです。現在ある五つの仏像は複製されたもので、当時のものは王宮にあるそうです。これは内戦時に崩壊や盗難から守ったためでしょう。

ここはご利益があることでも知られていて、王族や政府の方々も訪れ、祈りを捧げているのです。この日は地方から来ている別のお寺のお坊さんの姿も多く見かけました。

【ペン夫人がもっと美しくなるように】

本堂に入ると、鮮やかな壁画の中、先ずは黄金のご本尊が目を引きます。その周囲にも数多くの仏像。これらのうちの一つに人だかりができていて、参拝者の一人はそこの仏像に何か描いているようです。

「これが若い時のペン夫人です。ペン夫人はとてもおしゃれな方でした。そして女性ですから、いつも”もっと美しくなりたい”と願っていたのです。だから私たちはここでお祈りさせて頂く感謝の気持ちとして、ペン夫人がもっと美人になるように口紅を塗ってあげるのです」

更に奥には、お年を召した頃のペンさんが祀られる祠があり、ここは一番の人気スポット。絶えることのない線香に加えて、お供え物のジャスミンやバナナの神秘的な香華に包まれます。

おしゃれなペンさんには、洋服も毎日取り換えてあげるそうです。この日は水曜日だから緑色、日曜日は赤い服を着せるそうです。たくさんのネックレスも身に付けて、ペンさんが喜んでいるのが伝わってきそうです。

お参りに来ていた母娘は二人で飲食店をやっているとのこと。ここには最低でも年に二回は訪れるそうです。
「健康や幸せ、そして商売繁盛をお祈りに来ました。ここでお願いするとお客さんがたくさん来てくれるんですよ!」