墓相(ぼそう)とは、家相のように、お墓の向きや形などが家庭円満や運気向上、健康長寿、子孫繁栄などに影響を及ぼすという考えを持つ占いの一種です。墓相学とも呼ばれ、仏教を由来とするものではないと考えられています。
墓相にはさまざまな流派があり、同じ方角でも流派によって意味が違う場合もあります。
そこで今回は、お墓の向きや形、色、大きさなどさまざまな観点から、墓相で吉凶とされる代表的な例をご紹介します。お墓の建立や改葬を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
方角と墓相学
まず、墓相学で注目すべき点は「お墓の方角」です。
よいとされる墓石の方角は、南、東南、東です。中でも東南向きが最もよい方角とされています。
逆に好ましくないとされる方角は、北西、南西、北東です。北西向きにお墓の入口を設けると火事にあったり、病気になったりと不幸を招くとされています。また、南西向きはケガや自殺、北東向きは夫婦別居や急死などの災いが起こるといわれています。少なくとも災いをもたらすといわれている鬼門である北東と裏鬼門の南西は避けたほうが無難です。
墓石と墓相学
墓石の形
「墓石の形」にも墓相があり、棹石、上台石、下台石の三段重ねがよいとされます。
棹石は子孫繁栄、中段は家業の盛衰、下段は資産を表すとされていて、和型の墓石はこの三段式のものが一般的です。なお、すべて同じ種類の石でないと家庭内で意見が対立するといわれています。
最近では、仕事や趣味にちなんでデザインされた墓石の人気が高く、デザインに凝った墓石を建立する方が増えています。
しかし、墓相では特徴的な形の墓石は、生まれた子どもが早逝するなど子孫が断絶するとされています。猫足型の墓石は、家庭不和や浪費、足の病気になるといわれます。また、長細い墓石は養子になり早死者が出るとされています。奇をてらった墓石は凶相である可能性が高くなるようです。
墓石の色
「墓石の色」も墓石の吉凶に影響を及ぼすとされています。
例えば、赤色の墓石は家庭不和や火災、病気を引き寄せるといわれます。青色の墓石は災害全般や病気を、黒御影石は災難や災害を引き寄せて身内から犯罪者を出すともいわれています。
また、自然石で作った墓石は子孫が断絶してしまうともいわれています。霊園の中で同じ様式のお墓が立ち並ぶようになったのは、これらの凶相を避けるためにそうなったといえます。
納骨室
遺骨は土に還すべきであると考えられています。
そのため、納骨室の底を石やコンクリートで固めるのはよくないとされています。いつでも土に還られるように、納骨室の底は土間のままにしておきます。
お墓の大きさ
さらに「お墓の大きさ」も墓相には影響します。
見上げるほど大きいお墓は運気が下がり、逆に見下げられるような家庭になるとされています。墓相学では、自分たちが今あるのは先祖のおかげであると考えます。そのため、事業が成功して大きく財を成したとしても、先祖の墓よりも大きな墓を建てると運気が下がるとされています。
だからと言って小さすぎるお墓もよくないといわれています。大きな墓を建てたい場合は先祖のお墓も含めて建て替えるとよいそうです。
先祖を祀る「五輪塔」の墓相
墓地にお墓参りに行かれた際に、下から順に、方形・円形・三角形・半月形・宝珠形の石を重ねた形のお墓を見たことがある方も多いでしょう。これは「五輪塔」といって、平安時代から江戸時代中期にかけて主流であったお墓の形です。
五輪塔は、仏教における五大要素を表現しており、地(方形)・水(円形)・火(三角形)・風(半月形)・空(宝珠形)を表しています。
墓相学では墓地内に先祖のお墓をまとめる際には、五輪塔を建てるのがよいとされています。
周囲環境と墓相学
お墓の周囲環境も吉凶に影響します。
墓相学では、「墓地の土」は赤土を敷き詰めるとよいとされています。古来より赤色・朱色は、生命力のある色で災厄を防ぐとされています。墓地や納骨室の底に赤土を敷き詰めることは、故人が安らかに眠れるようにという願いが込められています。
一方で、凶相となるのが小石を敷き詰めた場合です。異性問題が生じたり相続人が亡くなったりするとされています。コンクリートや板石を敷き詰めると財産を失ったり、その土地から離れないといけなったりするともいわれています。
他にも、他家の墓の敷地を通らないといけないお墓は商売が発展せず、扉や鎖、閂(かんぬき)の掛かった入口を設けた場合は、裁判沙汰が起きるという相になります。また、木の下にあるお墓は病人が多く出るとされ、実のなる木はさらによくない環境と考えられています。高圧線や電線の下にある場合は変事が起こりやすく、お墓の敷地内に竹の根が入るとお金に苦労し、病気を招くといった見方をします。さらに、木の陰にあるがあたりにくいお墓や崖下や窪地、湿地帯、山頂にあるお墓もよくないとされます。
コンクリートや板石を敷き詰める
他家の墓の敷地を通らないといけない
扉・鎖・閂の掛かった入口
木の下にある
高圧線や電線の下にある
お墓の敷地内に竹の根が入る
木の陰にある
崖下・窪地・湿地帯・山頂にある
吉相墓とは?
墓相に基づいて建てたお墓のことを、「吉相墓(きっそうぼ)」といいます。
吉相墓は、先祖を祀る五輪塔を建てるなど一般的なお墓に比べて広い区画が必要で、費用も高額になります。吉相墓を建てたいからといって金銭的に折り合いのつかないお墓を建立することはおすすめできません。墓相学上のどの吉相を取り入れるのかを絞っておくとよいでしょう。
吉相墓は建てるべき?
Q.お墓は、南向きがよいとか、北向きはよくないとかよく言われますが、お墓を建てる時、墓相を気にする必要がありますか?
墓相は、仏教に由来とするものではなく「占い」の一種なので、特に気にする必要はありません。
お釈迦様の骨は方角に関係なく、因縁のあった八つの場所に葬られたという事実もあります。お墓は故人や先祖の安らかな眠りを願う場所ですので、手入れしやすく、いつでも墓参りしやすいお墓を建てることが大切です。
しかしどうしても墓相が気になる…という方は以下の記事を参考にされてはいかがでしょうか。
まとめ
お墓の向きや形など、さまざまな観点から墓相学で吉凶とされる代表的な例をご紹介しました。
しかし、墓相にあまり囚われすぎるのもよくありません。お墓は故人や先祖の安らかな眠りを願う場所です。手入れしやすく、いつでも墓参りしやすいお墓を建てることが大切です。
お墓の建て方や墓相のことで相談したい、霊園・墓地を探しているという方は、「いいお墓」までお気軽にご相談ください。