17世紀から19世紀に栄えた都
カンボジアの都と言えば現在のプノンペン、そして世界遺産アンコール・ワットを建造したクメール王朝は世界的に有名ですが、首都プノンペンから約40㎞先にもウドン(Oudong)という古都があります。
17世紀から19世紀まで約250年間は、この小高い丘に都があったのです。
山頂には三つの塔がそびえ立ち、これは異なる時代の王が建立した仏塔。遠くからでも見えるウドンのシンボルです。
最盛期には100以上もの寺院が建立されていましたが、ポルポト時代の内戦によってその多くは崩壊されてしまいました。しかしそこに残る仏教遺跡群は、ユネスコの暫定リストにも載っているほどの貴重な世界的な遺産なのです。
遙かに山頂を見上げる平地の中心には、カンボジアの人々が“ウドン山のお寺”と呼ぶ大きな本堂があります。それは空と雲以外は何も見えない空間に、金色に輝く要塞のようでした。
この本堂の周辺にはいくつかの礼拝堂や涅槃像もあり、この辺りだけでも十分な観光を楽しむことができます。
300人の尼僧が修行するお寺
境内を散策していると、あちこちから出てくる作務衣を着た尼僧さん。歩いていたり、手を合わせていたり、楽しそうに談笑している方々。年齢は40代くらいから、杖を突いている方は70代くらいでしょう。この尼僧さんたちが次々に、あまりにもたくさん出てくるので驚いてしまいました。
このウドンのお寺は古都というだけでなく、尼僧が多いことでも知られているのです。
この尼僧の多さについて、現在このお寺で二番目の地位というサルーさんにお伺いしました。
現在だいたい300人くらいの尼僧がいます。
このお寺を創設した僧侶は、カンボジアの全土で布教をしました。そこでその説法を聞いた女性がもっと仏教を勉強したいと、このお寺に来るようになったのです。そうした弟子入りを希望する女性が次々に増えたことから、尼僧用の寮も建てて、更に尼僧が増えていったのです。
今やカンボジアだけでなく、中国、韓国、そしてオーストラリアやアメリカの女性も尼僧となり、ここで学んでいます。その期間は最短で一週間、次に三か月、半年、いちばん長い人で四年間住んでいる女性もいますよ。そしてここで仏教を学んで、各地に帰って布教活動をするのです。
尼僧さんのお昼ごはん
300人の尼僧さんだけでなく、男性のお坊さんも100人くらいいますので、総勢400人の方が暮らすには、さぞかしお金もかかることでしょう。
電気代だけで毎月1,000$は超えますので、今は自家発電もして節約してます。そしていちばん大変なのは食費ですが、近所の方や信者さんたちが、代わるがわる用意してくれるので本当に助かっています。
ちょうどお昼時。ぞろぞろと出てくる300名の尼僧さんがお給仕を受ける姿は圧巻の光景です。
尼僧さんたちがどんなご飯を食べるのか、ちょっと見せて頂きました。
お米の上にさつま芋、魚と野菜のスープ、ブロッコリーの炒めものに、タッパに入っているのは牛乳でしょう。女性のお昼にしては結構な量があるかとも思いましたが、皆さん修行中。食事を採れるのは朝と昼の二食だけ。夜はお茶だけですかから、お昼はこれくらいの量は食べておきたいですね。