京都市東山区にある京都市営地蔵山墓地。人気の観光地からほど近いにもかかわらず、周囲は歴史ある寺院や京都女子大学・住宅街という静かで心安らぐ霊園です。
環境の良さ以外にも、お墓参りのしやすさ、費用の安さと三拍子揃った地蔵山墓地をご紹介します。
地蔵山墓地の最寄り駅からのアクセス
地蔵山墓地は、最寄り駅の京阪本線七条駅から徒歩約20分ほどのところにあります。
改札を出たら、エレベーターのある7番出口または4番出口を使うのが便利です。出口からは、鴨川を背に山に向かって七条通りを歩きます。
京都駅からも約2km圏内のため、タクシーを使ったり散歩がてら歩くのにも良い距離です。
七条通りを10分ほど歩くと、智積院に突き当たるので左に曲がります。
智積院前には「東山七条」のバス停があります。
京都市バスを利用する場合はここが最寄りとなります。18,100,202,206,特206,207,208と多くの系統が停車する上、墓地まで徒歩約10分と、市内各地からのお墓参りに便利です。
東山七条交差点を智積院に沿って右に曲がります。
この道は豊臣秀吉のお墓である「豊国廟」の参道となっています。別名「女坂」と呼ばれ、桜の名所でもあります。
豊国廟の駐車場に突き当たったら右に曲がります。
地蔵山墓地には駐車場はないため、車でのお墓参りは有料となりますがこの駐車場を利用するのが良さそうです。
また、京都駅と京都女子大学を結ぶ「プリンセスラインバス」の終点にもなっています。プリンセスラインバスを利用すれば、下車後約3分で地蔵山墓地に到着します。
京都女子大学に沿って進みます。
道なりに進んだ右側に、地蔵山墓地の北側入口があります。
さらに進むと南側にも入口があります。
地蔵山墓地の周辺環境
地蔵山墓地周辺は、京都市の風致地区に指定されています。
風致地区とは、良好な自然環境や美しい街並み、歴史的建造物を守るために都市計画法に基づき定められた地区のことです。
地蔵山墓地周辺は美しい景観が守られ、歴史的な史跡や寺院がたくさんあります。
智積院 能化墓地
地蔵山墓地最頂部のとなりある古い墓石が整然と並んだ一角が、智積院の能化(=住職)墓地です。
墓石には江戸時代の元号が刻まれており、長い歴史が感じられます。
陶器塚
地蔵山墓地の南側の入口には「陶器塚」があります。
碑によると、このあたりでは平安京造営時には瓦が焼かれ、東本願寺の明治大改修では瓦を拭く粘土を産出するなど古来から焼物の産地だったそうです。
大正時代には京式登り窯が築かれ、この地は現在の清水焼の礎となったそうです。
豊国廟
地蔵山墓地の東側にある阿弥陀ヶ峰山頂に豊臣秀吉の墓「豊国廟」があります。
秀吉が亡くなった際に葬られた廟は、豊臣家の衰退により破壊されてしまったため、現在の豊国廟は明治時代に造られたものです。
入口から500段ほどの石段を登ったところにあるため、参拝には往復で40分ほどかかります。
三十三間堂
京阪七条駅か地蔵山へ向かう七条通り沿いにあります。
千体の千手観音像が並ぶ様子には圧倒されます。昭和48年に始まった千手観音像の修復は平成29年にすべて終わり、作られた当時の荘厳な姿が現代に甦りました。
千手観音像の中には必ず会いたい人に似ている像があると言い伝えられていますので、お墓参りの帰りに故人の面影を探してみるのも良いのではないでしょうか。
京都国立博物館
赤レンガ造りの建物が印象的な京都国立博物館は、東山七条交差点の角にあります。
平安時代から江戸時代にかけての京都の文化を中心とした文化財を多く収蔵しており、平常展示のほかに特別展が1年に2~4回行われています。
日本画などが好きな方には、お墓参りのついでに京都国立博物館に寄れるのは非常に魅力的です。
地蔵山墓地全体の案内
地蔵山墓地は東山区今熊野日吉町の小高い丘の北西側に造られた、8,128㎡のこじんまりとした霊園です。
入口は北と南のほぼ端にそれぞれあり、上まで上がれる階段が北側から2ヶ所、南側から1ヶ所あります。
そのほか細かい階段は墓地内にたくさんあります。北側入口から入って、上のほうに上り、南側入口に抜けても5分くらいでしょう。
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地蔵山墓地内の区画
地蔵山墓地には第1区から第4区までの区分があり、それぞれ使用料が異なりますが、墓地内には見て分かるような区分けはありません。この区分はおおむね入口からの距離など、利便性で判断されているようです。
