六地蔵とは、お地蔵さまが六体並んでいる像のことです。お墓参りに行くと、お地蔵様を見かけることがあると思います。ほとんどの場合は、1体ではなく、6体並んでいらっしゃるのですが、見過ごしている方も多いのではないでしょうか。
このお地蔵様がお墓にいらっしゃるのには、ご先祖様や亡くなった家族、友人にもかかわる、深い意味があるのです。今回は、お地蔵様についてご紹介します。
お地蔵様はどのような役割を担うのか
仏教は仏であり、その教えである法、また法の実践者である僧からなる三宝を中心になっています。ご存知のように多くの仏様が存在していますが、この世界に最後に存在した仏様がお釈迦様です。そのお釈迦様が入滅した後、この世界では仏様がいないというのが仏教の教えです。
そして、仏様がいないこの世界で、私たちを救ってくれると考えられているのが地蔵菩薩なのです。
仏様のいない世界での救い
お釈迦様が入滅後、56億7000万年後(5億7600万年という説もあり)に、この世界に新たな仏が現れるとされています。それが弥勒菩薩です。途方もない年月ですが、「菩薩」というのは、仏(如来)になるために修業中の方を表す言葉です。ですから、弥勒菩薩も修業を繰り返し、輪廻転生を繰り返して、仏となってこの世界に現れるのです。
しかし、56億7000万年という長い間、仏様はこの世界にいません。その間に私たちを救ってくださる方はどなたなのでしょうか。
実は、その方こそ地蔵菩薩なのです。
あらゆる世界で私たちを救ってくれる地蔵菩薩
地蔵菩薩は、仏が不在のこの世界で、煩悩に苦しむ衆生を救ってくださいます。それは、仏教における考え方、「六道」すべてで行われているのです。
六道とは、私たちが生まれ変わる可能性があるすべての世界です。罪を償う「地獄道」、困った人を見捨てた罰としての「餓鬼道」、動物として生まれ変わる「畜生道」、常に戦いを強いられる「修羅道」、煩悩を抱える「人間道」、天人が住むとされる「天道」があります。
地蔵菩薩は、このすべての世界に出向き、衆生を救済してくれるのです。
地蔵菩薩の原点とは
地蔵菩薩の原点は、インドの神様です。当時のインドの言葉であるサンスクリット語では、クシティガルバと言います。
これは、クシティは「大地」、ガルバは「胎内」という意味となり、大地の母胎と言われます。この言葉が、中国に伝来し、地蔵と訳されたと考えられます。
地蔵菩薩は、すべてのものを包み込む母親の胎内のようにすべての人を救済してくれる、慈悲深い方なのです。
六地蔵とお墓の関係
地蔵菩薩がどのような方かわかったところで、次にお墓との関係をご紹介します。
お墓に六地蔵がある意味
地蔵菩薩が霊園や墓地にいらっしゃるのは、ご紹介したように亡くなった方を救ってくださると考えられているからです。
どこにいても、地蔵菩薩は姿を変えて私たちのそばにいてくださいます。
六地蔵というのは、諸説ありますが、地蔵菩薩が六道に行くために姿を変えたもので、檀陀地蔵、宝珠地蔵、宝印地蔵、持地地蔵、除蓋障地蔵、日光地蔵などと呼ばれます。
お墓以外でも地蔵菩薩の像は多く見られ、人々の信仰によりさまざまな姿と呼称があります。災厄の身代わりになってくれる「身代わり地蔵」、水子を供養する「水子地蔵」、ユーモラスなものだと、お蕎麦を備えると願いがかなう「蕎麦喰い地蔵」なども存在しています。また、昔話の「笠地蔵」など、同じ菩薩でも観音様よりも、日本人にとってはより身近で、親しみやすい印象があります。
お墓でお地蔵様がある位置や方角など
墓地や霊園でお地蔵様の像がある場合、入り口付近にあることがほとんどです。さまざまな宗教の方が眠る大型霊園では、お地蔵さまはありませんが、仏教式の墓地の入り口には多くの場合お地蔵さまがいらっしゃいます。
これは、この世とあの世の境界にお地蔵様を置き、神聖なお墓に魔が侵入するのを防ぐためといわれています。お地蔵様が安らかに眠る故人を守ってくれているというわけです。
建てられている方角は、あまり統一はされていないようですが、宗派によっては、浄土がある西を向いて設置されることもあるようです。また、黄泉の国があるという北向きに設置されることもあります。
もちろん、宗派によって設置するかしないかは、分かれる場合もあります。しかし、亡くなった後もずっと見守ってくれて、救いの手を差し伸べてくれるお地蔵さまが近くにいらっしゃるというのは、非常に安らかな気持ちになれるのではないでしょうか。
まとめ
お地蔵さまは、仏様の代わりに私たちを救ってくれる方です。どの世界に居ても、姿を変えて、つねに私たちのそばにいてくれるのです。
そして、お墓では、故人が安らかに眠れるように、魔が付くのを食い止めてくれる存在でもあります。ぜひ、お墓探しの参考にしてください。
葬儀やお墓のことで、ご質問や金額のご相談などございましたら、どうぞ、お気軽にご連絡ください。