実家のお墓は長男が継ぐ?次男や娘は?- 家族墓、夫婦墓、ケース別お墓選び

従来日本のお墓に対する考え方は、家族や血縁者がひとつのお墓に入り、それを代々受け継いでいくのが一般的でした。しかし現代では結婚の高齢化や離婚率の上昇、核家族化など、家族の在り方の変化に伴い、お墓を受け継いでいくことが難しくなってきています。言い換えれば従来の形にとらわれず、それぞれの家庭やひとりひとりのライフスタイルに合わせたお墓選びが可能となりました。

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お墓の選び方やチェックポイントがわかる

従来の家族観とお墓

これまでの家族の在り方やお墓の形は、第二次世界大戦をひとつの区切りに大きく変わったとされています。
この頃を境に、「長男は家や墓を継ぐものだ」という、昔ながらの家やお墓に対する意識も徐々に変化していきました。

戦後、故郷を離れる人が増えた

第二次世界大戦後の日本では、工業化の影響で農業が減り、製造業が増え、高度経済成長も関係して都市化が急速に進みました。
それに伴い、利便性や職を求めて多くの人が故郷を離れ、大都市に移ったといわれています。
さらにサービス業が発展したことで、転勤もあたりまえになり、ひとつの土地にしばられない生き方が可能となりました。

少子化などの影響もあって、親子二世代や三世代がひとつの家に暮らすという大家族の形から、家族の最小単位である核家族が多くなりました。
その関係で、従来の、お墓の継承が難しくなるケースも増えてきています。

実家のお墓どうする問題

戦後故郷を離れる人が増えたこともあり、「家制度」の意識が薄くなりました。
長男や次男の区別が少なくなり、それぞれが自由に生活の拠点を選べるようになったことで、お墓の管理が行き届かなくなってしまう場合もあります。
そのため無縁墓の増加がひとつの問題となっており、そのほか改葬や墓じまいで代々のお墓をなくすという選択をされる方も多くなっています。

お墓の相続(承継・継承)
お墓の使用権取得者(名義人)が亡くなった際、「お墓を継ぐ」必要がありますが、これを「承継」と呼びます。お墓の承継は、家を継ぐ長男が継承することが半ば慣習化していましたが、一人娘が他家に嫁いでしまったケースや、子供のいない場合など、核家族化の進む現代の社会背景とともに、親族間で承継することが困難な事例が増えてきています。 ただ、親族に「承継者がいない」ということで、お墓がなくなってしまうということではありません。

子供が2人(娘・息子)いますが、娘にお墓を継いでもらうことは可能ですか?

お墓の承継者に関して「男性である・長男である」などの決まりはありません。風習や習慣で長男が継いでいることが多いですが、墓所の使用名義人が指定した人であれば親族以外でも承継は可能です。少子化の影響もあり子供がいなかったり、いても娘だけで跡取りのいない夫婦が多くなっています。この場合、お墓を承継することに対して不都合が起こる可能性があるので、申し込みにあたって注意が必要です。
子供がいない、いても娘だけで跡取りがいないという場合に、申し込みすらできない霊園もあるようですが、最近では一定の条件付きで受け入れている霊園も少なくないようです。まず、最初に自分たちの家族構成を伝えて、申し込みができるか、承継ができるかを確認することが大切です。

親と自分だけが入るお墓

お墓を継ぐ人がいない、事情があって代々のお墓に入らないという方の選択肢のひとつに、「家族墓」というものがあります。
家族墓は親から子へ受け継がれ、二世代のみ入ることが可能なお墓で、三十三回忌や五十回忌など、決められた回忌法要が過ぎると合祀されて永代供養に切り替わります。
宗派を問わずに受け入れてくれる場合が多いようですが、事前に確認することをおすすめします。

夫婦だけで入るお墓

子供が独立し、家を離れて暮らしている、子供はいないなどの理由で、亡くなった後は夫婦だけでお墓に入りたいという方もいらっしゃいます。
そういった方には、夫婦で入る「夫婦墓」がよいかもしれません。

子供に迷惑をかけたくない

自分たちが亡くなった後、お墓の管理や供養で子供に迷惑をかけたくないと考える方も少なくないと思います。
夫婦墓は夫婦のみで入るお墓で、生前から契約もでき、決められた回忌を過ぎると合祀に切り替わり永代供養がされるので、残された家族の負担を軽くすることが可能です。
合祀前は一般的なお墓と同じように、名前を入れた墓石やプレートを建てることもできます。

夫婦で姓が異なる場合

一般的によく目にする「○○家先祖代々之墓」と書かれているお墓には、六親等以内または三親等以内の姻族が入ることができます。
お寺によっても違いますが、場合によっては異なる姓でも納骨できることもあるようです。
最近ではそのようなことを想定して、墓石に姓を彫らないケースも多くなっているので、迷った際はお寺や石材店などに相談することをおすすめします。

独身、お一人様のお墓

代々のお墓がないなどの理由から独身でお墓を探す場合、永代供養を行っている墓地を選択することが一般的です。
生前からの契約も可能なので、亡くなった後はここに入りたいという墓地を探してみるとよいかもしれません。

身内がいなくても、きちんと納骨される?

お墓を選んだとしても、「自分が死んだらちゃんと納骨されるの?」ということに不安が残ると思います。
親戚などの身内がいる場合、亡くなったら遺骨をどうしてほしいのかを書きとめ、お墓の契約書などと一緒にしておくとよいでしょう。
身内の方がいない場合は、「死後事務契約」でサポートしてもらう方法もあります。
死後事務契約は、行政や後見人が行えない公的機関の手続きやお葬式、お墓のことを代わりに行ってくれるので、相談してみるのもひとつの手です。

ペットと入れるお墓も増えている

お墓の形や供養の仕方が多様化する中で、ペットと一緒にお墓に入りたいという方も増えてきています。
ペットも大切な家族の一員なのに、どうして同じお墓に入れないのかと思われる方も多いのではないでしょうか。

なぜペットはお墓に入れなかったのか

ペットの死骸は法律上、廃棄物として扱われますが、埋葬に関しては法的な決まりはないので、ペットを同じお墓に入れても違法にはなりません。
しかし宗教や倫理上の観点から、ペットを同じお墓に入れることを禁止している墓地も少なくありません。
仏教には輪廻転生の考え方があり、六道の中で人間以外の動物は「畜生道」に分類され、人間よりも格が下だとされています。このような思想からも、特にお寺ではペットを同じお墓に入れることは難しくなっています。
仏教の教えの解釈によって、ペットも人も同じお墓に入っても良いというお寺もありますが、まだ少数といえるでしょう。お寺としては問題ないとしても、既存の檀家の心情などを考えて、許可できないといった場合もあるようです。
ペットと同じお墓に入ることを希望する場合は、専用の墓地を選ぶとよいでしょう。

ペットと入れる霊園の例

ペットと入れるお墓としては、民営霊園の一部や樹木葬があげられます。
最近はペットと一緒に入ることができる霊園や、遺骨を埋葬した上に樹木を植える樹木葬を取り入れた霊園も増えているので、ぜひ探してみてください。


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まとめ

わたしたちのライフスタイルや家族観は年々変わってきています。
それに合わせてお墓の形や供養の仕方も、これまでになかった新しいものが取り入れられ、幅広い選択が可能になりました。
従来の方法にとらわれず、それぞれの家庭の環境やひとりひとりの考え方に合わせて、より良い供養とお墓選びをすることが大切なのではないでしょうか。