生前墓とは、自分や家族が亡くなる前に生前に建てるお墓のことで、最近の終活ブームで生前墓を建てる人が増えているそうです。その始まりは始皇帝だとも伝えられており、聖徳太子なども生前にお墓を建てたといわれています。
生前墓は「寿陵」といわれており、長生きや子孫繁栄など縁起の良いこととされています。また、亡くなった際に残された家族に経済的な負担がかからず、非課税相続財産となるので相続税の節税にもなります。
しかし、遺骨が入っていなくても、開眼法要の費用や管理料が必要だったりするなどの負担もあります。
この記事では、生前墓を検討中の方のために、生前墓のメリットや注意点、霊園見学会へ参加する際のポイントなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
生前墓とは
生前に建てるお墓を「生前墓」または「寿陵」といいます。生前にお墓を建てることは全く問題がありません。「寿陵」の寿の字が示すように「家に幸せをもたらし、長寿が約束される」といわれ、大変おめでたい事とされています。寿陵の場合、墓石に書かれる戒名は朱文字(お祝い事の色)で記入されますが、これは寿陵が縁起がよいということの表れです。
仏教の教えにおいても、「寿陵」を建てることは、「逆修(ぎゃくしゅう)」すなわち「生前、自分のために仏事をいとなみ、冥福を祈ること」をなすことになります。「逆修」は善根を導き、それによって功徳がもたらされます。そして「功徳」はさらに、子から孫へと残すことができ、未来の繁栄と幸福につながると言われています。今までは、身内が亡くなったあと、法要などにあわせてお墓を建てる人が多かったのですが、お墓をいつ建てるべきかについては仏教の教義の上でも特に決まりがありません。
寿陵には、ゆっくり時間をかけてお墓選びができるというメリットもあります。思い立ったときこそが、お墓購入の最良の時期といえます。生前に自分の「寿陵墓」を建てることも選択肢の一つでしょう。
近年増加の背景理由
自分の死後、「残された親族に負担をかけないように」との理由から、亡くなる前にお墓を建てる方が増えています。
生前墓なら亡くなってから入る自分のお墓を、自分が納得のいくデザインやほかのお墓とは違う個性のある装飾、生前の生きざまを表したような形にするなど、自分の意思で決めることができます。
また、生前墓を用意しておけば、亡くなってからも納得のいくお墓で眠れるという安心感が得られるとの意見もあります。
寿陵墓ともいわれる生前墓は、縁起がよいものと考えられています。近年では「終活」の一環として、団塊の世代の方などが生前墓を建てることが多くなっているようです。
生前墓のメリット
生前墓には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
相続税対策
非課税財産であるお墓は、相続税の課税対象から外れます。しかし、死後にお墓を建ててもらうために現金を渡しておく場合は、その金額に相続税がかかってしまいます。生前に自分が入るお墓を建てておくと、親族が遺産を受け取った際の相続税が軽くなります。
自分で納得のいくお墓を調べる
亡くなる前に自分が希望するお墓の場所やデザイン、こだわりを伝えておいても、実際にその通りのお墓になるとは限りません。また、自分の目で確かめることもできません。さらに親族がお墓に対し、金銭的負担をどこまでしてくれるかも気になるところです。
しかし生前墓であれば、自分の好きな墓石のデザインにし、好きな場所の霊園を申し込めるため、ご自身の納得できるお墓にすることができます。
生前の仕事や趣味をデザインに活かしたお墓を建てる方もいれば、親族が通いやすい場所を重視して霊園に申し込むことも、また有名な名所に近い、散歩がてらにお墓参りできる霊園に決めることなどもできます。
遺族への負担軽減(葬儀の時期)
身内が亡くなると、親族は法要の準備に追われ、遺品整理や遺産相続などやるべきことが多々あります。そんな中、お墓が無ければ霊園を探し、お墓作りを依頼するなどなかなか大変な作業を執り行うことになります。
生きているうちに自分のためのお墓を建てておくことは、残されるご親族の方の金銭面や時間的苦労も軽減することができます。
生前墓購入の注意点
前述したように非課税財産であるお墓は相続税の課税対象から外れますので、生前にお墓を建てておくことで相続税の負担が軽くなります。
ただし、注意が必要な点があります。まず、ローンで生前にお墓を購入し完済前に亡くなった場合においては、残ってしまったローンの残額は債務控除の対象にはなりません。ローンの保証人や家族に支払いが残ってしまいます。
そして、購入できる霊園にも注意が必要な場合があります。公営の墓地や一部の霊園では、生前購入ができない墓地もあります。購入前に調べてから申し込む必要があります。また、維持管理費が発生する施設などでは、生前購入した時点から費用がかかり始めるという場合もあります。
まずは各霊園の資料を取り寄せ、実際に場所を見て歩き、担当者から内容の詳細を聞く必要があります。
よく相談して選ぶ
残される親族にとって通いやすい場所であるか、管理費などがかかる場合は費用の相談も事前に必要になります。また、同じお墓に後々親族も入ることになる場合は、墓石のデザインについても一緒に相談をしておいた方がよいでしょう。
霊園見学会への参加
取り寄せたパンフレットで気に入った施設や見学会を行っている施設には、実際に見学に行くことが重要です。
霊園に足を運ぶことで、パンフレットでは分かりづらいことにも気づくことができます。元気なうちにいくつかの霊園を見ることで気になる霊園が見つかるかもしれません。
見学に行くと、霊園施設に駐車場があるのか、近隣のパーキングを利用するようになるのか、電車やバスなどの交通手段、墓地の日当たりや水はけのよさはどうなのかなど、細かな点も確認できます。
残された親族がいずれお参りに来る場所になるので、親族とも相談するとよいでしょう。
生前墓のお披露目について
生前墓のお披露目に際して、一体いくらくらい包んで、のしぶくろにはどのように書けばよいでしょうか?
生前にお墓を建てる寿陵は、おめでたいことだとされていますので、お金はお祝金ということになります。包む金額は、お墓を建てるのにかかった費用の何分の一、というわけではありません。お祝いの気持ちを表すことが大切です。赤白水引きの祝儀袋を使います。表書きは「建碑(けんぴ)祝」や「建立祝」で良いでしょう。
まとめ
お墓を生前建墓すると、思い入れのある場所に自分のお墓を建てたり、親族と生きているうちにお墓について相談したりできます。
それにより、残りの人生をより安心した気持ちで過ごせるだけでなく、家族の負担を軽減することもできます。
生前からお墓の準備をして、元気で時間があるうちに自分の納得のいく条件のお墓を見つけて建てる方も大勢います。
生前墓にはさまざまなトラブルを未然に防ぐだけでなく、節税にもつながるというメリットもあります。
また、生前にお墓を建てることを仏教では「寿陵(じゅりょう)」と呼び、長寿や子孫繁栄、家庭円満といった幸福が訪れるとされているので、縁起のよいことでもあります。
お墓の選択肢のひとつである「生前墓」、終活の一環として生前墓の購入を考えている方、建てたときの家族への負担などのお悩みがある方は、「いいお墓」でぜひお気軽にご相談ください。