明治時代に周辺住民が自発的に開拓を行って造られた霊園のため、区画ごとに広さや形などが異なります。平成29年の募集時の区画サイズは1.32㎡から3.24㎡までありました。
墓地北側にある区画は、入口から近いうえ段差が少なく日当たりも良い好立地で、比較的新しいお墓が並んでいます。
北向きの斜面に築かれた石垣の上には、歴史を感じさせる佇まいの墓石が並びます。
墓地の一番上まで上がると、平らな場所が広がります。
古めかしい墓石が多いものの広めの区画にゆったりと建てられており、日当たりも良く明るい雰囲気です。
また眺望が良く、周囲の山々が紅葉する季節にはさぞかし美しい景色が見られることでしょう。
南側入口の上などには、木漏れ日が心地良い木々に囲まれた場所もあります。
安らぎを感じながら、故人との思い出に浸ることができるのではないでしょうか。
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地蔵山墓地の設備
2つある入口ともに、水汲み場が設置されています。
置いてあるバケツやひしゃくは墓地のものなので、自由に利用することができます。
お墓掃除に必要な道具も用意されています。
ほかの京都市営墓地では見られないため、利用者が自主的に揃えているのかもしれません。
きれいに並べられている様子を見ると、利用者がお墓を大切に思う気持ちが感じられます。
南側入口近くにはトイレもあります。
以前は奥にあるバケツ置き場でしきみを販売していたそうですが、現在はありません。
駅から墓地への道沿いにも花屋さんはありませんので、仏花は事前に準備が必要です。
南側入口や石段の途中にはベンチがあります。公園のようなリラックス感があり、思わずのんびりしたくなります。
自動販売機はありませんので、飲み物は持参がおすすめです。
管理人は駐在していませんが、ゴミ箱のゴミ回収や通路の除草は京都市により定期的に行われています。
石段はメンテナンスされており、グラグラして歩きにくいような場所はありませんでした。手すりは付いていない所の方が多いので、雨の後のお墓参りは特に注意が必要です。
電車やバスでのアクセスも良く、区画によっては水汲み場が近く段差も少ないので、将来のお墓参りも安心です。
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地蔵山墓地の使用者募集
地蔵山墓地では新規の造成を行っていないため、墓じまいなどで返却された区画が一定数まとまった段階で使用者の募集を行います。告知は市民しんぶん(全市版)及び京都市のホームページで行われ、平成25年には42区画、平成29年には27区画の募集がありました。
平成25年は第1区~第3区で募集がありましたが、平成29年は第1区のみの募集でした。このため希望の区画が公募に出されたときは、すぐに必要がなくても申し込んでおくのが良いかもしれません。
利用の申込みは現地で行われ、使用者の決定は先着順となります。募集開始時に申込み区画が重複した場合は抽選によって決まります。
申込み資格
市営墓地のため宗旨宗派は自由で指定の石材店はありませんが、京都市内在住で、住民票により居住が確認できる方(法人は不可)などの制約があります。また、すでに市営墓地を使用されている方は申込みをすることはできません。
なお、京都市市営墓地条例施行規則第8条により、使用許可後1年以内に石材やコンクリートなどで使用する墓地の区画を明示する必要があります。
費用
使用登録時に納める墓地使用料は1㎡あたり、第1区75万円、第2区60万円、第3区45万円、第4区30万円となっています。
京都市営霊園の中でも比較的高額ではありますが、近隣の歴史ある寺院墓地では最低でも200万円というところも珍しくないことを考えると、かなりリーズナブルと言えます。
また、毎年納付する墓地管理料はすべての京都市営墓地共通で、1㎡当たり1,990円です。こちらも価格が抑えられており、前もってお墓を準備しておきたい場合にも負担が少なく助かります。
京都市内でお墓を持ちたいと考えてる方は、将来において変わることのない静かな環境と手頃な費用、自治体管理の安心感と魅力たっぷりの地蔵山墓地を、候補にしてみてはいかがでしょうか。
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