「御室仁和寺」と「龍安寺」。2つの世界遺産に挟まれた場所に位置する住吉山墓地。
周辺は四季折々の自然が楽しめ、平安貴族にも愛された風光明媚な景勝地です。また、周囲にはいくつもの天皇陵が点在し、古来より葬送の地とされてきました。
京都市の市営墓地のため、費用を抑えてお墓を持てて管理も安心な、住吉山墓地をレポートします。
住吉山墓地の最寄り駅からのアクセス
最寄り駅近辺
住吉山墓地の最寄駅は京福電鉄北野線「御室仁和寺駅」です。
駅から徒歩約13分ほどで到着します。京福電鉄は「嵐電(らんでん)」の愛称で観光客や地元住民に親しまれています。
撮影所前でJR嵯峨野線に、帷子ノ辻で嵐山本線に乗り換えれば、嵐電嵯峨駅で京都市営地下鉄東西線、西院と四条大宮では阪急京都線にと各方面にアクセス可能です。
御室仁和寺駅から北に向かうと、世界遺産「御室仁和寺」の仁王門に突き当たります。
門の前を通っているのは、仁和寺から龍安寺を経て金閣寺へと3つの世界遺産をつなぐ「きぬかけの路」と呼ばれる全長約2.5kmの観光道路です。
きぬかけの路の愛称は、宇多天皇が真夏に雪見をするために衣笠山(別名きぬかけ山)に絹を掛けたと伝えられる故事にちなむそうです。
きぬかけの路を龍安寺方向に進むと、「御室」のバス停があります。
京都駅や高尾・周山方面からのJRバスはここが最寄りのバス停です。
ここから住吉山墓地まではおよそ徒歩8分ほどです。
さらに進むと京都市バスの最寄りのバス停「塔ノ下町」があります。
ここから住吉山墓地までは5分ほどです。
このバス停には地下鉄今出川駅や四条京阪前を通る59系統が、昼間は1時間あたり4本ほど停車します。59系統は立命館大学前に停まるため、通学の時間帯は混雑します。
また、御室仁和寺・竜安寺前・わら天神前・金閣寺道にも停車するため、観光シーズンは特に混み合います。
住吉山墓地入口近辺
緩やかな坂を150mほど登ると、きぬかけの路の石碑があり、そのすぐ脇に住吉山墓地入口があります。
住吉山墓地入口付近はゆるやかな石段です。しっかりと整備されており手すりもあるため、お歳を召した方でも登りやすいと思います。
石段は途中から傾斜が多少急になりますが、それでも普通の建物よりも緩やかです。おおむね1階から3階に登るくらいのイメージで、スイスイ登りきることが出来ました。
石段を登りきれば、住吉山墓地に到着です。
住吉山墓地の周辺環境
住吉山墓地周辺には見どころも多くあるため、お墓参りがてら立ち寄るのも良いのではないでしょうか。
御室仁和寺
「御室仁和寺」は仁和4年(888)に創建された寺院で、真言宗御室派の総本山です。 境内には五重塔や二王門など江戸時代に建立された建造物が並び、平成6年には世界遺産に登録されました。
五重塔などと同時期に植えられた「御室桜」は4月中旬に見頃を迎える遅咲きの桜です。
川端康成の小説『古都』の中にも「御室の桜も一目見たら、春の義理が済んだようなものや」とあり、桜シーズンの最後を飾ります。
春の霞のような桜雲越しの五重塔は、京都の春を代表する風景のひとつとなっています。
龍安寺
「龍安寺」は住吉山墓地から徒歩8分ほどのところにある臨済宗妙心寺派の禅寺で、世界遺産に認定されています。
イギリスのエリザベス女王が1975年に日本を訪問した際に石庭を見学し、絶賛したことが海外のマスコミでも報道されたこともあり、現在では世界的に有名な日本庭園となっています。
住吉大伴神社
「住吉大伴神社」は住吉山墓地入口のきぬかけの路を挟んだ反対側にあります。
古代の豪族「大伴氏」ゆかりの神社です。
宇多源氏始祖追遠碑
住吉山墓地へ向かう石段の途中右手にわかれる道があり、その先に石の鳥居と石碑があります。
「宇多源氏始祖追遠碑」は、宇多源氏の始祖とされる源雅信追遠のために子孫が建立した碑とのことです。
住吉山墓地の環境
住吉山墓地の所在地は右京区御室住吉山町で、京都市が市民に広く墳墓を提供する目的で設置した市営墓地の中の1つで、右京区ではこの住吉山墓地が唯一となっています。
面積は37,695㎡あり、8つある京都市営墓地の中では最大の面積を誇ります。
周囲を木々に囲まれており非常に静かな環境で、住吉山の頂上から南西側斜面を切り開いて造られたため、日当たりの良い場所が多いのも特徴です。
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住吉山墓地の区画
住吉山墓地は利用者が自然発生的に開拓を行った墓地のため、区画の大きさや立地はまちまちで、区間についての案内は現地にはありません。
入口付近の区画
