インドから最初に仏教が伝わった、タイ最古の町“ナコームパトム”
お参りに来てきていた大学生の祈りは“地元をもっと良い町にしたい”
仏教の町にそびえ立つ世界最大の仏塔
首都バンコクから西に約55㎞にあるナコームパトム県。広大な水田に畑作、果樹園も広がるローカルな町。慌ただしいバンコクの雑踏からも車で1時間30分程、日帰りの気分転換にもちょうど良い立地です。
「ナコームパトム」とは「最古の町」の意味があり、更にここは、インドの僧侶がインドシナ半島に初めて仏教を伝えた場所、つまりここがタイで初めて仏教が伝来された町なのです。
仏教の町のシンボルとして君臨するお寺が、ワット・プラパトムチュディ。そこには周囲の全てと比較にならない大きさの仏塔があり、その高さは120mを越え、世界最大級なのです。異次元の要塞のような釣鐘型は町のどこからでも見えますが、近づけば近づくほど、その巨大さに圧倒されることになるでしょう。
プラパトムチュディは、4世紀頃にモン族が40mほどの仏塔を建てたという説や、3世紀頃にインドのアショーカ王によって建てたられた説もあるのですが、いまだにいつ誰が建てたのかは明確でありません。
300mの回廊を歩く
仏塔の正面、真っ白のお城のような祠には、シンプルな姿で、美しい光沢を放つ像がそびえ立ちます。スコータイから運ばれた高さ約7mの立像にはラーマ6世の遺骨が納まっていることから、参拝者が絶えることはありません。
先ずはこの周辺の仏様へお花をお供えし、金箔を貼ってお参りをします。タイでは仏像に小さく薄い金箔を貼ってく作法があります。何重にも張り巡らされた金箔が仏像を覆い、一枚一枚に人それぞれの想いが入っている重々しさを感じます。
仏塔を廻る回廊は300mもあり、様々な仏様が並びます。タイでは曜日ごとの仏様があり、自分の生まれた曜日の仏様にお参りをするという習慣があります。日本では「何曜日生まれ?」と聞かれても答えられる人は中々いないでしょうね。
カラーン!カラーン!と鐘を鳴らす音があちこちの鐘楼堂から聞こえます。これは仏様へ参拝に来たことを知らせる音、また大きければ大きいほど自分が成長できるとも信じられているそうです。この時ちょうど夕方の5時、スピーカーから境内に読経が響き渡り、夕暮れ時の鐘の音と合わせて、周囲はいっそう厳かな空気に包まれました。
正門の反対側、仏塔だけでなく有名なのがこちらの涅槃像です。世界的に有名なバンコクのワット・ポーはどの長さはありませんが、見ごたえは十分。逆にワット・ポーよりも全体が見えて拝みやすいとも感じました。観光客で溢れていることもないので、ここならゆっくりと手を合わせることができます。
地元をもっと良くしたいと祈る大学生
仲良く歩いていた二人の女性にお話を聞いてみました。
—このお寺にはよく来るのですか?
はい、私たちは地元なのでいつもここにお参りしてます。
—どんなことをお参りするのですか?
家族と親戚の健康や商売繁盛、あと自分の成績が上がるようにです。
—学生さんですか?何を勉強してるのですか?
私たちは大学の一年生です。大学では社会を開発すること、社会をもっとよくする勉強してます。大学で学んだことを生かして将来は公務員になって、この町をもっと良くしたいんです。