時宗総本山「遊行寺」- 藤沢宿の発展を見守る開山700年の古刹

藤沢 遊行寺

神奈川県藤沢市の発展を見守り続けてきた遊行寺(清浄光寺)は、国道1号線と湘南の海をつなぐ箱根駅伝のコースにあり、選手を苦しめる難所である「遊行寺坂」の由来となったお寺です。この記事では、遊行寺の歴史や見どころ、霊園の概要や特徴をお伝えします。

遊行寺縁起

遊行寺の正式名称は、藤澤山無量光院清浄光寺(とうたくさんむりょうこういんしょうじょうこうじ)といいます。1325年に呑海上人が神奈川県藤沢の地に開山して以来、時宗総本山の歴代住職である遊行上人が住むお寺として遊行寺の名で親しまれています。

時宗とは?

時宗は鎌倉末期から室町時代にかけて踊り念仏の熱狂の渦を巻き起こした、浄土宗から枝分かれした一派です。開祖は一遍上人で、人の善悪や外見、信心の有無にかかわらず、ただ「南無阿弥陀仏」という念仏を唱えることで極楽浄土へと旅立てる、という教えを説きました。

一遍上人と藤沢のかかわり

一遍上人は四国の豪族の家に生まれましたが、家は没落し母が亡くなると浄土宗に入門しました。やがて一遍上人は仲間と連れ立って、「南無阿弥陀仏」と書かれた念仏札を配り人々に念仏を勧める遊行の旅にでます。そして熊野本宮でのある出来事により、仏への信不信にかかわらず念仏さえ唱えれば極楽往生できるという時衆(現在の時宗)という新仏教を生みだしました。
全国を遊行し念仏札を配りながら踊り念仏を広め、当時の都である鎌倉でも布教を試みますが、警護の武士に制止されてしまいます。そこで、鎌倉の郊外である藤沢の地で盛大に踊り念仏を催しました。
一遍上人はその後も遊行を続け生涯ひとところに留まることはなかったのですが、のちに呑海上人が藤沢の地に遊行寺を開き、それが総本山となったのです。

遊行寺の賑わい

歌川広重「東海道五十三次」にも藤沢宿が描かれていますが、当時から江の島詣などで賑わっていたことが窺えます。遊行寺の歴史は藤沢の発展と大きくかかわってきました。開山忌などの行事では、境内で相撲や見世物興行が行われ、門から参道の石段「いろは坂」を通行することも困難なほど人々が集まり、箱根駅伝でも有名な遊行寺坂も大変な賑わいでした。

遊行寺の見どころ

700年の歴史を誇る遊行寺には、古い歴史を感じられる見どころスポットがたくさんあります。参拝に向かう時に最初にくぐるのが「惣門」で、黒の冠木門なので黒門とも呼ばれます。さらに重要文化財で境内最古の木造建築である「中雀門」、東海道最大級の木造本堂である登録有形文化財の「本堂」、南北朝時代の1356年に造られ藤沢に時を告げ続けてきた「鐘楼」などの歴史を味わいたいものです。

遊行寺散策スポットのご紹介

門を入ると48の石段が続く「いろは坂」があります。春になるとシダレザクラやソメイヨシノなど桜の花が見事に咲き誇ります。坂を登ると樹齢700年ともいわれる天然記念物の「大銀杏」がそびえており、秋にはイチョウの葉が黄金色に輝きます。また、境内には「生類憐れみの令」が発布された時に江戸市中の金魚が集められたという放生池があり、さらに数々の文学碑や供養塔も建っているので、それらを巡ってみるとよいでしょう。境内には茶屋もあるので、疲れたら一休みすることもできます。
さらに、遊行寺の歴史のつまった遊行寺宝物館(開館日に注意)にはぜひ立ち寄り、宗祖一遍上人の生涯を描いた鎌倉時代の名品である、国宝「一遍聖絵(いっぺんひじりえ)」、重要文化財に指定されている「後醍醐天皇像」などを鑑賞したいものです。
人気の御朱印も、中雀門内の寺務所にていただけます。寺務所では御朱印帳や各種お守りも販売されています。

遊行寺のイベントのご紹介

藤沢宿や江の島詣などの賑わいを支えてきた遊行寺では、元日には未明に除夜の鐘とともに営まれる修正会、初詣、2月には節分、4月にはお釈迦様の降誕会、8月には盂蘭盆会や薪能など様々な年中行事が催され、多くの善男善女が集まります。第1日曜日と第4土曜日には35年以上も続く神奈川県ではもっとも歴史が古いといわれる骨董市が開かれます。

遊行寺へのアクセス

■最寄駅
【藤沢駅】 JR東海道線・小田急江ノ島線・江ノ島電鉄
【藤沢本町駅】 小田急江ノ島線

■藤沢駅より
・徒歩:藤沢駅北口より約15分
・バス:藤沢駅北口4番または5番のりば「戸塚バスセンター行」「大船駅西口行」乗車、「藤沢橋」下車

《墓所案内》時宗総本山 遊行寺墓苑

墓苑はお寺の境内にあり、バス停から徒歩2、3分です。駐車場もあるので車でも便利です。墓苑は緑が多く、幹線道路の近くですがおごそかで静かです。井戸があり柄杓等も完備され、清掃用具・ゴミ箱も設置されています。
檀家対象に一般墓地の区画受け付けをしており、寺が永代にわたり供養する永代供養墓があります。宗旨・宗派問わず、檀家以外でも利用可能です。永代供養料は、一霊につき100万円となっています。さらに、ペットの供養・納骨も受け付けています。

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ページが見つかりませんでした-一遍上人を宗祖とする時宗の総本山、神奈川県藤沢市

まとめ

一遍上人の教えを守り続けてきた湘南の古刹である時宗総本山遊行寺の歴史や墓苑についてご紹介しました。湘南にお出かけの際には、海辺の喧騒をはなれ、しっとりと遊行寺や遊行寺坂周辺を散策してみてはどうでしょうか。