臨済宗大徳寺派の大本山「大徳寺(だいとくじ)」は、テレビアニメでも知られる「一休さん」を輩出した京都の由緒ある寺院です。ここでは、大徳寺の歴史と見どころを紹介します。
大徳寺とは
大徳寺は、鎌倉時代末期に開創された臨済宗大徳寺派の大本山で、「一休さん」こと一休宗純ら数々の名僧を輩出しています。豊臣秀吉が織田信長の葬儀を営み、領地を寄進したのをきっかけに戦国武将をまつる分院が相次いで建てられ、隆盛を極めました。
京都有数の広さを誇る境内には24カ所の別院や塔頭(たっちゅう)が並び、檀家制度で栄えた時代の名残を今も感じることができます。
大徳寺の歴史と見どころ
大徳寺は鎌倉時代末期の正和4年(1315年)に、宗峰 妙超(しゅうほう みょうちょう)により開創されました。宗峰は「大燈国師」という名でも知られています。山号は龍宝山(りゅうほうざん)で、本尊は釈迦如来です。
応仁の乱で大半が焼失しましたが、「一休さん」のモデルになった一休宗純が、堺の豪商の援助を受けて復興し、その後も栄えました。茶の湯とも縁が深く、重要文化財に指定された茶室が多く残されています。
大徳寺の境内は自由に立ち入ることが可能で、厳かな雰囲気の中を散策することができます。
また、多くの塔頭や本坊は一般非公開で参詣を受け付けていませんが、例年、秋の紅葉の季節に特別公開が開催され、貴重な美術品や建造物を鑑賞したり、御朱印を受けたりすることができます。
別院・塔頭合わせて24カ所のうち、枯山水庭園で有名な「大仙院」、戦国大名・細川氏菩提寺の「高桐院」、戦国大名・大友宗麟が建立した「瑞峯院」、大徳寺で最も古い塔頭の「龍源院」の4カ所は常時拝観可となっています。
拝観料は大仙院、瑞峰院が大人400円、龍源院が大人350円です。
大徳寺への交通アクセスは、市営地下鉄烏丸線「北大路駅」から市バス206号系統(清水寺方面行き)で「大徳寺前」停留所下車徒歩6分です。車で行く場合、駐車場は2時間500円です。
大徳寺本坊
大徳寺には庭園、茶道具、書画など多くの文化財が残されています。重要文化財にもなっている「三門(山門)」は、千利休が上層(2階部分)の金毛閣に自身の像を安置したことで秀吉の怒りを買い、切腹の一因となった逸話で有名です。
大徳寺の国宝建築の一つ、「方丈」は前後2列、左右4列の計8室をもつ特異な形式で、向かって右から2列目の2室は、開祖・大燈国師の塔所(墓所)である雲門庵となっています。方丈内部にある重要文化財「襖絵八十余面」は、狩野探幽の筆によるものです。また、方丈前庭の枯山水庭園は、国の特別名勝および史跡に指定されています。
方丈の正面には国宝「唐門」があり、西本願寺と豊国神社とともに桃山の三唐門と呼ばれています。龍や鯉などの彫刻が施され、秀吉が造営した御殿「聚楽第」の遺構と伝えられています。
大徳寺の本坊は一般非公開ですが、例年、秋に特別公開が開催されます。詳しくは、京都春秋事務局の寺院公開情報サイトでご確認ください。
枯山水の名園「大仙院」
大仙院には、国宝の本堂と国の特別名勝の枯山水庭園があります。本堂は永正10年(1513年)に建立された当時の姿をそのまま伝えており、「床の間」と「玄関」は日本最古とされています。古嶽宗亘の作と伝えられる庭園は、広大な景観をすべて石で表現しており、室町時代を代表する枯山水です。
細川ガラシャが眠る「高桐院」
高桐院は戦国大名の細川忠興が建立したお寺で、忠興と正室・ガラシャの墓があります。山水画「絹本墨画山水図」2幅は国宝に指定されています。2019年3月まで改修のため拝観を休止しています。
一休宗純が開いた「真珠庵」
一休宗純が開いた寺院で、枯山水の庭園「七五三の庭」や、国宝の巻物「大燈国師墨蹟」などで知られます。
