臨済宗とは、中国禅宗の五家七宗の一宗派で、鎌倉時代に明庵栄西が日本に広めました。曹洞宗、黄檗宗とともに、日本三大禅宗の一つに数えられます。
念仏を唱えることで救われるのではなく、坐禅をすることで悟りを得ることこそ、極楽浄土に繋がるという教えです。
この記事では、臨済宗のお墓の特徴、お墓を建てた際の供養、お墓参りの仕方などについてご紹介します。臨済宗のお墓を建てようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
臨済宗とは
曹洞宗に次ぐ規模の禅宗である臨済宗は、2017年時点で寺院数は約5,700カ寺、信者数は約100万人以上にも及びます。
臨済宗には総本山はなく、14の宗派に分かれており、それぞれに大本山があります。京都の「建仁寺派」「東福寺派」「妙心寺派」「南禅寺派」「大徳寺派」、鎌倉の「建長寺派」「円覚寺派」などで、大本山の寺の名前がそのまま宗派名となっています。
臨済宗は、鎌倉幕府や室町幕府など、武家社会と結びついて発展しており、能などの芸能、水墨画、建築など、中世の日本文化に強い影響と与えてきました。黙ってひたすら坐禅する曹洞宗の坐禅「黙照禅(もくしょうぜん)」に対して、臨済宗では対面して公案(禅問答)を行う「看話禅(かんなぜん)」により、仏教の精神を追求し悟りを得ていきます。
臨済宗では、浄土宗や浄土真宗の念仏「南無阿弥陀仏」や日蓮宗の題目「南無妙法蓮華経」などのようにくり返して唱えるものはありませんが、「私は仏様に帰依します」という意味の「南無釈迦尼仏(なむしゃかにぶつ)」という言葉を読経の前などに唱えます。
臨済宗のお墓の特徴
臨済宗のお墓には、あまり細かな決まりはありませんが、他の宗派とは違う点として次のような特徴があります。
墓の正面に刻む文字
一般的は、墓石の正面に、「○○家先祖代々之墓」、「○○家之墓」などと刻まれています。
臨済宗では、「○○家先祖代々之墓」や「○○家之墓」と刻まれた上部に、丸い円のようなものが刻まれている場合があります。この丸い円は「円相」と呼ばれるもので、意味には諸説ありますが、悟りや真理を表現しているといわれています。
その他に、「南無釈迦牟尼仏」と刻んでいるお墓もあります。
お墓の形態
臨済宗では、お墓の形態について厳格な決まりはなく、和型だけでなく、洋型やデザイン墓石でも構いません。
また臨済宗でも五輪塔(宝珠形・半月形・三角形・円形・方形の5つの石を重ねた塔のこと)のお墓を建てることがあります。その場合は、上から「空」・「風」・「火」・「水」・「地」という意味の梵字を刻みます。この5つの文字は、宇宙の五大要素を表していて、墓石に刻む時には、「故人が成仏し、極楽浄土へと往生するように」という願いが込められています。
臨済宗のお墓と供養
開眼供養
お墓を新しく建てた際や改葬した際には「開眼供養」を行います。開眼供養では、お花やお水・お茶、お供え物を用意し、僧侶に読経してもらいます。開眼供養は、お墓の工事が終了した時、あるいは納骨する場合は納骨供養とともに行われる場合があります。いずれにしても、親族が集まりやすい日時を設定するとよいでしょう。
僧侶へのお布施の相場は、3~5万円といわれています。菩提寺ではなく、霊園などにお墓を建てた場合は、お車代も別に包みます。お布施は、寺院や地域によって相場が異なるので、墓石店などに相談してみましょう。
お塔婆(卒塔婆)
四十九日法要、命日(年回忌)、春秋のお彼岸、お盆など、それぞれの節目の供養に際してはお塔婆を立てます。
臨済宗では、お塔婆には、梵字で「空」・「風」・「火」・「水」・「地」、または「大圓鏡智」と記します。費用の相場は2,000円~10,000円程度です。
臨済宗のお墓参りの仕方
臨済宗のお墓参りの仕方は、他の宗派との大きな違いはありません。持参するものは、数珠や花、ローソク、線香、お供え物、掃除用具などです。お供え物は、お菓子や果物など、故人の好物などを用意し、お参りが終わったら持ち帰ります。
お墓を掃除する前には、お墓に一礼します。墓石は水で洗い、雑巾をかけて苔や泥などの汚れをきれいに落とします。周囲の雑草を抜いたり、ゴミを拾ったりしましょう。花立ても中まできれいに水で洗い、苔などをきれいに落とします。そして、花とお供え物を供えます。そして線香を上げ、数珠を手に掛けて合掌礼拝して「南無釈迦牟尼仏」と唱えます。
臨済宗では、お線香を上げる際には、線香を1本または2本立てます。
また、臨済宗の数珠は、主玉が108個、親玉が1個、親玉の対角線上に向玉が1個、天玉が4個、ボサが1個あるもので、男性用には紐房、女性用には頭付房が付いています。
まとめ
臨済宗の教えやお墓の特徴、お参りの仕方について紹介しました。臨済宗のお墓を建てる際には、あまり細かな決まりはありませんが、文字の刻み方など他の宗派と異なる特徴があります。
臨済宗のお墓を建てたい、あるいは改葬をしたいと検討している方は、お気軽にいいお墓までご相談ください。