入口付近の区画は比較的段差が少なく、水汲み場や休憩場所から近い上、日当たりも良い好立地からか、大きく立派なお墓が多く並びます。
頂上付近の区画
頂上付近は入口から遠くかなりの階段を登る必要があります。
しかし、日当たりが良く、京都盆地を見下ろす眺めの良さからか、周辺には新しいお墓が多く建てられています。
霊園中央辺りの区画
霊園の中央辺りは木々が多くひっそりとした印象を受けます。
頂上付近に比べると入口からの高低差は少ないですが、舗装されていない通路も多くややお墓参りはしづらいです。
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住吉山墓地の設備
ゴミ箱は数ヶ所設置されていますが、トイレや売店、自動販売機などはありません。
管理人は駐在していませんが、ゴミの回収や草刈り等は京都市により定期的に行われています。
バケツやひしゃく、掃除用具などの置き場は2ヶ所あります。
置いてあるものはいずれも個人所有のようでした。墓地の数に対して置けるスペースは少ないため、自宅から持参したほうが良さそうです。
入口から続く階段を登ってすぐのところに屋根付きの休憩場所があります。お墓参りの前や後にひと休みすることができます。
水道は園内に複数ヶ所あります。
山頂の近くでも水を汲むことが出来るため、水を入れた重いバケツを持って坂道を上がらなくても良いのは助かります。
住吉山墓地に専用の駐車場はありませんが、仁和寺や龍安寺が近いことから周囲には有料駐車場が点在します。自家用車で来園する方は、これらの有料駐車場を利用しているそうです。
また、駅周辺にも花や線香など売っている店舗は見当たりませんでしたので、しっかり用意してからのお墓参りが必要です。
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住吉山墓地全体の雰囲気
古くからある霊園にもかかわらず、ほとんどの区画で砂利を敷き詰めるなどしっかりと手入れがされています。新しい墓石も多く、利用者に愛されている霊園だということが感じられます。
住吉山墓地内の広い通路については概ね舗装されていますが、場所によって未舗装箇所もあります。また、山の斜面に造られた霊園のため、非常に段差が多いのも特徴です。
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住吉山墓地利用者の募集について
住吉山墓地は現在新たな造成を行っていませんが、墓じまいなどで返還された区画について不定期で利用者が募集されます。平成26年には60区画の募集があったようです。
募集の告知は市民しんぶん(全市版)及び京都市のホームページで行われます。住吉山墓地にお墓を持ちたいと考える方は、京都市保健福祉局に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
平成26年の募集の際、申込みは現地にて行われました。このため、入口に近いところや眺望の良い場所、あるいは木々に覆われた静かな区画など、自分の目で見てから選んで申し込むことが可能です。
なお、利用者の決定は先着順となりますが、募集開始時に申込み区画が重複した場合は抽選になるとのことです。
申込み資格
市営墓地のため宗旨宗派は自由で指定の石材店はありませんが、京都市内在住で、住民票により居住が確認できる方(法人は不可)などの制約があります。また、すでに市営墓地を使用されている方は申し込みをすることはできません。
なお、京都市市営墓地条例施行規則第8条により、使用許可後1年以内に石材やコンクリートなどで使用する墓地の区画を明示する必要があります。
費用
使用登録時に納める墓地使用料は1㎡あたり第1区30万円、第2区24万円、第3区18万円、第4区12万円となっています。これは、京都市営霊園の中でも比較的低価格となっています。霊園内でここまでが第1区などとわかるような目印はありませんが、入口からの距離などの立地条件で概ね区分されるようです。
また、毎年納付する墓地管理料はすべての京都市営墓地共通で、1㎡当たり1,900円です。
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まとめ
海外からの観光客や修学旅行生からも人気の観光地にありながら、静かで趣のある住吉山墓地は自然豊かな立地と、自治体管理という安心感が魅力です。
京都市内で費用を抑えてお墓を持ちたいと考える方は、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。