【アジアの聖地から】ベトナムで最も古い中華系寺院 – 天后宮(ベトナム)

ベトナムで最も古い中華系寺院“ 天后宮”

人々を海の事故から救った不思議な能力、中国福建省の島に生きた“媽祖”の伝説。
ベトナムテレビの美人MCさんが、たくさんのご利益を教えてくれました。

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海の女神 媽祖の伝説

ベトナムの首都ホーチミンのチャイナタウンと言われるチョロン地区に、天后宮(ティエンハウ)という中華系のお寺があります。
ベトナムは千年もの中国の支配を受けていた歴史があるので、中華系のお寺は珍しくありません。その中でもこの天后宮は1760年頃に建てられた最も古い分類に入る中華系寺院。確かに屋根瓦や壁の色あせた具合が歴史を感じます。

天后宮というのは、媽祖(まそ)という、航海の女神を祀っている祠を意味します。
媽祖とは元々は神仏ではなく、10世紀頃に実在した女性という伝説があります。中国福建省の島で生まれたこの女性は、生まれながらに不思議な能力を持っていました。

媽祖は人の未来を占い、災害を予言、病や災いから人を守りました。更に座って海を渡り、雲に乗ったなど、超人的な力を発揮したのです。
特に海での事故から数多くの人を救ったことに人々は感謝し、媽祖が亡くなった後も、海に漂う木くずを媽祖に見立てて祠に祀り、航海の安全を祈ったのです。

海難から人々を救った媽祖が祀られる本堂

いつしかその信仰は中国全土に広がり、媽祖信仰とまでになり、媽祖は道教の神になったのです。
媽祖を祀る天后宮は故郷の中国、そして台湾や香港だけでなく、ここベトナム、更には日本の港町、横浜や長崎でも祀られ人々を海から守っているのです。

媽祖の尊称“天后聖母”と刻まれた特大の香炉

見事に渦を巻く特大のお線香

天后宮で有名なのはもう一つ、大きな渦巻き線香です。塔香と呼ばれる通り、仏塔のような三角形をしたお線香。中には一ヶ月も燃え続けるものもあり、燃え尽きた時に願いが叶うとされています。
その塔香は天井に何列にも吊るされていて、これは日本のお寺では見たことのない光景。参拝者は上からは塔香、香炉からは太いお線香の真っ白な煙に覆われ、神秘的な空間でお祈りをしていました。

天井に何列にも吊るされた塔香

更に屋根瓦の上の細かい彫刻も見ごたえがあります。そこには古代の中国の人々やお城が刻まれているのです。特に注目してほしいのは本堂の屋根の中央、そこには三国志の英雄“関羽”いるのです。
霊力が高いと信じられていた関羽は没後に神となり、関羽を祀る関帝廟が中国各地、そして日本にも建立されたのです。

屋根には中国の人々が細かく刻まれてます

ベトナムテレビの美人MCさん

ザワザワと10人ほどの人だかりがあり、中心には三台もの大きなカメラ。レンズの先ではとてもきれいな女性が微笑みながら何かを説明していました。
ドラマかニュース番組か、一般人の撮影ではないことは一目瞭然でした。この女性にお寺のことを聞こうと、撮影の区切りがつくのを待つことにしたのですが、女性も外人の私に直ぐに気付いて「どうかしましたか?」と尋ねてくれました。

ベトナムテレビ旅番組の撮影と遭遇

今日は何の撮影ですか?タレントさんですか?
「私はベトナムテレビのMCをやってます。今日はベトナムの旅行と文化を紹介する番組の撮影で来てます」

このお寺は何のご利益で有名ですか?
「媽祖はとても有名ですが、海難事故から守ってくれるだけでなく、子宝、結婚、健康、色々なご利益がありますよ。今日は撮影ですが、私はプライベートでも何度も来てます。いつも人々の平安と自分や家族の健康を祈ってます」

とても美人できさくなMCさん。撮影中にも関わらずお寺の魅力をたくさん教えてくれました。

気さくで美人のベトナムテレビのMCさん