【アジアの聖地から】道教の最高神を祀る寺 – 玉皇上帝寺(ベトナム)

オバマ元大統領が参詣したことで世界的な知名度に。

子宝祈願に絶大なご利益。地元の旦那さんいわく「生まれる確率は98%!」

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オバマ元大統領が参詣

ベトナム最大の人口800万人を誇るホーチミン市。政治の中心である首都ハノイに対して、ここは経済の中心都市です。

この経済都市ホーチミンの中で更に商業の中心である1区に、1900年初頭に建立された玉皇上帝寺(ぎょくこうじょうていじ)があります。「ベトナムで漢字?」と思う方もいるでしょうが、ベトナムは千年もの中国の支配を受けていた漢字文化圏なのです。

日本では殆ど知られていないお寺でしたが、2016年に当時のアメリカ大統領オバマ氏が参詣したことで、その姿は世界に配信されました。

このお寺には「玉皇殿」や「福海寺」など、日本的な別名もあり親しみが沸きます。

ベトナムの知人は「福海寺(フゥックハイトゥ)」と呼んでいたので、現地ではその呼び名が一般的なのかもしれません。さらに「ピンクのお寺」としても名が通っていて、山門から本堂までピンク色の外壁とお堂が続きます。

参道には池があり、そこにはたくさんの亀が飼われています。この亀も有名でまたの名は「亀の寺」

いったい幾つ別名があるのでしょう。

山門から本堂まですべてピンク色

道教の最高神 玉皇上帝

玉皇上帝というのは道教における最高の神、天界の支配者です。

しかしこのお寺にはお釈迦様や観音様も祀り、さらには儒教の聖人の像も見られます。

ベトナムは中国から大乗仏教が伝わり、同時に道教の教えも普及しました。そしてベトナムの寺社には、歴史上の偉人を祀る習俗もあることから、こうした宗教混在の寺院が存在するのです。

本堂入口で立ちはだかる武士の守護神

本堂がある玉皇殿に入ると、口ひげ、ほおひげを胸まで伸ばした迫力ある守護神が本堂を護っています。

これは中国の武士。道教の寺院では蜀漢の武将・関羽を筆頭に、三国志の英雄を神として祀ることが珍しくないのです。

その先には、「照普光佛」の冠のもと、千手観音や布袋様、何体もの仏様が鎮座されていました。オバマ元大統領が時間をかけて手を合わせていたのがこの仏殿です。

オバマ元大統領が手を合わせた仏殿

玉皇上帝は一番奥の内陣で構えています。上帝は目をカッと見開き、威嚇するかのように口を大きく開けて天井の高さから参拝者を見下ろします。そして上帝を扇の中心とし、両脇から幾人もの武士が弧を描いて並びます。武士は重々しい鎧に鋭く長い剣、敵に雄叫びを上げているかのような表情。

ここは本殿で一番暗く狭い行き止まり。そこで灯明と仏具の明かりだけで浮かび上がるこの上帝と武士に囲われるのです。これには怖さを感じるほどの圧迫感がありました。

道教の最高神・天界の支配者「玉皇上帝」

子宝祈願に絶大なご利益

笑顔があふれる幸せそうなご家族に出会いました。旦那さんはここが地元。二才の子供を抱っこした奥さんのお腹はふっくら、二人目がいるそうです。

「このお寺のことなら何でも聞いてよ。俺はここが地元だから何でも知ってるよ。小さい頃からここが遊び場だからね。

子供が欲しかったらこのお寺に夫婦でお参りすれば生まれるよ。

産婆さんの部屋があったでしょ。あの部屋でお参りして。

ここは男女の産み分けもできるから、男の子が欲しければ男の子用の服をお供えして。女の子なら女の子用ね。

この娘もここでお参りしたら生まれたから、次は男の子が生まれるようにお願いしてきたんだ。

俺の統計だと生まれる確率は98%だね!

男の子の誕生をお祈りした素敵なご家族

赤ちゃんを抱っこする20体の産婆さん