【福島発】震災から5年。福島県が誇る銘石と石材彫刻の技を全国の人たちに知ってもらいたい“ふくしまの石プロジェクト”

未曾有の大災害となった東日本大震災から、もうすぐ5年が経とうとしています。

震災直後はメディアも連日、震源地の様子や、そこから一歩を踏み出し立ち向かっていく人々の様子を放送していました。しかし、震災から月日は流れ、その当時の記憶、復興活動への関心は薄れつつあります。

それでも、復興のために何かできないかという思いのもとに集まり、自分にできる役目を果たそうと力を合わせている人たちがいます。福島県の石材業界と首都圏の墓石小売店が協議を重ねてスタートさせた「ふくしまの石プロジェクト」もそうした取り組みの一つです。

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「ふくしまの石プロジェクト」とは?

福島県は、浮金石(うきがねいし:黒色の中に金粉が浮いて見える特徴がある、「黒みかげ」の高級品)や十万石青御影石(じゅうまんごくあおみかげいし:細目で青みを持つ、落ち着いた石目が特徴の石材)など、古くから墓石や建築材など高級な石材産地として知られてきました。

しかし、1992 年をピークにその採石量は大きく減少。今では採石量、工場数、従業員数がピーク時に比べて1 割以下と、危機的状況に陥っています。特に東日本大震災を境に著しく落ち込みました。福島県が誇る銘石を全国の人たちに知ってもらいたい、石材彫刻の技の伝承する機会をつくりたいという願いからこの「ふくしまの石プロジェクト」は生まれました。

福島県内の採掘会社5 社が中心となって会社を設立

このプロジェクトを推進していくために、福島県内の採掘会社5社が中心となって新しい会社、株式会社日本銘石を設立しました。

これまで石材小売店と各工場が個別に行っていた石種ごとの取引をこの新会社に集約することで、業務効率の向上とコスト削減を図ります。また、消費者と採石場・工場のコミュニケーションを活発化して、「作り手の顔が見えるお墓づくり」を実施するほか、首都圏の霊園で福島の石をモデル墓石として展示するなど、エンドユーザーに親しんでもらえる機会を積極的につくっています。

このモデル墓石の展示は、全国的にも珍しい取り組みで、お墓を必要とする人々にも石の良さを感じてもらえるだけでなく、近年は海外製品に押され気味な日本の彫刻技術を改めて披露する機会にもなると考えられています。

国産墓石と日本の彫刻技術の再評価につなげたい

「ふくしまの石プロジェクト」の目標は地域の復興だけではありません。地域の復興はもちろん大切ですが、その先にあるのは日本のお墓全体の未来です。

福島の石の質の高さと安全性を広く訴え、福島の石だけでなく、かつては墓石の大部分を占めていた国産墓石全体の復活にもつなげたいと言います。

また、日本の石材彫刻は、受け継がれてきた「匠の技」が織りなす繊細な彫りで、芸術作品としても高く評価されています。

でもその一方で、国産墓石の低迷と外国産墓石の台頭によって技術者の総数は減り、技の伝承が深刻な問題となっています。

このプロジェクトを日本の石材彫刻技術の再評価にもつなげて、将来的には後継者不足問題の解決の糸口になればという想いもあります。

福島県では先祖代々のお墓を持つ家が多く、新しいお墓の需要は多くはありません。そのため、福島のブランドともいえる石材の価値を県内だけで高めていくのは難しいという実情があります。全国の消費者に向けて「ふくしまの石プロジェクト」を発信することで、福島の、そして日本の墓石産業の新たな活路を見いだしたいと期待しています。