2018年は9月1日から12月16日まで特別公開され、現代作家6名が描いた襖絵とともに通常非公開の「七五三の庭」、書院「通僊院」、茶室「庭玉軒」を見ることができます。
織田信長が建立「黄梅院」
織田信長が父・信秀の菩提を弔うため建立したのが始まりです。秀吉の軍旗をあしらい、千利休が作庭した「直中庭」もあり、戦国大名と縁の深い寺院です。例年春と秋に特別公開されます。
織田信長をまつる「総見院」
織田信長の菩提を弔うため豊臣秀吉が建立した寺院です。正門、土塀、鐘、鐘楼は創建当時から残る建物で、秀吉が奉納した木造織田信長公坐像が据えられています。春と秋に特別公開されます。
茶道三千家の菩提寺「聚光院」
永禄9年(1566)に建立された聚光院には千利休の墓があり、茶道三千家の菩提寺として知られます。
孤篷庵(こほうあん)
黒田家ゆかりの龍光院の中に建てられたお寺で、重要文化財の書院式茶室「忘筌(ぼうせん)」があります。特別公開時のみ観覧が可能です。
大徳寺近くのおすすめスポット
大徳寺周辺には、仏教の戒律に沿って肉や魚を使わない精進料理のお店が並びます。ヘルシーで見た目も美しい精進料理は広大な敷地を散策した後のランチにおすすめです。
また、大徳寺周辺の名産に「大徳寺納豆」があります。納豆菌を発酵させる現代の製法ではなく、麹菌で熟成させたもので、味噌のような風味を持ち調味料にも使われます。大徳寺納豆を使った京菓子もあり、お土産に最適の一品です。
《墓所案内》大徳寺塔頭 黄梅院
毛利家の菩提寺で毛利元就、小早川隆景の墓碑があり、「黄梅院」は隆景の法名です。織田信長が父の供養のために創建し、豊臣秀吉や隆景らによって改築されました。
1聖地の総額は102万円です。市営地下鉄烏丸線「北大路駅」駅から市バス206号系統(清水寺方面行き)で「大徳寺前」で下車すると、徒歩7分の場所にあります。
《墓所案内》大徳寺塔頭 総見院
豊臣秀吉が織田信長の菩提を弔うために建立した、創建1583年の由緒ある寺院です。苑内は日当たりがよく、静かに参拝できます。駐車場も完備されています。
区画の購入は檀家のみで、永代使用料75万円からです。市営地下鉄烏丸線「四条」駅から市バス46号系統(上賀茂神社行き)で「紫野上野町」で下車すると、徒歩5分です。
《墓所案内》大徳寺塔頭 芳春院
大徳寺の塔頭では最も北側にある芳春院は、慶長13年(1608年)に利家の正室・まつが建立し、前田家の霊屋があります。区画の購入は檀家のみが可能です。
市営地下鉄烏丸線「四条」駅から市バス46号系統(上賀茂神社行き)で「紫野上野町」停留所で下車し、徒歩4分です。
《墓所案内》大徳寺塔頭 正受院
大徳寺の塔頭の一つで、連歌師の里村紹巴の墓があります。苑内は平坦で歩きやすく落ち着いた空間です。
区画は総額202万9,500円からです。市営地下鉄烏丸線「北大路駅」駅から市バス206号系統(清水寺方面行き)で「大徳寺前」停留所で下車し、徒歩7分の場所にあります。
《墓所案内》大徳寺塔頭 興臨院
室町時代に畠山義総が創建し、天正9年(1581年)に前田利家が本堂屋根の修復を行った縁で加賀前田家の菩提寺になりました。創建当時の姿が残る表門と本堂が、重要文化財に指定されています。
区画は総額217万円からです。市営地下鉄烏丸線「北大路駅」駅から市バス206号系統(清水寺方面行き)で「大徳寺前」で下車すると、徒歩8分です。
まとめ
臨済宗大徳寺派大本山「大徳寺」は、一休さんなどの名僧を輩出したほか、織田信長や豊臣秀吉ら戦国武将にもゆかりが深く、広大な敷地には数々の国宝や重要文化財など見どころが満載です。ぜひ歩きやすい服装でゆっくりと散策してみてください。