鎌倉五山第一位の名刹として知られる臨済宗建長寺派大本山「建長寺」。
鎌倉を代表する、鎌倉観光では外せないスポットとして多くの観光客が訪れる大きな寺院です。
ここでは、建長寺の魅力や見どころをご紹介します。また、建長寺やその塔頭（子院）にある墓所についてもご案内します。
- 鎌倉を代表する名刹「建長寺」
- 建長寺境内の重要文化財／国の名勝でもある庭園は必見！
- 禅宗の精神を受け継ぐ教育機関
- 建長寺の墓所／管理の行き届いた由緒正しい墓苑
- 《墓所案内》大本山 巨福山 建長寺
- 《墓所案内》塔頭 幽谷山 回春院
- 《墓所案内》塔頭 雲閑山 天源院
- 《墓所案内》塔頭 天津山 正統院
- 《墓所案内》塔頭 天津山 正統院 – 樹木葬墓地
- 《墓所案内》塔頭 新居山 円応寺（圓應寺）
- 《墓所案内》塔頭 新居山 円応寺 – 樹木葬墓地
- 《墓所案内》塔頭 竹園山 宝珠院
- 《墓所案内》塔頭 蓬莱山 龍峰院
- 《墓所案内》塔頭 宝亀山 長寿寺
- 《墓所案内》塔頭 石屏山 禅居院
- 《墓所案内》塔頭 石屏山 禅居院 – 樹木葬墓地
- まとめ
鎌倉を代表する名刹「建長寺」
建長寺は、1253年（建長5年）に、鎌倉幕府第五代執権・北条時頼によって創建された臨済宗建長寺派の大本山です。
開山は南宋の禅僧・蘭渓道隆によって行われ、山号を巨福山、寺号を建長興国禅寺としている大きな禅宗の寺院です。本尊は仏殿に安置されている地蔵菩薩とされています。
神奈川県鎌倉市山之内に位置し、その総敷地面積は東京ドームの1.5倍にもなります。境内は「建長寺境内」として国の史跡に指定されています。
建長寺には、日本で初めて純粋禅の道場が開かれ、多いときには1,000人を超える僧侶が修行をしていたそうです。そして鎌倉五山（＝鎌倉時代に中国の五山制度にならって鎌倉の禅寺に設けられた五大官寺のこと。鎌倉で最も高い格式を持つ禅宗の寺院で、建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺の五寺を指す）の第一位にもなっています。
建長寺境内の重要文化財／国の名勝でもある庭園は必見！
建長寺の広大な境内は、国の史跡に指定されるなど、文化財の宝庫となっています。
主要な寺院建築は、国の重要文化財となっており、「三門（山門）」「仏殿」のほか、関東最大級といわれる「法堂」などがあります。
三門の横にある鐘楼には、建長寺創建当初の1255年に鋳造された国宝「梵鐘」が吊られています。法堂の奥には、大庫裏、そして重要文化財の「唐門」があり、唐門を入ると「方丈（龍王殿）」と、方丈裏には庭園があります。
三門から仏殿までの前庭は前栽列樹とよばれる宋の禅寺庭園様式で、ビャクシンの古木7本と若木1本が植えられています。樹齢750年といわる巨樹もあり、「建長寺のビャクシン」として鎌倉市指定天然記念物と神奈川県の「名木100選」に指定されています。
建長寺の「仏殿」と「唐門」は2代将軍徳川秀忠の正室であるお江の方（崇源院）の霊屋を建て替える際に東京港区の増上寺から譲渡され、1647年（正保4年）に建長寺に移築されたものです。もともと霊廟として建築された建物なので、一般的な禅宗の寺院では見られない様式となっており、このような部分に注目して鑑賞するのも面白いでしょう。
庭園（池泉庭園）は、池を中心に、中の島を設けて橋を架け、池を囲んで松やつつじを配している風雅なもので、「建長寺庭園」として国の名勝に指定されています。建長寺の庭園は、開山の祖でもある蘭渓道隆自らが作庭したものと伝えられています。
境内の最奥にある「勝上嶽（しょうじょうけん）」には、建長寺の奥の院があり、展望台からは建長寺の大伽藍、そして鎌倉の街並みと山と海を一望することができます。
禅宗の精神を受け継ぐ教育機関
建長寺に隣接している「鎌倉学園」は、1885年（明治18年）に建長寺派の師弟教育のために前身となる宗学林が創設され、現在に至ります。
卒業生としてはタレントの堺正章さんやサザンオールスターズの桑田佳祐さんなどが有名で、2003年に桑田佳祐さんが建長寺三門前の特設ステージでライブを行ったことは大きな話題となりました。
建長寺の墓所／管理の行き届いた由緒正しい墓苑
広大な敷地には多くの寺院が点在し、大本山「建長寺」をはじめとして、それぞれが管理する墓苑があります。
その中には歴史上有名な人物のお墓もあり、江戸時代初期の豪商・河村瑞賢、織田信長の実弟で文化人としても知られる織田長益（織田有楽斎）などが眠っています。
以下では、大本山建長寺と、その塔頭（境内周辺に建てられた子院）にある墓所をご紹介します。
《墓所案内》大本山 巨福山 建長寺
