344段のらせん階段は、ここでしか見ることができない絶景への入口。
その頂上では、将来の夢に向かう大学生が一心にお祈りしていました。
国王3代に渡って建立されたお寺
タイの首都バンコク。平坦な土地が続く中、遠くからでもよく見える小高い丘の上に、金色に輝く仏塔があります。ここは仏舎利が納められていることでも有名なワット・サケットです。タイの人には「プー・カオトーン」、正に「黄金の丘」の名で親しまれています。
ワット・サケットは、14世紀にラーマ3世がアユタヤにあるワット・プー・カオトーン(黄金の山)をモデルに人口の丘を造り始めました。その後ラーマ4世が仏塔を建立、ラーマ5世が完成させるという、長い年月をかけて築き上げたものです。
仏塔まではらせん階段で上がることができるのですが、それは344段もあります。タイの炎天下の中をそんなに上ると考えるとゾッとしていまいますが、途中には疲れを感じさせない仕掛けたくさんあります。何より最後まで登った人にしか見ることができない絶景が待っているのです。
階段の途中には色も形も様々なたくさんの鐘が吊るされています。ちょっと足を止めて、カランカランと鳴らしながら進むといいでしょう。鐘には煩悩を払い、功徳を積むという意味がありますから、一つ一つに思いを込めて鳴らせば、だんだんと心が洗われるような気持ちになるかもしれませんね。
私がすごく気になったのが、このお地蔵さんたち。排水溝やブレーカーの脇、茂みの中にいらっしゃるので、探しながら上がると楽しいです。そして、この笑顔。微笑んでいるというレベルではないです。かわいい、無邪気、ちょっと独特、と印象は人ぞれぞれでしょう。
見どころ満載の仏塔、そこからの絶景
鐘やお地蔵さんを眺めながら進むと、意外とあっという間に頂上の仏塔に到着です。ゆっくり上っても20分程度でしょう。
仏塔の内部もみどころ満載です。金箔で覆われた涅槃像の見事な輝き。参拝者は親指程度の金箔を少しずつ貼っていくのが習わしです。
仏塔の中央にある、更に数段の階段の上、ひときわ丁重に祀られた仏殿。ここにラーマ5世が、スリランカから献上された仏舎利が納められているのです。
そして頂上で待っている絶景がこちらです。首都バンコクを360°一望できるのです。高層ビル、住宅街、お寺、近代的なものから、歴史を感じさせるものまでが一つのパノラマに収まっています。高所からの景色が大好きなタイの人たちも、この絶景を見たくて階段を上がっているのです。
将来の夢を一心に祈る大学生
真剣な表情でお祈りしていた三人の女性にお話しを聞いてみました。三人とも国立のシーナカリンウィロート大学の学生さん。タイ全土の大学ランキングで上位に入る優秀な大学です。
昨日やっとテストが終わったので、みんなでお参りにきました。ここのお寺は初めてですが、お寺にはよく行きますよ。今日はここで四ヵ所目です。
—タイの若い人はどんなことをお参りするのですか?
健康のこと、事故がないように、成績がよくなるように。でもやっぱりお金持ちになりたいとか、恋愛のことをお願いしてる人も多いと思いますよ。
—大学ではどんな勉強しているのですか?
私たち三人とも医学部なんです。将来はたくさんの人を助けられる医者になれるようにお祈りしてました。もちろん勉強も怠りませんよ!