建長寺墓苑は、建長寺が管理する墓地で、春から夏にかけて様々な花が咲き誇る美しい境内の近くにあります。宗派は問いませんが、檀家になると法事などの時に「得月楼」が利用できます。
墓地の区画は0.36m2～で永代使用料が58万円～、年間管理費が1万300円となっています。
《墓所案内》塔頭 幽谷山 回春院
回春院は第21世玉山徳璇の塔所で、建長寺敷地の約30%にあたる8,300m2の大きな寺院です。大亀が棲むという伝説のある大覚池や豊かな森林を有しており、自然豊かな景観が特徴です。
過去の宗派は特に問われません。
※区画面積および使用料金等は条件により異なる場合があります。
《墓所案内》塔頭 雲閑山 天源院
天源院は第13世南浦紹明の塔頭です。第31世象外禅鑑によって当初は円覚寺境内に創建されましたが、火災によって焼失したため建長寺に再建されたといわれています。建長寺境内にあっても一般公開はされていないため、大変静かで落ち着いた雰囲気の寺院です。
《墓所案内》塔頭 天津山 正統院
天津山正統院は、第14世高峰顯日が浄智寺に創建したものを、のちに弟子であった夢窓疎石が建長寺境内に移設したと伝えられています。こちらの寺院には開山佛国国師像という大変貴重な重要文化財があります。
《墓所案内》塔頭 天津山 正統院 – 樹木葬墓地
天津山正統院が管理する北鎌倉四季の風樹木葬墓地は、建長寺境内にあり、静かな自然に囲まれ、穏やかな時が流れる墓苑です。
墓地使用料は60万円～80万円と一般墓地に比べて安く、後継者も必要ないため夫婦のみや独身者などに人気があります。墓地使用料については契約から50年間は個別での供養となり、その後は合祀での永代供養に切り替わります。
《墓所案内》塔頭 新居山 円応寺（圓應寺）
円応寺はもともと由比郷と呼ばれた鎌倉大仏の東側に建てられ、その後、材木座付近に移り、元禄大地震で被災して現在の建長寺境内に再建されたといわれています。本尊を閻魔大王像としていることから、「新居閻魔堂」と呼ばれ地元では信仰を集めてきました。この閻魔大王像は、作者の運慶の不思議な体験の影響で笑ったような表情に見えることから、「笑い閻魔」と呼ばれ、観光客に人気です。
現在、一般墓地の空きがないため区画・価格は公開されていません。
《墓所案内》塔頭 新居山 円応寺 – 樹木葬墓地
円応寺内にある樹木葬墓地で、静かで落ち着いた雰囲気が人気です。
《墓所案内》塔頭 竹園山 宝珠院
宝珠院は第35世了堂素安の塔頭で、大正時代の作家葛西善蔵が小説執筆のため4年間寄宿していたことでも知られています。もともとは地蔵菩薩を本尊としていましたが、盗難にあってしまったため天源院・龍源院合併の際に、譲渡された釈迦如来を本尊として現在に至ります。
現在、一般墓地の空きがないため区画・価格は公開されていません。
《墓所案内》塔頭 蓬莱山 龍峰院
鎌倉三十三観音霊場第二十九番札に指定されている龍峰院は、第15世約翁徳倹の塔頭です。もとは北条時宗によって創建されたとされており、本尊でもある重要文化財の聖観音菩薩坐像は見どころです。
墓地の区画は0.8m2～、目安購入価格は284万円～、年間護持費は20,000円～となります。過去の宗派は特に問われません。
※区画面積および使用料金等は条件により異なる場合があります。
《墓所案内》塔頭 宝亀山 長寿寺
初代鎌倉公方となった足利基氏が、父・足利尊氏を弔うために創建したのが長寿寺です。鎌倉屈指の景観が楽しめる寺院としても知られており、特に紅葉の季節には多くの観光客が訪れます。境内の五輪塔は尊氏の墓と伝えられています。
現在、一般墓地の空きがないため区画・価格は公開されていません。
《墓所案内》塔頭 石屏山 禅居院
禅居院は、第22世清拙正澄（大鑑禅師）の塔頭として小笠原貞宗が開基となって建立された寺院です。清拙正澄は京都建仁寺や南禅寺、円覚寺の住持も務めた人物です。
墓地の区画は0.36m2～、目安購入価格は190万円～となります。過去の宗派は特に問われません。
※区画面積および使用料金等は条件により異なる場合があります。
《墓所案内》塔頭 石屏山 禅居院 – 樹木葬墓地
2016年に石屏山禅居院内に開かれた新しい樹木葬墓地です。建長寺境内にあるものの禅居院は一般参拝・観覧が不可となっているため静かで落ち着いた雰囲気が保たれています。
まとめ
鎌倉の名刹「建長寺」の見どころや、ゆかりの墓所をご紹介してきました。比較的リーズナブルで永代供養もできる樹木葬から伝統的なお墓まで、緑豊かな鎌倉の地はお墓を持つのにも素晴らしいシチュエーションといえるでしょう。
建長寺へのアクセス・駐車場
- アクセス：JR横須賀線「北鎌倉駅」より鎌倉駅方面へ徒歩約20分
- 駐車場：あり（有料）
- 拝観時間：8:30～16:30
- 拝観料：高校生以上500円、小中学生200円
※支払いはすべて現金のみ